Google発の超 "拙速主義" 『SPRINT』を体感せよ

長く続く会議、終わらない上司のチェック、無意味な修正……。仕事がなかなか終わらない、効率よく進まない、と嘆くビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。

しかし、ただスピードを上げれば問題が解決するというものでもありません。クオリティの低いずさんな仕事をしかねないからです。ではいったいどうすればいいのでしょう。

2017年4月、かのGoogleから、最速で最良のアウトプットを出すフレームワークが発表されました。それが「SPRINT」です。全力疾走、短距離走とも訳せるこのフレームワークは、チームのみならず、個人の仕事にも応用できる優れもの。

今回は、仕事を高速で回すための方法をご紹介します。

SPRINTとは

SPRINTとは、アイディア創出からその検証までを高速で行ない、短時間でアウトプットを出すフレームワークのことです。具体的には、5日間で市場の調査やプロトタイプの試作までを行ないます。時間を区切って、クリティカルな部分だけに集中して開発を行なうことで、短時間でのアウトプット作成が可能になるのだとか。

多くの製品開発では、 1. IDEA(アイディア発想) 2. BUILD(プロトタイプの作成) 3. LAUNCH(製品を世に出す) 4. LEARN(フィードバックを受け学ぶ) というプロセスをたどります。

SPRINTでは、この「2. BUILD」と「3. LAUNCH」の段階をショートカットしてしまいます。はたして製品が良いものなのかどうか、その検証の時間を大幅にカットし、製品がまだアイディアの段階でフィードバックを得て、よりよいものに磨き上げていくのです。

output-sprint-03 (図は筆者にて作成)

SPRINTでは特に、ターゲットに対しての調査を大幅にカットします。通常であればどんな製品であれ、大量のテストユーザーに対してヒアリングや製品テストを行ないフィードバックを吸い上げるものですが、この方法では「5人だけ」にしかテストを行ないません。

「そんなずさんな調査でも大丈夫なの?」と心配の声を上げる方も多そうですが、ダイヤモンド社書籍オンラインの田坂苑子氏は次のように語っています。

かつてユーザーリサーチの第一人者が数千人のユーザーをインタビューし、最も重要なパターンを見抜くには何回インタビューすればいいかを調べたところ、問題の85%がたった5人のインタビューで発見されていた、という結果が出たというのだ。

(引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|グーグル式仕事術「スプリント」を今すぐあなたがやるべき理由

もちろん、ターゲットを5人に絞るからこそ、その5人のターゲティングは非常に緻密に行なう必要があると言えます。

それでは早速、このSPRINTが具体的にどのようなプロセスをたどるのかを見ていきましょう。読者の皆さんが普段のビジネスの場面で使えるようなシーンを具体例として提示しながら紹介していきます。

1. 理解と定義

まず初めに、ターゲティングを緻密に行ないます。いわゆる「ペルソナ」を決め、自分がこれから考えるサービスが誰のどんな不を解消するものなのかを考えるのです。

SPRINTでは、まずは趣味や仕事など “ざっくりとした” プロフィールを策定します。その後に「ユーザーが何を求め、どんな体験がしたいのか。その理由として、どんな価値が見出せるのか」をじっくりと考えます。

SPRINTが非常に短い時間でのアウトプットを可能にしているのは、少ない人数の本質的なニーズを的確に絞り込んでいるからと言えるでしょう。

日常の仕事で言うならば「誰のための、何のための仕事なのか」という点を意識することが大切です。この仕事を受け取るのが誰なのかを常に考えることで、相手が求めるものを的確に捉えることができます。結果、チェックや差し戻しに余計な時間を使うことがなくなるはずです。

2. 発散と決定

次に、アイディアを発散させていきます。誰のどんな不を解消していくのか、それに対するアイディアを徹底的にあぶり出していくのです。時間内ならばいくら出してもかまわず、ここでは「質より量」が重要なのだそう。

あらかたアイディアを発散し終えたら、出てきたアイディアを分類・整理していきます。デザインスプリントを体感するワークショップでは、「ユーザーにとっての価値」と「技術的難易度」の二軸に切って整理する方法が紹介されています。ほかにも単純に「価格」と「質」といった軸に沿って整理するなど様々ありますので、いろいろな角度や視点から、試作・製品を評価してみましょう。

output-sprint-02

3. プロトタイプとその検証

アイディアを決めたら、さっそく試作品を作っていきます。SPRINTでは、まずはユーザーが製品を使用している状況を思い浮かべ、そのシーンに沿って製品の試作を紙で作ってみるといいます。

重要なのは、できるだけすばやくこのステップに移ること。いつまでもだらだらとアイディア発散や整理を続けていても、ただ時間を浪費してしまうだけです。

また、プロトタイピング後の「評価」も重視されています。デザインスプリントでは「時間制限を設けて短いサイクルを何度も回す」ことが大切なのだとか。“じっくりとひとりで考えて完成!” ではなく、短い時間の中で高速で仕事を完了させ、何度も何度も他人のチェックを入れることが必要です。

普段の仕事で考えてみましょう。プレゼン資料やデザインの修正など、締め切りギリギリまで続けてしまう方も多いかもしれませんが、まずは「プロトタイプ」を作ることにフォーカスし、すばやく作業を終わらせることが肝心です。上司や同僚からのフィードバックを受ける時間を確保できますし、細かな軌道修正も可能になります。

*** ・他人の評価を気にしすぎない。本当にクリティカルな評価・ニーズを見極め、そこに労力と時間を投下する ・仕事のサイクルを短時間で回すことにフォーカスする。初めから完成品を出すのではなく、プロトタイプをブラッシュアップさせる意識を持つ。

この2点を注意して、ぜひSPRINTを実践してみてくださいね。

(参考) THE BRIDGE|グーグル、アイデアからプロトタイプの検証までたった5日で完了する課題解決メソッド「デザインスプリント」を公開 CAREER HACK|実践者が語るデザインスプリントのメリットとNGパターン LIFULL Creators Blog|Google Design Sprintに参加してみた (引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|グーグル式仕事術「スプリント」を今すぐあなたがやるべき理由) ダイヤモンド社書籍オンライン|グーグルを劇的に変えた高速仕事術「スプリント」って?

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