仕事ができない人の身だしなみはなぜパッとしないのか? 「外見戦略」が理に適っている絶対的根拠。

働き方改革が進められるなか、「ノー残業デー」のほかに「リモートワーク」というキーワードをよく見聞きするようになりました。

もしも、あなたがリモートワーカーで、「出勤日は服装に気を配るが、リモートワークのときは人に会わないので特に気にしていない。仕事さえキッチリできていればいい」「身なりを整えるのは、他者からいい印象を持ってもらうため」とお考えならば、それは大きな間違いかもしれません。

さまざまな研究をもとに、身だしなみが仕事のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性について説明します。

社会心理学からみた身なりの大切さ

京都橘大学健康科学部心理学科教授の永野光朗氏は、改めて「やはり人間にとって身なりは大切」だと述べています。

永野氏が例として挙げた研究のひとつは、1971年のスタンフォード大学における悪名高き「模擬監獄実験」。心理学者フィリップ・ジンバルドー氏による指導で行われたこの実験では、大学生の被験者21人が看守役と受刑者役に分けられ、刑務所に近い環境下で、実際に看守服と囚人服を着てそれぞれの役を演じました

すると、おのおのが必要以上に高圧的な態度をとったり、自虐的になったりするようになり、徐々に行動がエスカレートしていったのだとか。そのため、この実験はいまも非難の対象となることが少なくありません。

これは反社会的行動の事例ですが、「外見を整えることが人間の意欲を高めポジティブで生産的な行動を生み出すのはいうまでもない」と永野氏は説いています。社会適応が困難になった人々に対し、化粧や衣服などで行動の改善をはかる臨床的応用も試みられているとのこと。

着るものは私たちの思考に影響を与える

学術誌 Social Psychological and Personality Science において2015年に発表された、コロンビア大学カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の研究では、被験者が「正式な服」と「カジュアルな服」を着用し、5つの認知テストを行いました。

その結果、上品に装うことで、創造性と長期的な戦略に関連する「抽象的な思考」が増幅すると分かったのだとか。研究者らは「ビジネススーツを着ると自分がよりパワフルで、より能力があると感じるもの」だと説明しています。

医師が着るラボコートは注意力を高める

また、2012年にノースウェスタン大学の研究らが学術誌 Journal of Experimental Social Psychology に発表した内容によれば、医師や研究者が着用するラボコート(白衣)は、「注意深さ」と「慎重さ」に関連しているそうです。

この研究では3つの実験が行われました。1つめの実験では、ラボコートを着用しないよりも、着用したほうが注意力を高めると分かったそう。2つめと3つめの実験では、画家用のラボコートよりも、医師用のラボコートを着用するほうが、持続的に注意力を高めると確認できたのだとか。

つまり、より注意力を必要とする仕事のラボコートを着用することで、注意を必要とする仕事のパフォーマンスを向上させられるというわけです。

デキるビジネスパーソンになりたいなら、デキるビジネスパーソンらしい格好をすることでより仕事のパフォーマンスを高められる可能性があり、リモートワークの際もきっちりと装うことで仕事のパフォーマンスが上がり、それを持続できる可能性があるということです。

きっちりした服装にも注意が必要

ここまで、身だしなみを整えることが、仕事にいい影響をもたらすと示してまいりました。しかし、社会心理学的には優良とされる装いでも、物理的には注意が必要な場合があります。

Forbesに寄稿している Alice G. Walton 氏によると、2018年7月に発表されたある研究では、ネクタイの着用で脳への血流量が約7%減少する可能性があると分かったのだとか。脳への血流量をMRIで測定したところ、ネクタイの結び方がきつかった男性ほど、脳への血流量が大幅に減少していたそうです。

首まわりのネクタイに限らず、身体のどこかを締め付け、血液の流れを妨げるような服は選ぶべきではないといえるでしょう。また、もちろん自由な発想を求められるクリエイティブ職の人が、カチカチのビジネススーツで仕事をするのもアンバランスです。大切なのは、自分自身の気持ちがシャンとする、物理的に窮屈ではない服を着用すること。それを心がけ、ぜひどんな場所でも仕事のパフォーマンスを高めてくださいね。

*** 「身だしなみを整えるのは誰のため?」――もちろん、自分自身のためです!

(参考) 京都橘大学 通信教育課程 たちばなエクール|心理学エッセンス | 社会心理学からみた「外見(身なり)」の大切さ(その1) Quartz at Work|Who do you dress for when you work from home? SAGE Journals: Your gateway to world-class research journals|The Cognitive Consequences of Formal Clothing ScienceDirect.com | Science, health and medical journals, full text articles and books.|Enclothed cognition Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)|認知機能の低下につながる7つの習慣 ネクタイも悪影響 Wikipedia|スタンフォード監獄実験

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