「最強のエリート」が “エリートになる前に” していた4つのこと。

経営者や、世界を股にかけて活躍するビジネスパーソン。彼ら「最強のエリート」と呼ばれる人たちも、最初から“超一流”だったわけではありません。最強のエリートがエリートになる前にしていたことから、一流へと近づくためのヒントを学びましょう。

1. 雑用は「期待を上回る」

会議資料のコピーにグラフ作成、打ち合わせや食事会の日程・会場確保……。新人・若手にはつきものの雑用への向き合い方が、その後のビジネスパーソンとしての質を左右します。エリートたちは、一見あまり意味がなさそうに思える雑用にもチャンスがあるのだと心得ていて、雑用から“価値”を生み出してきました。

元・サンリオ常務取締役で、現・鳩山総合研究所代表取締役の鳩山玲人氏。新卒で三菱商事に入社したのちハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得、その後サンリオに入社して常務取締役までを務めあげてからは数々の有名企業の社外取締役などを歴任してきた、「最強のエリート」の一人です。

鳩山氏は若い頃から、雑用を含む多くの仕事で、常に相手の期待を上回ることを意識しながら仕事をしてきたのだそう。なぜなら、雑用は若手にとって、上司の期待を上回る仕事ぶりを見せることで自分の評価を上げるチャンスだから。鳩山氏は、雑用を若手に指示した上司は、心中では若手が経験を積み成長することを期待していると言います。つまり、上司は雑用をとおして若手にチャンスを与えており、その仕事ぶりをよく見ているものなのです。

上司の期待を上回る仕事をするために肝心なのが、どんな雑用でも「最終的な目的」を考えて取り組むこと。これについて鳩山氏は、「プレゼン資料のためのグラフ作成」という雑用を例に挙げ、次のように説明しています。

そのグラフがなぜ必要なのか、プレゼンのなかでどのように使われるのか、そもそもプレゼンの全体像はどうなっているのか、プレゼンの目的は何なのかといったことを考えれば、同じ売上のグラフ一つ作るにしても意識が変わるはずです。「10年分のデータならどう見えるか」「他社製品と比較するとどうか」など見せ方の工夫を自分なりに考えられるようになり、上司の指示以上に効果的な見せ方を提案することもできるかもしれません。

(引用元:鳩山玲人(2013),『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』,幻冬舎.)

ただグラフを作るのと、グラフの目的を考えながらグラフを作るのとでは、成果が大きく変わってくるのです。それに何より、仕事の目的を考えることは若手にとって大いに勉強になること。資料のコピーを取るにしても同じで、その資料がどのような会議で使われるものなのか、資料の内容に目を通しながら考えれば、会社の動向を知るチャンスになるでしょう。

雑用だったとしても圧倒的なスピードと完璧な仕上がりをもって、雑用を「仕事」に変えることができれば、あなたの評価は必ず上がります。

(引用元:Googleブックス|最強「出世」マニュアル 書籍のプレビュー

こう語るのは、『最強「出世」マニュアル』の著者・浅野泰生氏。中小企業の経営企画立案などを手掛けるMAP経営代表取締役で、4回の転職経験ののち入社1年で「平社員→取締役」にスピード出世した経験を持つビジネスエリートです。浅野氏の言葉は、鳩山氏の見解を簡潔に言い表していると言えますね。

ただの雑用でも、上司の期待を上回る成果を出し、雑用を超えた次の仕事につなげていきましょう。「雑用ばかりで嫌になる」などと愚痴を言っている場合ではありませんよ。

2. 「とにかく早く」行動する

一流の人々は、エリートになる前もエリートになった今も、「即行動」を心がけて仕事をしています。このことは、世界トップレベルの投資銀行やコンサルティングファームで働くエリートビジネスパーソンの仕事の仕方を見るとよくわかります。

事業開発支援を手掛けるシーネクスト・パートナーズ代表取締役の戸塚隆将氏。新卒で投資銀行のゴールドマン・サックスに入社、その後ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得し、コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーで活躍したのち、現在経営する会社を設立しました。彼もまた「最強のエリート」の一人です。

自身がエリートであるだけでなく、数多くのエリートたちと共に仕事をしてきた戸塚氏によれば、仕事ではスピードが重要だとのこと。例えば戸塚氏は、ゴールドマンに入社した当初3秒で開ける場所に常にノートを置き」「上司から出されるプロジェクトの指示を素早くメモすること」を指導されたと言います。世界トップの企業では、仕事の進むスピードが速いので、ノート探しやメモ書きに手間取っている場合ではないのだそう。

そして戸塚氏は、仕事を引き受けたら、その直後の5分間は必ずその仕事に取り掛かるべきだと言います。その5分間で、上司からの指示を整理して作業計画を作り、アポイント調整や発注など先にすべきことを済ませてしまえば、その後の作業効率が上がるだけでなく、次のような効果も生まれるのです。

取りかかってみると、疑問点が生まれるものです。こういった場合は、すぐに上司に確認しにいきましょう。 初歩的な確認事項であればあるほど、その場ですぐに確認するほうが傷口を最小限に抑えることができます。翌朝になって初歩的な事項の確認にやってくる部下の評価は下がるでしょう。締切日に間に合わないという最悪の事態に陥る可能性もあります。

(引用元:戸塚隆将(2013),『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』,朝日新聞出版.)

また、「即行動」はメールの返信についても同じ。戸塚氏は、世界中の敏腕バンカーたちはいくらスケジュールがぎっしりでもメールの返信がとにかく速い(世界中に送ったメールの返信のほぼ8割は6時間以内に送られる)と言っています。グローバル機関投資家で、これまで投資銀行やコンサルティングファームなどを渡り歩いてきたムーギー・キム氏も、多忙を極める著名経営者や国会議員、そして仕事のできるビジネスパーソンの多くが「メールは即リプライ」を実践していると言います。

メールにすぐ返信するということは、自分にとっても相手にとっても仕事をひとつ前に進めること。メールをすぐに返せば相手に仕事がデキる印象を与えることができます。戸塚氏はメールの返信スピード=あなたの評価だと断言しているほどです。

仕事における「即行動」が大切であるのは、さきほどご紹介した「雑用」でも同じです。仕事に取り組むスピードが、あなたの評価を上げ、その後の出世にもつながっていくのです。

3. 会議では「ホワイトボード役」を買って出る

エリートたちは、会議での「ホワイトボード役」が上手いという特徴があるようです。会議では率先してホワイトボードの傍に座り、議論の内容を文字や図でまとめたり、流れを整理したりして、上手に会議を仕切ります。会議での存在感は当然、抜群に高いと言えるでしょう。

戸塚氏によると、マッキンゼーのコンサルタントたちはホワイトボードをうまく使いこなしていているそう。戸塚氏自身も、マッキンゼーで培ったホワイトボードの活用スキルはその後のキャリアでも大いに役立ったと言います。

ホワイトボード役に必要な力として戸塚氏が挙げるのは、議論の本質を捉える力と、議論の内容を視覚的に表現する力。これらの力を磨くには、日ごろから会議に出席するたびに自分のノートに図表を交えたメモを取ることが有効です。マッキンゼーの人たちは、会議をしながら、そのままプレゼン資料に落とし込めるレベルのメモを書き上げてしまうのだと言いますよ。

ホワイトボード役を十分に果たすことができれば、メンバーから自然と意見を引き出し、うまくまとめ上げることができます。リーダーとしての資質も養われていくのです。

4. 「社外の人脈」を大切にしている

ビジネスパーソンにとっての人脈の重要性はもはや常識ですが、エリートたちが築いてきたこれまでの華麗な経歴にも当然、人脈が生かされています。人脈に関する、あるコツを紹介しましょう。それは今の会社の人とだけ付き合うのではなく、「社外の人」とも付き合うということです。

例えば、マッキンゼーのコンサルタントたちは、いくら忙しくても社外の人との交流を欠かさないそう。その理由は2つ。1つは、コンサルタント業務には様々な業界の知識や情報が必須だから。そしてもう1つは、次のキャリアへと進む際に価値ある情報を得られる可能性が増えるからです。

私たちがよく知る著名な経営者も、社外人脈を生かしています。代表的な例が、元ローソン代表取締役会長の玉塚元一氏。プロ経営者として知られる玉塚氏が、2002年にファーストリテイリングの社長に就任したのも、2010年ローソン顧問への就任を経て社長になったのも、大学時代から積み上げてきた広い人脈によるものだったのです。

トップレベルのエリートがしている人脈構築などとても真似できそうにないと考えるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

経営コンサルタントの平野敦士カール氏によれば、人脈づくりは「ランチタイムの1時間」あれば可能なのだそう。StudyHackerのインタビュー「良質な人間関係は “昼12時” から始まる。口下手でも人脈が築ける「アライアンスランチ入門」」の中で、まずは半径3メートル」のごく身近な同僚から始め、次はその同僚の友人を連れてきてもらうといった具合に、芋づる式に人脈を広げていけばよいと語っています。戸塚氏も、1週間に最低1時間」社外の人と会う時間を確保することを勧めています。週に1回、1時間だけ確保して、同僚の知り合いの知り合い……と広げていけば、社外人脈も気軽に得られそうですね。

また平野氏は、現在活動している人脈だけでなく、以前の人脈にアプローチすることも有効だと言います。

小学校、中学校の同級生や先輩、後輩からはじまって、これまでの人生で多くの人に会ってきたことと思います。高校、大学、社会人になって以降と考えると、数千人単位の人と関わってきたはずです。であれば、自分の興味がある分野、人脈を広げたいと思っている分野に、ひとり、ふたりの知り合いがいてもなんらおかしくありません。これまで生かせていないだけで、みなさんはとっくに大きな人脈を持っているのです。

(引用元:StudyHacker|良質な人間関係は “昼12時” から始まる。口下手でも人脈が築ける「アライアンスランチ入門」

これまでの人脈を振り返ってみてください。自分のキャリアを切り開くキーパーソンに出会えるかもしれませんよ。

*** ここまででご紹介したことの中に、自分でも実践できそうなポイントが見つかったはずです。一流へ1歩でも近づくために、あなたなら、どれから実行しますか? 「結果が出る人、出ない人の4つの違い。「最強のエリート」に学ぶ「最強の勉強法」」では、勉学で結果を出し続けてきたエリートたちの勉強法の極意について解説しています。本記事と合わせてぜひ読んでみてください。

(参考) 鳩山玲人(2013),『桁外れの結果を出す人は、人が見ていないところで何をしているのか』,幻冬舎. Googleブックス|最強「出世」マニュアル 書籍のプレビュー 戸塚隆将(2013),『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』,朝日新聞出版. ムーギー・キム(2013),『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた: グローバルエリートは見た!投資銀行、コンサル、資産運用会社、プライベート・エクイティ、MBAで学んだ15の仕事の極意、そしてプライベートの真実』,東洋経済新報社. Net IB News|社長は転職可能の職業だ!「プロ経営者」玉塚元一氏がローソンを退任 次は楽天に転身か?の観測(後) StudyHacker|良質な人間関係は “昼12時” から始まる。口下手でも人脈が築ける「アライアンスランチ入門」

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