勉強中の「脳に最悪」な休憩のとり方4つ。“定番のアレ” がじつは脳にダメージを与えていた

勉強中の「脳に最悪」な休憩のとり方01

勉強の合間にスマートフォンをいじったり、甘いお菓子を食べたりしていませんか?  

勉強の質を高めたいのであれば、休憩のとり方にも工夫が必要。間違った休憩は脳に悪影響を与え、勉強の効率を下げてしまうのです。

今回は、勉強を妨げる「脳に悪い休憩」を指摘し、正しい休憩のとり方をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.「キリのいいところで休憩をとる」のは脳に最悪

「◯ページまで終わったら休憩しよう」など、キリのいいところまでやってから休憩をとる人が多いのではないでしょうか。じつは、その休憩法は勉強の効率を下げる原因になりうるのです。

その理由について脳科学者の中野信子氏は、キリのいいところで終わらせると、安心して集中力が切れ、再開する際に腰が重くなってしまうからだと説明します。反対に、あえて中途半端なところで休憩を入れると、脳にとって「続きが気になる」状態が続くとのこと。休憩している最中も、頭の片隅で終わらなかった勉強のことがずっと気になり、勉強を再開したくなる効果があるのです。

さらに、未完了のままになっている勉強について脳は「まだ終わってないから忘れてはならない」と認識するため、学んだ内容が記憶に残りやすいという効果もあります。

これは、心理学者のクルト・レヴィン氏とブルーマ・ツァイガルニク氏によって提唱された「ツァイガルニク効果」と呼ばれるもの。「達成できたこと」よりも「達成できなかったこと」や「中断していること」のほうが印象に残りやすいという心理現象です。

勉強をする際は、「この章まで終わらせてから休憩しよう」ではなく、「◯時になったら休憩しよう」と決めて、中途半端なところでも時間がきたらスパッと休憩に入るのがいいでしょう。

勉強中の「脳に最悪」な休憩のとり方02

2.「コーヒーで眠気を覚ます」のは脳に最悪

「コーヒーブレイク」という言葉があるように、コーヒーを飲むと気分がすっきりしますし、眠気覚ましにもなる感じがしますよね。しかし、その休憩習慣は改めたほうがよさそうです。

『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』の著者ショーン・スティーブンソン氏によると、寝る6時間前であってもカフェインを摂取すると睡眠が阻害されることが、研究でわかっているそう。夕方眠くなってコーヒーを飲む→夜の睡眠が阻害される→さらに昼間眠くなる……という悪循環に陥るリスクがあるのです。

また、カフェインは脳の働きに悪影響を与えることもあるのだとか。

スティーブンソン氏の解説によると、目覚めているあいだ、脳細胞は「アデノシン」という副産物を生みます。アデノシンは、受容体と結合し、眠気や疲れ、リラックス効果などをもたらすもの。

ところが、カフェインもアデノシンの受容体と結合できる性質があるため、コーヒーを飲むと、本来アデノシンが結合するはずの受容体のまわりにカフェインが居座ることに。それによって、脳や体が疲れに気づけなくなり、働きすぎてしまうのだそう。カフェインの影響でアデノシンが正常に代謝できなくなると、ストレスホルモンも増えると言います。 

疲れているからといってコーヒーばかり摂取していると、いつまでたっても脳や体が休まらないのですね。スティーブンソン氏いわく、コーヒーを飲むのは午後2時までがおすすめだとのこと。勉強中の休憩の過ごし方として、これからは飲み物の選び方にも気をつけてください。

勉強中の「脳に最悪」な休憩のとり方03

3.「座りっぱなし」は脳に最悪

休憩中も座りっぱなしという人は要注意です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校のプラバ・シダー氏の研究によって、長時間座り続けることは、記憶力の低下を招く原因になりうることがわかっています。

実験では45歳~75歳の男女35人に、1日あたりの平均座位時間を申告させ、彼らの脳のMRI検査を実施しました。すると、座っている時間が長い人ほど、記憶形成に関わる脳領域の皮質が薄いことが判明したのだそう。

そう言われても、仕事も勉強も、私たちには座って行なわなければならないタスクがたくさんありますよね。いったいどうすればいいのでしょう。 

学会誌Journal of Applied Physiologyに掲載された記事によると、30分ごとに2分間軽いウォーキングをすることで、脳への血流がよくなることがわかっています。長時間座ることで脳血流は低下しますが、定期的に立ち上がって歩くことで、それを防ぐことができるのです。 

30分おきにアラームをセットし、鳴るたびに休憩をとって軽く歩き回るのがおすすめです。トイレに行ったり、キッチンへ水を取りに行ったり、立ち上がって机のまわりを少し片づけたりするのがお手軽ですよ。

勉強中の「脳に最悪」な休憩のとり方04

4.「甘いお菓子を食べる」のは脳に最悪

勉強の合間に、つい甘いものやジャンクフードが食べたくなったりしませんか? たしかに気分転換になりますし、脳へのエネルギー補給にもなるから勉強の休憩にはピッタリだ、と感じるかもしれません。しかし、その休憩習慣は脳には最悪。

カリフォルニアのソーク研究所によると、お菓子などの糖質の高い食べ物を摂取するとことで、細胞にダメージを与えてしまうそう。なかでも特にダメージが深いのが、脳細胞なのだとか。

さらに、血糖値が上がった状態で頭を使う作業をすると、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が増え、記憶力が低下したり、イライラしたりするとのこと。

休憩中に何か食べたくなったら、

  • フルーツ
  • 良質な脂(アボカド、ナッツなど)
  • 精製されていない炭水化物(玄米など)
  • タンパク質

など、栄養価が高く、血糖値の上昇が穏やかな食品がおすすめです。 脳には糖分が必要だからと、甘いお菓子ばかり食べるのはやめましょう。

***
今回は、「脳に最悪」な勉強中の休憩のとり方を挙げました。もし当てはまっているものがあれば、ぜひ改善してくださいね。 

(参考)
DIAMOND Online|集中力が高い人ほど「キリが悪いところでやめる」を実行している
大学受験ハッカー|記憶の定着にも、意欲向上にも。「ツァイガルニク効果」で、勉強効率アップを狙え!
DIAMOND Online|コーヒーで眠気をとばすとヤバイ これだけの理由
HEALTH PRESS|座り続けると脳の記憶機能に悪影響! 認知症の原因は運動不足よりも座ること?
東洋経済オンライン|仕事中の「5分間ほっつき歩き」の意外な効用 集中力が途切れる心配はなし
Woman’s Health|Sitting For Long Periods Can Reduce Blood Flow To Brain, Study Says
NCBI|Regular walking breaks prevent the decline in cerebral blood flow associated with prolonged sitting
Psychology Today|Why a Sugar High Leads to a Brain Low 
NCBI|Sugar rush or sugar crash? A meta-analysis of carbohydrate effects on mood
Brainscape|Best brain foods to eat before a test (+ sample grocery list!)

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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