信頼される話し方のポイントは3つだけ——佐藤委子『ビジネスシーンで役に立つ「伝える技術」』第2回

就職活動での面接や仕事でのプレゼンなどで、「話す内容」ばかり意識している人は多いかもしれません。しかし、人の第一印象は、5割が「見た目」、4割が「話し方」、そして残りの1割が「話す内容」と言われています。

その人を印象づけるのにとても大切な要素は、「話す内容」ではなく、実は「話し方」のほうなのです。ですから、「話し方」に気をつけるだけで、人の印象は簡単に変わるとも言えます。

今回は、ビジネスやプライベートにおいて“信頼される”話し方をご紹介していきます。

信頼される話し方のポイント3つ

1. 低い声で話す ずばり、低い声の方が信頼を得やすくなります。たとえば、阿部寛さん、福山雅治さん、麒麟・川島明さんなどが挙げられますね。俳優さんの場合、役柄のイメージが影響するということもあると思いますが、ここであげさせていただいた方々は、その低い声の魅力もあり、話し始めると、聞き手がすっと引き込まれていきます。

逆に声の高い有名人と言えば、哀川翔さん、大泉洋さん、安田大サーカス・クロちゃんなどでしょうか。明るい印象もありますが、その声からテンションの高いイメージもあります。

低い声と高い声の印象の違いを改めて整理しておきましょう。

【低い声】ーーー落ち着き、信頼、安心感、知的 【高い声】ーーー明るさ、若さ、エネルギッシュ、感情的

アナウンサーも、シリアスなニュースを伝えるときは、低い声を使い、グルメやファッションなど、ポップな話題を伝えるときは高い声を使います。どちらが良い、悪いという訳ではありません。信頼を得るということにフォーカスを当てると、低い声のほうが有利であると理解してくださいね。

2. ゆっくりと話す 誰かに何かを伝えようとするとき、人は自分が思っているよりも話し方が速くなる傾向があります。そこで、気持ちゆっくり話すように意識してみましょう。

アナウンサーがニュースを読む速さは1分間に400字程度です。これ以上速く話してしまうと、聞き手が内容を理解できなくなってしまいます。話すということは、音の言葉です。文字の言葉とは違って見直すことはできず、瞬時に消えてしまいます。そのため、聞いている人を置いていってしまう速さで話すということは、自分本位であるという印象を与えてしまうことになるのです。

また、実際の話すスピードが速くなくても、聞き手が速く感じる場合があります。それは、聞き手の知らない言葉が多用されたとき。新しい言葉や外来語などを使いたがる人は、「ただ自分の知識をアピールしたい人」という印象を与えてしまうかもしれません。心に余裕があると思わせるスピード、そして聞き手への言葉の配慮が、信頼へとつながっていきます。

3. “半角スペースの間” を意識する 先ほどの話の中で、聞き手の知らない言葉が多用されたとき、話すスピードが速く感じ、ついていけなくなるという話をしましたが、新しい商品の説明などでは、どうしても聞き手の知らない言葉が出てきてしまいますよね。そこで大切になるのが間の取り方です。

ここでは一番身につけやすい間についてをご紹介します。「新しい言葉」や「難しい言葉」、「大切な言葉」の前に間を空けてみましょう。それらの言葉の前に “半角スペースの間” を入れるよう話してみてください。

【例】こちらが弊社の新商品 (半角スペースの間)「〇〇〇〇〇〇」です。

このように、聞き手にとって「新しい言葉」である新商品の名前の前に半角スペースの間を入れることで、相手の注意を引くだけではなく、次に来る言葉を頭の中に入れやすくするという効果があります。間の取り方のコツをつかみ、信頼される話し方に磨きをかけていきましょう。

自分の話し方を録音して分析してみる

信頼される話し方を身につけるためには、まず今自分がどのような話し方をしているのか客観的に分析してみる必要があります。

その方法は簡単です。録音した自分の声を聞いてみること。とはいえ、専門的な録音機器は必要ありません。スマホの録音機能を使いましょう。そして、声の高さ、話すスピード、聞き取りにくかった言葉などをチェックします。

今回は天気予報の原稿を用意しました。アナウンサーになったつもりでやってみてくださいね。

<例文> 天気予報をお伝えします。明日も晴れて、季節先取りの陽気の所が多くなりそうです。北海道は日中はだいたい晴れるでしょう。東北は晴れ間が出ますが、北部では朝まで雨の降る所がありそうです。関東から九州にかけてと沖縄はおおむね晴れるでしょう。最高気温は平年より高い所が多く、関東から西は初夏の陽気が続きそうです。東京や名古屋は25度くらいまで気温が上がり、日中は汗ばむ陽気でしょう。紫外線対策も必要となりそうです。

これで200字です。録音した秒数はどれくらいでしたか? 30秒よりも速く読み終わってしまった方は、もう少しゆっくりと話すように心がけましょう。

また、再生してみて自分の声にどんな印象を持ちましたか? 自分の録音した声を聞いて、いつもの声じゃないと感じたと思いますが、この声があなたの本当の声。周りの人に聞こえているのはこの声の高さ、話し方なのです。それを受け入れたうえで、もう少し高さやスピードを変えたほうがいいなど、自分なりに対策をしてみてください。

さらに、自分の話し方に磨きをかけたいのであれば、印象を周りの人に聞いてみましょう。自分では気づけなかった良い点を知るきっかけになるかもしれませんし、聞き手からのアドバイスはとても貴重です。

話し方は自分自身でコントロールすることができます。声の高さ、話すスピード、間を意識することで、信頼される話し方を身につけていきましょう。

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