“脳のなかの脳” を最高に元気にする、3つの「超簡単マインドフルネス」

判断力が乏しい、いつもストレスがあり、不安になったりイライラしたりする……。そんな悩みを持つ方は、脳の最高司令官「dlPFC」を鍛えましょう。ストレスを和らげて、判断力や意欲のほか、目標達成を信じる気持ちも高められるはずです。

背外側前頭前皮質(dlPFC)とは

前頭前野(前頭前皮質)は、複雑な認知行動の計画、適切な社会的行動の調節など、脳のもっとも高度な機能をコントロールしているといわれています。背外側前頭前皮質(dlPFC)は、その前頭前野に含まれます

脳科学者の中野信子氏によると、背外側前頭前皮質(dlPFC)は「知能」を担当する部分。意思決定を行い、合理的にものごとを考え、情動を抑制するなど、さまざまな機能があるのだそう。

dlPFC は、“脳のなかの脳”とも呼ばれています。脳が人間の司令塔ならば、dlPFC はその最高司令官というわけです。

ストレスフリーのカギを握る「dlPFC」

実はこの dlPFC が活性化すると、「心がさまよっている状態=マインドワンダリング」をコントロールし、ストレスを避けることができるのだとか。

マインドワンダリングは心理学用語で、この状態に陥ると、ついイヤなことを思い出したり、将来の不安について考えたりしてしまうそう。それが続けば、どんどん悲観的になって、今度は重度のストレス状態に陥ってしまう可能性があります。

では、どうしたら dlPFC は活性化するのでしょう?

マインドフルネスで「dlPFC」を活性化

カーネギー・メロン大学などの研究チームが、2016年7月に学術誌『Biological Psychiatry』で発表した研究では、被験者にマインドフルネス(瞑想)を3日間集中的に行ってもらったところ、2週間経っても dlPFC の活動量がおよそ3倍に増えていたそうです。

名古屋大学教授の大平英樹氏は、マインドフルネスを「脳の筋トレみたいなもの」と例えています。なぜならば、マインドフルネスは、集中することが苦手な脳が、集中することを可能にする訓練だからです。

そして、このマインドフルネスが、dlPFC を活性化してくれるというわけです。

マインドフルネスのやり方

「マインドフルネス=瞑想」は、マサチューセッツ大学医学大学院教授のジョン・カバット・ジン博士が、ストレスや悩み、痛みなどに対応する手助けとして、医学や心理学の分野に普及させたそう。たった“いま”起きていることに意識を集中させ、雑念を取り払い、心を落ち着かせます。必ずしも坐禅を組んで行う必要はなく、日常的な活動をする際にも行えます。

・「瞑想浴(マインドフルネス入浴)」

入浴時に、リラックスした気持ちで呼吸に意識を集中させます。基本はゆっくりとした鼻呼吸・腹式呼吸です。息を吸いこんで、お腹が膨らみ、息を吐き出して、お腹がへこむといった、呼吸やカラダの動きに意識を向けます。

・「食瞑想( マインドフルネス・イーティング)」

食事をじっくりゆっくり、味わって食べながら行います。たとえば「煮物、噛む、噛む、飲み込む。ご飯、噛む、噛む、飲み込む。箸を置く。お茶を飲む」などと、頭のなかで自分の食事を実況中継します。

・「歩行瞑想( マインドフルネス・ウォーキング)」

危険がない散歩道で、ゆっくりと歩きながら行います。「右、左、右、左」などと足の動きに意識を向けたり、歩くことで移動を繰り返す重心、腕、カラダの筋肉がどう動いているか意識を向けたりします。

※いずれも、他のことを考えそうになったときは、「雑念、雑念」と唱えると意識を“いま”に戻しやすくなります。

「dlPFC」の活性化で判断力アップや目標達成も?

受験勉強法の著者としても知られる、「和田秀樹こころと体のクリニック」院長の和田秀樹氏によれば、dlPFC が活性化すると扁桃体の働きにブレーキがかかり、不安・恐怖・悲しみなどが低下するほか、判断力や意欲も高まるそうです。

また、理化学研究所が2018年11月5日に発表した、ラットによるプラセボ(偽薬)の研究では、プラセボ鎮痛効果が認められたラットは、ヒトの dlPFC と相同な部位であると考えられている領域の神経活動が上昇していると分かりました。

もともと平均的な学生であったにもかかわらず、ノルウェー経済大学、カリフォルニア大学バークレー校に進み、オックスフォード大学で経営学修士号を取得し、数多くの大学や高校で勉強法について講演するようになったオラヴ・シーヴェ氏は、著書のなかで、将来成功すると信じていれば、プラセボ(プラシーボ)効果で実際にその確率が高まるという研究結果について述べています。

つまり、dlPFC を活性化させることは、ストレスを遠ざけるだけではなく、判断力や意欲の向上、目標達成にも役立つというわけです。

*** 脳の最高司令官「dlPFC」について、そしてその領域を鍛える方法を紹介しました。もちろん、ときにはボーっとするのもいいですが、気がついたら“いま”に意識を向け、多くの恩恵に与りましょう!

(参考) Wikipedia|前頭前皮質 ログミー[o_O]|中野信子氏が解説する不安の脳科学 NCBI|PubMed|Alterations in Resting-State Functional Connectivity Link Mindfulness Meditation With Reduced Interleukin-6: A Randomized Controlled Trial. 理化学研究所|「期待感」は痛みを和らげる Study Hacker|不安があるなら、まず歩け! たった10分の『歩行瞑想』で心の不安は取り除かれる。 和田秀樹著(2013),『うつ病は軽症のうちに治す!』,PHP研究所. オラヴ・シーヴェ著,片山奈緒美訳(2018),『ノルウェー出身のスーパーエリートが世界で学んで選び抜いた王道の勉強法』TAC出版.

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