1年の中で最も寝苦しいシーズンといわれる「夏」の到来ですね。
夏は、紫外線や暑さで疲れやすいのに加え、高温多湿で蒸し暑いため、睡眠の質が低下しがちな季節です。日照時間が長いことから、睡眠時間も短縮傾向が高まり、夏バテをはじめとした心身の不調が起こりやすくなります。さらに、冷房の効いた室内と暑い屋外との気温差で自律神経が乱れ、物理的なストレスも抱えてしまうことも。
でも、勉強や仕事は、秋になるまで待っていてはくれません。夏の寝苦しさに負けて睡眠の質が低下してしまっては、私たちの日中のパフォーマンスにも悪影響が及んでしまいます。しっかりと “暑さ対策” をして、ぐっすり熟睡したいところです。
人は、28℃を超えると寝苦しさを感じることがわかっています。快適な温度を維持し続けることが、夏の快眠の秘訣なのです。そして、そのためには、1日を通して気をつけたい大切なポイントが4つあります。さっそくご紹介していきましょう。
1. 布団を干すのは正午まで
1つめは「布団を干す時間帯」です。天候に恵まれた休日などに、日の当たるベランダで布団を干すという方も多いはず。じつは、布団を取り込むタイミングにもコツがあるのです。
それは、布団を干す時間は正午までにして、夕方までは干さないようにするということ。西日を長く当てると、熱がこもって布団が熱くなり、寝苦しさの原因になってしまうので、注意しましょう。
また、夏は1年の中で最も寝汗をかく季節です。睡眠衛生を保つためにも、寝具やパジャマは頻繁に洗濯するようにしましょうね。
2. 壁を冷やして冷房効率を上げる!
2つめは「壁を冷やすこと」。就寝中の熱中症予防のために、夜通し冷房をつけっぱなしにすることが推奨されています。でも実際には、冷房が苦手だったり、身体に悪そうというイメージがあったりすることから、夜通しつけたまま眠ることに抵抗があるという方も少なくありません。そこでポイントとなるのが「壁」です。
夜になって外気温が下がっても寝室内が暑苦しい理由は、昼間の太陽の熱が、室内の壁や天井、床にこもっているため。いざ就寝するタイミングで冷房をつけても空気しか冷やすことができず、タイマー設定で冷房がオフになった瞬間に、壁からの輻射熱で寝室内の温度が上昇してしまうのです。これでは夜中に、暑さから中途覚醒を起こしてしまう可能性があります。
そこで、就寝1時間前から、冷房の温度設定を25℃、風量は「強」でスイッチオンにして、壁まで徹底的に冷やしましょう。このとき、併せて敷き寝具も冷えるように掛ふとんを外しておくと、横になった際にひんやり感が得られて気持ちいいですよ。いざ就床するタイミングになったら、27℃まで温度を上げて風量は「弱」に切り替え、タイマーが3時間程度で切れるようにセットすることを忘れないでください。
また、そもそも日中に熱が壁にこもらないように、窓際に遮熱カーテンを使う、グリーンカーテンをするなどの対策をとることもおすすめです。さらに、ベッドは壁にぴったりとくっつけず、10cm程度でもいいので壁から離して配置できればベター。
そして、夏の暑さ対策で大活躍するのは冷房だけではありません。冷たい空気は下にたまり、暖かい空気は上にたまるという性質が空気にはあるため、空気の淀みや室温のムラを防ぐために、扇風機やサーキュレーターの併用をおすすめしています。送風口を冷房の送風口や天井、壁に向け、空気の循環を促しましょう。
この際、絶対に身体に風を直接当てないように注意してくださいね。就寝中は発汗し、体温が下がっているため、冷やしすぎると危険です。風量も一番弱い設定にしてください。最近では、サーキュレーター機能も果たしてくれるエアコンも発売されています。予算や寝室のスペースなどと照らし合わせながら、ベストなものを見つけましょう。
3.「背中の蒸れ」に注意!
3つめのポイントは、「背中の蒸れを防ぐ」です。
夏になると、背中の湿度上昇が原因で眠れなくなってしまうことがあります。寝床内の湿度は季節によって大きく異なりますが、夏には背中の湿度が80%以上に達することがあるという指摘も。こうした背中の不快な蒸れを取り除こうと、シーツの冷たい部分を求めてゴロンゴロンと寝返りを繰り返すことになってしまうと、身体が静止している時間が短すぎて、満足度の高い睡眠を得ることができません。
背中の蒸れを予防するためには、熱伝導に優れ、吸湿放湿性に富む麻素材や、吸湿性や通気性のいい “いぐさ” のシーツ、ひんやり感が心地よい接触冷感素材などを敷き寝具に用いるようにしましょう。
また、抱きまくらを使うことで、身体にすきまができて空気が通り、涼しく感じやすくなります。抱きしめることが安心感につながるという指摘もあるので、ストレスを感じやすい方には特にいいかもしれませんね。
4. 頭部を冷やす!
最後のポイントは「頭寒足熱」。
私たち人間は、深部体温(内蔵の温度)が下がることで眠くなるメカニズムをもっています。そして、この深部体温は四肢から放熱されるため、スムーズに眠るためには、手足が温まっていることが重要。だから、暑いからと必要以上に手足を冷やすのは、じつはおすすめできないのです。では、どうすればいいのでしょう?
ここでおすすめしたいのは、頭部を冷却すること。深部体温の中でも、1日中駆使し続けた頭部は、かなりヒートアップしている状態。頭部を涼やかに保つことで、快眠は誘われますよ。頭を氷枕で冷やすのもいいですし、乾いたバスタオルを冷凍庫に入れておいて、十分に冷えたものを枕の上に乗せて頭を置くのもいいでしょう。
このとき、首は冷やしすぎないようにしましょうね。首には太い血管が通っており、必要以上の冷やしすぎは健康上あまり良くないことが指摘されていますよ。
*** 夏の快眠を約束する “暑さ対策” を賢く取り入れることで、疲れやダメージを翌日に持ち越すことを防げます。熱帯夜明けでも高いパフォーマンスを発揮して、「結果につながる夏」を過ごしましょう!