「たった3分」で先延ばし癖を解消。“すぐやる” ための3つの行動習慣。

仕事のちょっとしたタスク、連絡や返信に、何かの申し込みや家事などを、いつもつい「あとでやればいいか」と思ってしまう。そして結局は、時間がなくなって焦ったり、忘れたりする……。

もちろんこれは反省すべきことですが、そうなってしまうのも仕方がありません。なぜならば、人間は目の前にある困難から逃れ、刹那的な快楽のほうを選んでしまう生き物だから。心理学者のニール・フィオーレ氏いわく、「先延ばしとは、タスクや決断に関する不安に対処するための心理メカニズム」とのこと。

ちょっと面倒くさそう、困難かも、何から手をつけていいのか分からない、といった不安の刺激に反応した大脳辺縁系(情動脳)が活性化すると、理性を用いた意思決定をつかさどる、脳の前頭前皮質が機能しなくなってしまうのだとか。

それで、前頭前皮質が「今すぐ勉強をやるべきだ」と申し立てても、「ちょっとゲームをしてから」「録画したドラマを観てから」と主張する大脳辺縁系が勝利してしまうわけです。だからこそ、わたしたちには、その癖をなおす行動習慣が必要です。

1.先延ばし癖は「3分タイマー」で解消せよ

3分あれば、何ができるでしょう。インスタントラーメンをつくる、コーヒーを淹れる、トイレに行くなどいろいろありますが、先延ばし癖をなおすこともできます。

どんなタスクでも、数分程度の実行時間だと思えば不安による刺激がなく、情動脳も活性化しないので、すんなり着手できるはず。そこでおすすめが、3分間タイマーをかける方法です。たとえばつい先延ばしにしてしまいがちな皿洗いや、ちょっとした掃除、後回しにしていた簡単な資料の整理などを、3分間のタイマーをかけたうえで行うのです。

試してみると3分はあっという間。意外に短いなと感じます。すると不思議なことに、「もう少しやれば終わるのに」という悔しい気持ちが生まれ、時間を延長してサッサと終わらせようという行動に出るわけです。

この方法を用いると、「3分くらいなら、パッとやっちゃおう」と思わせるだけではなく、“やれ”といわれると止めたくなるけれど、“ストップ”といわれると続けたくなる「心理的リアクタンス効果」や、追い込まれると集中力が高まる「締め切り効果」が働いてくれます。

もちろん、タイマーが鳴ったらアッサリ中断してもOK。その「止めてもいい」という安心感が、この方法の影響力を持続させるでしょう。【中断しても差しさわりない単調な課題】におすすめです。

2. 先延ばし癖は「チャンクダウン」で解消せよ

チャンクダウンとは、言語学と心理学を組み合わせた NLP(Neuro-Linguistic Programming/神経言語プログラミング)で重視されている、目的や意味を明確にする技法です。「チャンク」は塊を指す言葉。したがって、チャンクダウンは物事を小さく分解し、具体化するということ。

たとえば、期限がまだ迫っていないからといって、ついつい先延ばしにしてしまいがちな提案書の作成は、着手から完了までを考えると「あぁ、結構大変だな……」という不安で情動脳が刺激されてしまいます。

しかし、「目的の明確化・ターゲットの設定・構想・アイデア出し・論理の肉付け・資料づくり・仕上げと確認」といった具合に細かく分解してしまえば、すべきことが具体的になり、「まずはこれだけやっちゃおう」という意欲もわいてくるはず。

どうしても苦手だと感じる仕事に関しても、チャンクダウン(具現化)すれば、苦手意識が薄まっていくでしょう。【大きな課題、苦手意識のある課題】におすすめです。

3. 先延ばし癖は「思考を手放して」で解消せよ

急ぎではないメールの返信や連絡、机の上の整理や、ちょっとした電話、書類や資料に目を通すこと、あるいは書類に記入して送ることや、書類を選別して不要なものを捨てるといった、やってしまえばすぐに終わる課題は、簡単だからこそ後回しにされがちです。しかし、いくら小さな課題でも、数が増えれば巨大なひとまとまりの不安材料になってしまうというもの。それではすぐに情動脳が騒ぎ出してしまいます。

そうならないためにも、小さなものは目についたら「思考を手放して」行うことをおすすめします。

ヒントをくれたのは、株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役の平野友朗氏。「優先順位をつけるという行為は、脳に負荷をかけている」と同氏はいいます。効率よく仕事をするため、常に「AとBどちらの優先順位が高いか」と比較してから行動していると、どんどん脳を疲労させてしまうそう。

これは、“先延ばし癖”が発現する際も同じです。つい先延ばしにしてしまう簡単なタスクが細々とある場合、「早くやらなきゃ」「どれからやるべきか」「この手順ならサッと終わるかも、いやそれとも……」「今これをやるよりも、先に他を進めたほうがいいんじゃないか」と思考を働かせ脳を疲れさせた挙句に、「すぐできるし、面倒だから、あとでやろう。ちょっとSNSをチェックしちゃおう」と、情動脳に負けてしまうのです。

何かやることが目についたら、あれこれ考えず、とりあえずやってしまいましょう

「思考を手放します」と唱え、「優先順位」や「やるべきか」など一切考えず行動してみると、認知的な負荷が脳にかからないので、「こんなにもストレスフリーだったのか」と驚くはずですよ。この方法は、【小さな細々とした課題】におすすめです。

*** 「行動しなければ始まらない! 「2分ルール」を徹底したら、“先延ばし癖”がなおった話」では、なすべき仕事のリストを記録して頭から追い出し、全力で集中する「2分ルール」を紹介しています。こちらも、ぜひ参考にしてみてください。

ちなみに、読むのを先延ばしにしていた「本」は、調理に時間をかける美味しい店に持っていくのがおすすめ。読みながら待つしかなく、美味しい料理を待つ楽しさもあるので、必然的に読書が進みます!

(参考) 牧野幸志(2000),「心理的リアクタンスに及ぼすユーモアの効果」,高松大学紀要,No.34, pp.43-52. 未来を変えるプロジェクト by パーソルキャリア|先延ばしの心理メカニズムと絶対に先延ばししない対処法とは プレジデントオンライン|"締め切り直前"に脅威の集中力が出るワケ リクナビNEXTジャーナル|私は仕事の「優先順位」はつけない。だってやるべきことは…アイ・コミュニケーション代表取締役 平野友朗氏の仕事論

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