伝わる話の組み立て方——佐藤委子『ビジネスシーンで役に立つ「伝える技術」』第7回

人に何かを伝える際、これまでのコラムでお話ししてきたような “発声” や “滑舌” などはもちろん大切な技術です。しかし、何を話せばいいのか、どんな流れで話せば人に飽きずに聞いてもらえるかなど、“話の内容” の部分も、同じように大切な技術となります。

今回は、話を組み立てるときに気をつけるべきことのお話です。日々のちょっとした意識改革をすることで、伝え上手への一歩を踏み出しましょう。

伝わる話の基本5か条

1. 伝えることはひとつ まず、自分が人前で話すこの機会に何を伝えたいかを明確にすることが大切です。ビジネスシーンであれば、他社製品と比べて自社製品のどこが最も注目すべき特徴なのか、結婚式のスピーチであれば、新郎や新婦のどういった人柄が最も魅力的なのか、などです。ここを最初に決めておかないと、話がまとまらず、結果として聞き手に何の印象も与えることができません。

ある程度の時間が与えられると、「せっかくの機会だ」と、あれもこれもたくさんのことを伝えたいと思いがち。でも基本的に、ひとつの機会で伝えることはひとつです。それは、5分であっても2時間であっても変わりません。「話を聞いてくれた人にどんな印象を残したいか」を、まずはじっくりと考えてください。

2.実体験を組み込む 何かを説明するときに、データやエピソードなどの具体的な情報を出しますよね。でも、一番の説得力を持つのは、やはり自分自身の体験です。「話し手がどのように感じたか」に聞き手は価値を感じ、聞きたいという意欲や、聞いて良かったという満足感につながります。

プレゼンなどではデータに基づいて話を進めることも多々ありますが、そこに自分の体験をもとにした考えを組み込むことで、あなたしか話せない唯一の情報に変わっていきます。聞き手は一般論ではなく、あなたの話を聞きたいのです。

3. データやエピソードは手段 有力なデータやおもしろいエピソードがあると、自分の意識はそこに向いていきがち。しかし、それはあくまでも「伝えたいこと」を効果的に伝えるための手段です。話を組み立てていく間に目的を見失わないようにしましょう。その情報を報告しただけで終わらないようにしてくださいね。

例えば、自社製品の特徴を伝えたい場合、他社製品との比較や、時間軸での改良点などのデータを使う場合があると思います。しかし、その部分の説明にだけ力を注ぎ、終わってしまってはいけないのです。一言でも良いので、それらを踏まえたうえで、「自社製品のここが良いのだ」と、まとめとしてはっきり言葉にするようにしましょう。相手に強い印象を残すことができますよ。

4. 時系列にこだわらない ひとつの事柄について、始まりから終わりまで、時系列で丁寧に紹介する必要はありません。インパクトのある事柄の場合、順番を変えて最初に話したほうが効果的な場合もあります。また、必要のない部分はカットする勇気も持ちましょう。

例:結婚式の友人代表のスピーチ 【1】 小学校4年生のとき、同じ野球部で出会う。 【2】学級委員長を任されることが多く、人々をまとめるのが上手。 【3】高校3年生の夏、甲子園に向けて練習に励む。地区大会の3回戦で敗退。友人は一度も試合に出られずに終わったが、恨み言ひとつ言わず、試合に出る選手を応援した。 【4】4人兄弟で、家族思い。

この中で彼の何を一番伝えたいのかを決める。 →「相手を思いやり、人を応援できるすばらしい心を持っている」 【3】の高校野球のエピソードが印象的なので最初に入れる。【4】の家族思いという点は、伝えたいが、これを入れると話がぼんやりしてしまうのでカットする。

このように、自分が伝えたいことを伝えるために、何の情報を取り上げるか取捨選択し、どの順番で伝えれば効果的か考えて整理することで、話はもっとわかりやすく、伝わりやすくなります。

5. 話し足りないくらいがちょうどいい 人前で話すために、情報を集めたり整理したりしますが、もし、終わった後に「情報をすべて出し切った」と感じた場合は、事前に集めた情報が少し足りなかったと思ってください。テレビの業界は、情報を伝えられる時間がとてもシビアです。番組を作るうえで、事前に時間をかけてたくさんの情報を調べたり、人に話を聞いたりしますが、どんなにいいコメントがあっても、与えられた時間内に収めるためにカットしなければならないときもあります。

しかし、その背景があってこそ、放送に至った情報は伝えたいことの核の部分となり、視聴者に届くのです。たくさんの情報の中から選択し、残ったものがエッセンスとなり、伝えるうえで大きな意味あるものになっていきますよ。

伝え上手になる日々の習慣

人前で突然スピーチを促されても、断らずにスマートに対応する方は素敵ですよね。人前で話し慣れているからと言ってしまえばそれまでですが、こうした方たちは、常に物事に対してどのように感じているのか、自分の考えが整理できているのです。逆に、そのときに急に考えるような人は、話すアイディアが浮かばず、スピーチを難しいと感じてしまいます。

人前で話すことが苦手という方も、生活の中で少し意識をするだけで、伝え上手に変わることができます。ポイントは「日記を書く」という習慣です。今日一番のニュースは何か、そのとき自分がどのように感じたのかを、短くまとめてみましょう。平凡な一日であっても、必ずそこに何かのニュースはあるはず。電車の中で若者がお年寄りに席を譲ったこと、仕事帰りにふらっと立ち寄った喫茶店のマスターの話など、どんなことでもいいのです。これを繰り返していくと、そのときの感情を自分の言葉で表すことが自然とできるようになります。

また、日記を書くためにネタを探すようになり、情報や自分の感情に敏感になります。大きな出来事でなくても、このような日々の蓄積の中から、人前で話すネタは十分見つけられますよ。短い文章でまとめるのに慣れたら、制限時間を設けて行うのも効果的です。

*** 人前で話すことに不安を感じている方は多くいらっしゃいます。子どもの頃、学校の終業式や朝礼で校長先生の話が長くてつまらないなと思ったことがありますよね。そういった経験も、いつのまにか人前で話すことにマイナスなイメージや苦手意識を持ってしまう原因につながっているのかなとも思いますが、人前で話し、自分の考えを人と共有できるのはとてもすばらしいことです。そうした機会に自分をうまく表現できるといいですね。

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