あなたの能力を最大化させる東大式 “1冊7回読書法” の効果がすごい

Don’t think. FEEL (考えるな、感じろ)!」とは、世界各国で大ヒットを記録した1973年の映画『燃えよドラゴン』のなかで、少林寺の高弟を演じていたブルース・リーがいった言葉。精神論のようにも聞こえますが、最新の研究ではその言葉通り、身体感覚が意識にフィードバックされると示されました。その研究内容と、勉強や仕事にうまく活かす方法を探ります。

意識的な感情は身体感覚からフィードバックされる

わたしたちが意識的に過ごす時間は少ないかもしれません。慣れたことは無意識のまま行い、睡眠中は意識を失っているからです。また、1人で食事をしながら、あるいは通勤電車の中で外を眺めながらボーっとすることもあるでしょう。

そこで、フィンランドのツルク大学、タンペレ大学、アールト大学の研究グループは、1,026人の参加者を対象に、人間の意識的な感情をマッピングして、「ポジティブな感情・ネガティブな感情・認知プロセス・体性状態(皮膚・深部・内臓)・恒常性状態(病気)」という5つの群に分類しました。すると、すべての感情は強い身体感覚にしみこんでいたそうです。

具体的にいうと、色によって視覚化した100の感情からなる身体感覚マップをつくり、それらを上記5つの主要なカテゴリーに分類した結果、その傾向が見えてきたということです。これは、意識的な感情が身体的なフィードバックから生じることを示しています。(この研究は2018年8月28日づけでPNASオンライン版に掲載されました)

身体感覚とはなにか

では、身体感覚とはなんでしょう? 株式会社NLPラーニング代表の山崎啓支氏は著書の中で、「意識=思考=言葉」「無意識=身体=感覚」としています。身体で感じるものは、無意識の特徴なのだとか。

つまり、山崎氏の言葉を参考にすると、身体感覚の正体は「無意識」ということになります。そして、先に紹介した最新の研究をもとに考えると、「意識的な感情」は「無意識(身体感覚)」に由来するということになります。

少しややこしくなってきましたが、実際のメカニズムは別として、イメージ上では「無意識」が上流で、「意識」が下流という具合に同じ大河の中にあり、さらに下流へ進むと「感情」の細い川に入っていくと考えると分かりやすいかもしれません。では、この身体感覚(無意識)を、わたしたちはどのように活かせるでしょう。

身体感覚(無意識)の活用法

「無意識下で読書を繰り返す」

東京大学法学部を首席で卒業したNY州弁護士の山口真由さんは、同じ本を7回読めれば、大体の内容は頭に入るといいます。その際のポイントは、軽い読み流しを複数回繰り返すことなのだそう。具体的には、

1~3回 【サーチライト読み】:見出しを拾い読みして本の全体像をつかむ 4~5回 【平読み】:重要キーワードを意識しながら普通のスピードで読み要旨をつかむ 6~7回 【要約読み】:内容を頭で要約しながら読む

このステップを行うことで、本の内容を頭のなかに写し取るのだとか。 無意識(身体感覚)が意識にフィードバックされることを信じ、ぜひ実践してみてはいかがでしょう。

また、山口さんの繰り返し読書法をもう少し気軽に取り入れたい場合は、なんとなくページを繰りながら無意識下に情報を放り込むという方法もあります。意外にいくつもキーワードが頭に残るので、ちょっとしたアイデアのヒントになることがあります。似た内容の本を何冊か用いて同時期に行うと、より理解度が高まり、発想も生まれやすくなるのでおすすめです

「ときどきボーっと書き」

もうひとつは、何か文章を書く際に、草稿と確認時のみ無意識下で行う方法です。手順は次の通り。

1【意識下】:情報収集を行い内容をしっかりと理解する 2【意識下】:ざっくりとした構成をつくる 3【無意識下】:「ボーっ」としながら書き進める 4【意識下】:読み返しながら修正(複数回) 5【無意識下】:「ボーっ」としながらサーっと読んで文章や文面がおかしくないか確認 6【意識下】:上の5で引っかかる箇所があるたび修正し、それがなくなるまで行う 7【意識下】:最後にじっくり読んで問題なければ完成

3と5も意識下にしてしまうと、いちいち立ち止まって余計なことを考えては、余計な行動を付加してしまいがちです。それに、草稿段階と、文章の流れや文面の美しさを確かめるにあたっては、「ボーっ」と無意識下で行ったほうが不思議と作業が速くなり、見落としや矛盾なども少なくなります。これは筆者が体験済みですよ!

*** 身体感覚=無意識の威力と、その活用法についてご紹介しました。ぜひ一度、お試しくださいね。

(参考) Medical News|Medical Articles|Conscious feelings stem from bodily sensations Turun yliopisto|Bodily Sensations Give Rise to Conscious Feelings PNAS|Maps of subjective feelings Wikipediaベンジャミン・リベット Study hacker|最速で確実に結果がついてくる「7回読み」勉強法——東大首席卒・NY州弁護士 山口真由さんインタビュー【第1回】 インタビュー 山崎啓支著(2016),『NLPで最高の能力が目覚める コーチングハンドブック 知識と経験を最大化するセンスの磨き方』,日本能率協会マネジメントセンター. 一橋大学イノベーション研究センター編集,(2016),『一橋ビジネスレビュー 2016 Wintet(64巻3号)―構造転換の全社戦略』,東洋経済新報社. パトリック・ファーガン著,上原 裕美子訳(2017),『♯HOOKED 消費者心理学者が解き明かす「つい、買ってしまった。」の裏にあるマーケティングの技術』,TAC出版.

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