「勉強の先延ばし癖」を直したい! 失敗しないでできる効果的な5つの方法

勉強の先延ばし癖の改善方法1

「せっかく勉強スケジュールを決めたのに、全然できていない」
「勉強を始めようとしても、ついメールやSNSをチェックしてしまう」
「試験の直前まで勉強を始めることができない」

このように、勉強の先延ばしが癖になっている人はいませんか?

今回は、先延ばしせず勉強に取り組むための5つの方法をご紹介します。

先延ばしの原因は “言い訳”?

私たちはなぜ先延ばしをしてしまうのでしょう? 理由は複数あるようです。

そのひとつが、「能力が足りないのではなく、費やした時間が足りないだけ」という言い訳を残すための防衛策だという説。これを示すのが、デポール大学カレッジ・オブ・サイエンス・アンド・ヘルスの研究です。

実験では、被験者にあるテストを受けさせる前に、15分間の練習時間を与えました。受けたテストは全員同じだったものの、グループ1には「認知能力を測るタスク」と伝え、グループ2には「楽しいゲーム」だと伝えたそう。すると、グループ1のほうが、練習を先延ばししたのです。

この結果について研究チームは、「自分の実力を測られるのだ」と意気込んだことで、結果が振るわなかったときの言い訳を残したい心理が働いたのだと結論づけています。

また、先延ばしの原因は脳の仕組みにあるとする研究結果もあります。

ルール大学ボーフムの研究で、「自分は先延ばし癖がある」と自覚のある人の脳を調べたところ、危険を考慮して行動することをためらう働きをする「扁桃体」という部分が大きいことがわかったそう。さらに「扁桃体」と「前帯状皮質」のつながりが弱いことも判明。「前帯状皮質」は「扁桃体」からの情報をキャッチし、行動を始めるか否かの意思決定をする部分です。

ただ、脳の仕組みだけが先延ばしに関係しているとは言いきれず、タスクの難易度や、その日の気分、心理的な要因など、複数のことが関係していると考えられるのだとか。

勉強の先延ばし癖の改善方法2

先延ばし癖を解消する方法1:細かい項目ごとに「ご褒美」を設定

いくら先延ばしの明確な原因を特定することが難しくても、実際問題、先延ばし癖はどうにかして改善したいところ。そのために効果的な方法を5つ紹介しましょう。

1つめは、やるべき勉強を細かい項目に分け、項目ごとに「ご褒美」を設定する方法です。

南カリフォルニア大学とハーバード大学の研究者らによると、どんなに小さいご褒美でも、モチベーションを上げるのに役立つことがわかったそう。さらに、やるべきタスクを細かい項目に分け、ひとつ達成するごとに違うご褒美を用意することが効果的なのだとか。

「問1〜4が終わったら、クッキーを食べていい」
「単語を20個覚えたら、ドラマを1話見ていい」

など、やるべきこととご褒美を、具体的に決めておくのがポイントです。

このメソッドによってモチベーションが上がり、勉強を始めるハードルが下がり、さらに勉強時間も長くなることがわかっているそう。ご褒美があるとわかっていれば、先延ばしせず勉強に取り組みやすくなりますよね。なお、ご褒美は手軽で、できれば無料でできるものがおすすめですよ。

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先延ばし癖を解消する方法2:ToDoリストを工夫する

「勉強のToDoリストには、最優先事項だけを記入して項目を少なくしたほうが、やるべき勉強に集中できる」と考えていませんか? じつはそのやり方は、先延ばし癖のある人にはあまり向いていないようです。

スタンフォード大学の心理学教授ジョン・ペリー氏は、先延ばし癖を解消するにはToDoリストに記入する項目を工夫する必要がある、と述べています。先延ばしをする人は、ToDoリストの最初の項目に取りかかるのを憂うつに感じ、「いっそのこと何もしない」という選択をしがちなのだそう。

そこで有効なのが、簡単なタスクをToDoリストの上部に記入して、達成したらチェックマークを入れることです。

ペリー氏によると、小さなタスクを達成する喜びによって、意欲や集中力を高める「ドーパミン」という神経伝達物質が、脳内で分泌されるそう。たとえば以下のように、勉強のToDoリストをつくってみてはいかがでしょう。

勉強の先延ばし癖の改善方法4

やるべきことが淡々と書かれている「BEFORE」のほうだと気が引けてしまうかもしれませんが、「AFTER」のように簡単なタスクがリストの一番上にあれば、取りかかるのにあまり負担を感じないはず。その後の勉強にもスムーズに入れるのではないでしょうか。

「コーヒーをいれる」「おやつを買いに行く」など、書かなくてもやるような小さなことも、あえてリストに入れておくのがポイント。達成するたびにチェックマークを入れていけば、達成感を得ることができ、前向きな気持ちにもなれますよ。

先延ばし癖を解消する方法3~5:体調、環境、思考を整える

先述のとおり、先延ばしについての研究が数多くあるなか、原因は複数あると考えられています。勉強のやり方が問題なのではなく、普段の行動や考え方が影響しているという説もあるようです。

そこで、勉強するとき以外の生活面の改善法をご紹介します。勉強を始める前に、次の3点を意識しましょう。

■ 睡眠を整える

アムステルダム大学が、「睡眠の質」と「日中に職場で先延ばしをすること」との関係性について研究を行ないました。あらゆる業種の社会人70名に10日間、睡眠と仕事中の先延ばしに関するアンケートに答えさせたそうです。

その結果、やはり睡眠の質が下がっている日は先延ばしをしやすい傾向があるとわかったとのこと。ただし、自己コントロール能力が高い人に関しては、睡眠による影響が出なかったのだとか。

先延ばし癖があり、自己管理に自信のない人は、まずは睡眠を整えるのがよいでしょう。

勉強の先延ばし癖の改善方法5

■ スマートフォンを別の部屋に置く

テキサス大学の研究によって、スマートフォンが手元にあることで認知能力が低下することがわかっています。

研究では、被験者らを【1. スマートフォンを机に置いておくグループ】と【2. カバンに入れておくグループ】と【3. 別の部屋に置いておくグループ】に分け、認知能力を測るテストを実施しました。

結果、最も認知能力が低下したのは、【1. スマートフォンを机に置いておくグループ】。その次が【2. カバンに入れておくグループ】だったそう。

誰しも経験があるように、スマートフォンが手元にあれば、つい勉強そっちのけで触りたくなるものです。先延ばしを防ぐためにも、認知能力を低下させないためにも、スマートフォンは別室に置いて作業をするほうがよいでしょう。

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■ 自分に優しくなる

カールトン大学の研究によると、過去に勉強の先延ばしをしてしまった学生たちでも、自分を許すことで、次に勉強するときに先延ばしをしづらくなることが判明したそう。

反対に、自分を責めると、同じ過ちを繰り返しやすくなるのだとか。

怠けて勉強を後回しにしてしまったときでも、自分に厳しく当たるのではなく、人間だから仕方ないと考えて切り替えましょう

***
勉強すべきであることはわかっているのに、つい放置してしまったり、いつも試験直前になって慌てたりする人は、ぜひ5つの方法を試してみてくださいね。

(参考)
Dataquest|Stop Procrastinating and Start Studying Using Science
SAGE Journals|The Structural and Functional Signature of Action Control
ScienceDirect|Procrastination as a Self-Handicap for Men and Women: A Task-Avoidance Strategy in a Laboratory Setting
APS|Why Wait? The Science Behind Procrastination
Psychology Today|The Secret to Achieving a Big Goal Is...
Quartz at Work|How to stop procrastinating
John Perry (2012), The Art of Procrastination: A Guide to Effective Dawdling, Lollygagging and Postponing, New York: Workman Publishing Company.
NCBI|A Daily Diary Study on Sleep Quality and Procrastination at Work: The Moderating Role of Trait Self-Control
Dataquest|The Phone Proximity Effect: Your Phone Could Be Sabotaging Your Studies
ScienceDirect|I forgive myself, now I can study: How self-forgiveness for procrastinating can reduce future procrastination
The Wall Street Journal|To Stop Procrastinating, Look to Science of Mood Repair

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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