暇な時間があると、いつもスマートフォンをいじってしまう……。そんな自分に罪悪感を感じてはいませんか?
でも、筆者はあえて言います。「スマートフォンはどんどん使いましょう」と。
今回は、私たちの生活で当たり前の存在となっているスマートフォンに注目し、スキルアップに役立つ上手な活用方法を探ってみました。
調査によっては “平均3時間超え” も。現代人はみんな「スマホ中毒」
スマートフォンを所有する15歳~59歳の男女2,780人を対象に、マーケティングリサーチ機関であるMMD研究所などが実施した「2017年版:スマートフォン利用者実態調査」。この調査のなかで、1日のスマートフォン利用時間を尋ねたところ、最も多かった回答が「2時間以上3時間未満」(21.7%)だったのだそう。
詳細な内訳としては、「30分未満」が5.7%、「30分以上1時間未満」が9.9%、「1時間以上2時間未満」が19.3%、「2時間以上3時間未満」が21.7%、「3時間以上4時間未満」が16.5%、そして「4時間以上」の割合も20%を超えてきています。1時間未満はむしろ少数派で、大多数の人がスマートフォン利用に多くの時間を費やしていることがわかります。
また、視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社による別の調査(※2018年3月に実施)でも、1人あたりの1日のスマートフォン利用時間の平均は3時間7分と算出されています。
習慣は簡単には変えられない
これらの調査結果を見ても、多くの人はそれほど驚きを感じないかもしれません。むしろ、ご自身の生活を思い返してみると、納得できる部分があるのではないでしょうか。
通勤時の電車の中。仕事の合間の休憩時間。食事をしているとき。ベッドの中で眠りに就くまでの時間。なんとなく手持ち無沙汰になったとき、無意識のうちにスマートフォンに手が伸びてしまうという方も多いはず。「暇な時間には “とりあえず” スマートフォン」と脳が学習し、もはや習慣として身体に染みついてしまっているのですね。
こうなると、いきなりスマートフォンを禁じるという作戦は、ちょっとやそっとの努力ではうまくいかないかもしれません。何か良い方法はないのでしょうか?
あえて言う「スマホはどんどん使いなさい」
習慣化コンサルタントとして活躍する古川武士氏は、StudyHackerの過去のインタビューで、「一度にひとつの習慣に絞ることが習慣化成功への道」と述べています。つまり、いきなり大きな習慣を新しく始めようとしたり、悪い習慣を一気にがらりと変えようとしたりするのではなく、習慣を要素ごとに因数分解したうえで、それらひとつひとつを着実にクリアしていく戦略を取ったほうが功を奏するということ。
「ジムに行って」「運動する」となると、それだけでふたつを新たにはじめることになりますよね? 「早起きして」「勉強する」も同様です。「早起きする目的は勉強なんだからいいじゃないか」と思うかもしれませんが、意外とこれが難しい(苦笑)。早起きできても勉強する気が起きないこともあるじゃないですか。そうすると、せっかく早起きはできているのに、多くの人が「できなかった」と思ってしまうものです。 (中略) 「早起きして」「勉強する」ことを習慣化したいのであれば、まずはどちらかひとつに絞りましょう。起きる時間は変えずに、15分でも20分でも早く家を出て、職場近くのカフェで勉強する時間をつくる。あるいは、わざわざ時間をつくらなくても、通勤時間に勉強してもいい。そうやって勉強するという行動が定着したら、次により多くの勉強時間を取るために早起きの習慣化を目指します。
(引用元:StudyHacker|勉強・読書……インプット行動を習慣化するテクニック——習慣化コンサルタント・古川武士さんインタビュー【第3回】)
これを、今回のスマートフォンの問題にも置き換えてしまえばよいのです。つまり、「スマートフォンを使う」という部分は、あえてそのまま。代わりに、「だらだらとゲームをしてしまう」「無為なネットサーフィンをしてしまう」といった “使い方” の部分を、もう少し有意義なものに置き換えてみませんか?
未来の自分への投資のために、ここからはスマートフォンを使った3つのスキルアップ法をご紹介していきます。
【1】SNSで思考と言語化の訓練を
仕事をしていると、自分の意見や考えを明確に説明しなければならない場面にたくさん遭遇します。でも、「頭の中にぼんやりとしたイメージは浮かんでいるものの、うまく言語化できない……」とお悩みの方はいませんか? それは、日頃から「言葉にして考える癖」が欠けているからかもしれません。
そんな人は、SNSを使って思考をアウトプットするトレーニングをしましょう。もちろん、仕事以外の話題についてでも可。プライベートに関すること、日常を過ごしていてのちょっとした気づき、何でも結構です。
例えば「ドラマが楽しみ」なら、「ルックスが好みの俳優や演技力の高い女優が出演していて、登場人物のキャラクターや台詞も共感できるものが多かった。ストーリーもスリリングで展開の予測がつかないので、来週の放送が待ちきれないほど楽しみだ」という感じ。例えば「ランチが美味しかった」なら、「ランチに食べたパスタは濃厚なクリームソースとベーコンの風味が自分好みだった。セットのサラダもシャキシャキとした新鮮な野菜に素材の味を引き立てる薄味のドレッシングがかかっていて美味しかった」
(引用元:StudyHacker|言えないのは、考えていないから。「言葉にできない」に逃げない、言語化トレーニング)
特にTwitterの場合は文字数の上限もあるため、考えを簡潔に要約する訓練にもなりますよ。
【2】「TED」のプレゼン映像で一流たちのアイデアに触れる
マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏や、アップル共同設立者のひとりである故スティーブ・ジョブズ氏も登壇したことのある世界的な講演会「TEDカンファレンス」。その模様を映像で閲覧できる『TEDトーク』というサービスはご存じですか?
超一流経営者のプレゼンはもちろん、「ポーカーチャンピオンに学ぶ、“意思決定”についての3つのレッスン」といったスキルアップに役立つ内容や、「私はどうやって、3,000フィートの切り立った崖を “ロープ無し” で登ったのか?」といった、思わず興味を惹かれる話題についての講演映像も。
アプリもあるため、当然スマートフォンで視聴することも可能です。多くは英語話者による講演ですが、日本語字幕がつけられたものも。日本人による日本語の講演映像も収められています。
世界で活躍する一流の思考法やアイデアに触れたい。最先端の情報を、映像をとおしてキャッチアップしたい。気楽にエンタメ動画を眺めるのもよいですが、たまには学びに役立つ映像を視聴してみてはいかがでしょうか。
【3】『グロービス学び放題』でビジネススキルを学び直す
最後にご紹介するのは、仕事に直結するビジネススキルを “動画で” 学び直しできる『グロービス学び放題』というサービスです。
これは、ビジネススクールを運営するグロービスが提供する動画学習ツール。グロービスの講師陣が登壇し、「MECE」や「SWOT分析」といったフレームワークはもちろん、「メラビアンの法則」や「ディシジョンツリー」といった、働くうえで仕入れておきたい知識やスキルを、動画をとおして学ぶことができます。その動画数、なんと1,500以上!
世の中には、「言語的知能」が得意な人と「視覚・空間的知能」が得意な人がいます。前者は、文字を読むのが得意でまったく苦にならないタイプ。後者は、イラストや動画から情報を得るのが得意で、逆に文字を読むのが苦手がタイプです。
仮に「小難しい専門書や経営書を読むのが苦手……」という「視覚・空間的知能」型の人でも、このサービスを使えば無理なく学ぶことが可能。最短で1分の動画から用意されているため、まさに通勤時間や休憩時間などのスキマ時間を活用しての学びにぴったりですね。
*** 目の敵にされがちなスマートフォンですが、使い方次第ではスキルアップのために役立てることができます。皆さんも今日から、スマートフォン習慣の一部を “ちょっとだけ” 変えてみませんか?
(参考) MMD研究所|2017年版:スマートフォン利用者実態調査 nielsen|LINE及び動画系アプリは利用時間が増加、TwitterなどのSNSは微減 ~ニールセン、スマートフォンアプリの利用状況を発表~ StudyHacker|勉強・読書……インプット行動を習慣化するテクニック——習慣化コンサルタント・古川武士さんインタビュー【第3回】 StudyHacker|言えないのは、考えていないから。「言葉にできない」に逃げない、言語化トレーニング TED グロービス学び放題