みなさんは定期的に本を読んでいますでしょうか。
筆者の友人には、月に15冊以上読む人がいたり、多い人では1日1冊ペースの月30冊の読書家がいたりして、読書に対する意識の高い人がいます。しかし、文化庁が平成25年に全国16歳以上の男女を対象に行った調査によると、月に1冊も本を読まない人が半数近くの47.5%も存在することがわかりました。本を読まない人の割合は、平成14年度調査に比べ10ポイント増え、読書量の減少について目を覆いたくなるような結果が出たのです。
特に、忙しいビジネスパーソンともなれば、本を読む時間を確保するのは難しいことでしょう。
では果たしてどうすれば、なかなか読書ができない人でも読書量を増やすことができるのでしょうか。今回は読書をするときに並行して行うべき「読書記録」についての紹介です。
読書に対する世間の所感
冒頭にて読書をする人が減っていると述べましたが、実際に世間の人々は、読書に対してどのような意識を持っているのでしょうか。
文化庁の同調査によれば、実は全体の65.1%もの人が読書量が減少していることを認識しており、また危機意識すら抱いています。本を読む量が減った主な原因としては、仕事や勉強など日常的な業務に時間を取られているためだ、としている人が半数。また、スマートフォンやパソコンの導入によって読書が代替されてしまったと考えている人も3割ほどいます。
また、全体の傾向として、読書量を増やしたいと考えている人は66.3%にも上っています。
このように、多くの人は読書の量自体は増やしたいと考えているものの、依然として増やすことができずにいる、というのが現状のようです。
なかなか読書ができない人には、読書記録がおすすめ
本を読みたいけれどなかなか読めない、そんな人におすすめしたいのが読書記録です。
読書記録とは、読んで字のごとく、読了した本について日付や感想を書くなどして記録しておくこと。
記録をすることで、その本の内容の記憶定着率が高まったり、感想を書くためにその本のエッセンスを抽出し自分なりに解釈する必要があることから、読解力や要約力が身についたりします。特に読解力や要約力の上昇は、情報が氾濫する現代だからこそ、全ての人に読書記録をおすすめしたい理由です。
これらのことだけを考えても、読書記録をするメリットは十二分にあるわけですが、「本を読みたくても読めない」人にとって読書記録が特に有用であるのは、本を読むモチベーションに繋がるから。
一冊読んでは記録をつけ、また次の本へ。その蓄積が、「記録」としてたまっていくため、達成感へと繋がります。ただ本を読むだけでは読んだ量は把握し難いのですが、記録に残しておくことで可視化されるため、読書量を積み上げようという意欲が湧いてくるのです。
では、読書をした後に読んだ本の記録をつけている人は現状ではどのくらいいるのでしょうか。
ある調査(※)によると、2,793件の回答のうち読書記録をつけていない人は72%にのぼります。 (※文芸系Webメディア「蓼食う本の虫」を主宰するあとーす氏、が2016年2月にTwitter上で行ったアンケート調査)
多くのメリットがあるにも関わらず、読書記録をしている人は少ないのが現状。読書記録をしていない人でも、読書記録をつけるようにすれば読書量を増やすことはできるはずなのです。
おすすめの読書記録法
読書記録といっても、その付け方は人それぞれです。ノートに手書きなのか、デジタルで記録するのか、専用のWEBサービスを使うのか。記録する媒体ひとつとってもたくさんのやり方がありますし、記録内容も、ただ日付と題名、筆者を記しておくだけなのか、それとも本の要約を書くのか、または印象に残ったフレーズを抜き出したりするのか、人によって大きく変わってきます。
そんな中で、今回筆者がおすすめするのは、WEBサービスを使った読書記録です。
例えば、「読書メーター」という読書記録サービスがあります。
使い方はいたって簡単で、読んだ本をタイトル検索するか、アプリからバーコード検索をして、登録するだけ。その際に、感想を書いたり自作の本棚に振り分けたりすることができます。
読書メーターの良いところは、読了した本の冊数とページ数がグラフで表示されること。読んだ冊数やページ数が視覚的に非常にわかりやすく表示されると、もともと読書の習慣が無かった人であっても「もっと量を積み上げたい!」という思いに駆られ、読書のモチベーションアップに繋がるのです。
また、読書メーターはSNSでもあるため、他のユーザーが登録した本やその感想を読んだり、読者同士で交流するためのコミュニティに参加したりすることもできます。
読書に関する様々な機能がひとつにまとまっているサービスなので、本を読みたい気持ちが高まってくるのは間違い無いでしょう。
*** 近年では、本屋の売上が落ちていたり、文学の発行部数が全体的に下がっていたりと、読書量の低下は様々な数字に如実に表れています。
電車の中一つ見ても、以前はほとんどの人が読書をしていたはずですが、最近ではスマホに触れている人間ばかり見かけますよね。
そんな現代だからこそ、もう一度読書に触れるため、読書記録をつけてみてはいかがでしょうか。
(参考) 文化庁|平成25年度「国語に関する世論調査」の結果の概要 Twitter あとーす@ATOHSaaa|【アンケート】皆さん、読書記録ってどうしてますか? 蓼食う本の虫|読書家を目指す人のための読書記録のつけ方3パターン 産経ニュース |「1冊も本を読まない」…47・5% 文化庁調査で「読書離れくっきり」 読書メーター