4つのリーダー像、あなたはどのタイプ? 『PM理論』から考える「理想のリーダー像」

みなさんは、集団のリーダーを任されることがあるでしょうか。仕事で評価されたり昇進したりしたときに、誰かの上に立つことは避けられませんね。そうして集団を動かす側に立ったとき、リーダーシップを発揮したいというのは誰もが思うことです。

しかし、リーダーシップが具体的にどんなものか、みなさんは説明できますか? ぼんやりと「リーダーの特性」くらいにしか考えていない人も多いのではないでしょうか。また、だからこそ「自分にはその特性がない、理想的なリーダーにはなれない」と思っている人もいるかもしれません。

リーダーシップに関してはさまざまな考え方があります。ここではその中から「PM理論」というリーダーシップ理論を取り上げ、理想的なリーダー像を具体的に考えていきたいと思います。

リーダーの「PM理論」とは

PM理論は、1966年、日本の社会心理学者・三隅二不二氏らが提唱しました。リーダーシップは「P機能」と「M機能」の2つの機能によって構成されるとする考え方です。

「P機能」は、「Performance function」すなわち「目標達成機能」。チームの目的達成や課題解決を目指す働きです。目標設定、計画立案、メンバーへの指示などがこれに含まれます。具体的な行動としては、

・納期厳守のために綿密にスケジュールを組む ・効率化のために役割を設け、メンバーに割り振る ・メンバーを厳しく指導して規則を守らせる ・成績の芳しくないメンバーを叱咤激励する

などが挙げられます。イメージとしては「引っ張るリーダー」です。リーダーシップという言葉を聞いたときに多くの人が思い浮かべるのは、まずこちらではないでしょうか。

「M機能」は、「Maintenance function」すなわち「集団維持機能」。こちらはチームの雰囲気づくりをする働きです。メンバーひとりひとりを気遣い、チームの人間関係を良好に保ち、集団を維持します。具体的な行動例は、

・メンバーと個別に面談をして意思を確認する ・メンバー間の人間関係の不和に積極的に関与する ・食事会など、メンバー間の交流が図れる場を設ける ・メンバーの苦労を労う、成果を認める

などです。イメージは「まとめるリーダー」。リーダーシップという言葉からは思いつきづらいと感じる人もいるかもしれません。ですがこうして例を見てみると、リーダーとして必要な行動だということがわかるでしょう。

PM理論では、この「P機能」と「M機能」をどちらも持っている人こそリーダーシップのある人物、すなわち理想のリーダーと考えます。

4つのリーダー像。あなたはどのタイプ?

下図のように、「P機能」と「M機能」のそれぞれの高低によって、リーダーのタイプは4つに分類されます。機能が高い場合は大文字、低い場合は小文字で表されます。

(画像引用元:BizHint|PM理論

PM型:「P機能」と「M機能」がともに高い、理想のリーダータイプ。 Pm型:「P機能」は高いが「M機能」が低く、目標達成は早いがチームを団結させられないタイプ。 pM型:「M機能」は高いが「P機能」が低く、チームの雰囲気はよくなるが成果を上げられないタイプ。 pm型:「P機能」と「M機能」がともに低く、リーダーとして最も望ましくないタイプ。

どうでしょう。あなたや、あなたの身近にいるリーダーはどのタイプだと思いますか? PM型に近い人物は思いつくでしょうか。

自分のタイプがよく分からない方は、客観的に判断できる診断ツールを使ってみましょう。こちらのサイトでは、PM理論におけるタイプ分類の診断テストを受けることができます。研修事業を手掛ける株式会社HEART QUAKEが提供している診断テストです。 →■ 株式会社HEART QUAKE|PM理論診断

いかがでしたか。あなたはPM型リーダーになれていたでしょうか。それとも、理想的なリーダーとしては足りない部分が見つかったでしょうか。

理想のリーダーになるためには

PM型のリーダーになるには、この4つのタイプのどれに自分が分類されるかをチェックして、自分に足りない機能を伸ばせばよいのです。漠然とした「リーダーシップ」を追い求めるよりも、何を意識してどう目標を立てればよいかがずっとわかりやすくなりますね。

■ pM型の方がPM型をめざすには

周りに気を遣いがちで集団を引っ張ることが苦手なpM型の方は、P機能を意識し、目標達成の道筋を明確にすることを心がけましょう。人に厳しくすることには性格や素質も関わってくると思います。無理して厳しいリーダーになるよりは、的確に計画を立てて指示を出すことを徹底していくほうが、よりよいリーダーへの近道となるでしょう。

重要なことは、チームとしてどこに向かうのか、何をすべきなのかを確実にメンバーと共有し、実際に目標達成に向かって行動させることです。リーダーがチームの道筋を明確に示すことで、メンバーはリーダーを信頼し、チームへ積極的にコミットするようになります。

■ Pm型の方がPM型をめざすには

効率重視で人間関係をあまり考えてこなかったPm型の方は、M機能を意識し、メンバーひとりひとりを尊重するよう心がけましょう。これまでは効率を重視するあまり、仕事が機械的になり、メンバーの意思がおろそかになっていたかもしれません。積極的にメンバーそれぞれの意見を求めたり、面談をしたりしてみましょう。あるいは、仕事以外のことについて雑談したり飲み会を企画したりして、仕事のうえだけでない信頼関係をメンバー間につくっていきましょう。互いをよく知ることでチームが精神的にオープンになれる場となり、より積極的な意見交換ができるようになるはずです。

■ pm型の方がPM型をめざすには

pm型に分類された方は、自分が理想的なリーダーからはあまりにもかけ離れていることに落胆しているかもしれませんね。だからと言って、リーダーシップという抽象的なものを求めてむやみに行動してしまってはいけません。P機能とM機能のそれぞれを意識すれば、実際どんな行動をとればよいのかが分かりやすいでしょう。2つの機能をバランスよく実践していけば、一気にPM型リーダーに成長できるかもしれません。

*** 理想的なリーダーになるための方法は見つけることができたでしょうか。みなさんの中でリーダーシップという言葉の意味が少しでも明確になり、「自分も理想的なリーダーになれるかもしれない」と思っていただければ幸いです。

(参考) BizHint|PM理論 デロイトトーマツ|PM理論とは ~理論から理解するリーダーシップ~|コラム|人材育成・教育研修 株式会社HEART QUAKE|PM理論の診断テストとリーダーシップ

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