読書の常識を覆す! 読書習慣が劇的に変わる3つの意外な方法

読書をする人

「本を読みたいけど、仕事の疲れで集中できない……」
「読むのが遅くて、1冊終わるまでに何カ月もかかっちゃう……」

こんな悩みを抱えて、読書習慣が続かないという方、実はたくさんいらっしゃるんです。でも、ちょっと待って! もしかしたら、あなたは"読書"というものを難しく考えすぎているのかもしれません。

実は、読書習慣を阻む"思い込み"が、あなたの中に潜んでいるかもしれないんです。今回は、そんな読書を習慣化できない人の3つの思い込みについて、驚きの事実とともにご紹介します。

思い込み1. 活字を読まないといけない

読書が苦手な人の多くは、「読むのに時間がかかる」という課題に直面しているようです。しかし、これは単に目で読む行為に不慣れなだけかもしれません。実は、読書は必ずしも活字を読むことに限定されないのです

音楽や動画の方が内容を理解しやすいと感じる人は少なくありませんね。もしあなたがそうだとすれば、視覚的な情報よりも聴覚的な情報の方が得意である可能性が高いでしょう。

精神科医の樺沢紫苑氏は、

読書が苦手な人は「聴覚型」の可能性が高いんですよ。*1

と述べています。

活字を読むのが遅いと悩む方の多くは、目で文章を追うこと自体に負担を感じているようです。そのため、内容がスムーズに頭に入ってこないのかもしれません。

では、どうすれば良いのでしょうか?  意外な答えは、「目を使わない読書」にあります。従来の「活字を読む」という読書のイメージを覆し、新しいアプローチを試みるのです。

興味深いことに、樺沢氏は読書が苦手な人ほどオーディオブックが効果的だと指摘しています。氏の見解では、「"耳学"なら、気負わずに情報を吸収できる」のだそうです。*1

”本から学ぶ” ことが目的ならば、「紙の本を読まなければ」と固く考える必要はありません。自分の優位な能力である、耳からのインプットに比重を置けばいいのです。オーディオブックであれば、下記のような状況でも読書を進めることができますよ。

  • 電車や徒歩などの通勤時間
  • ランニングやストレッチなどの運動時間
  • 料理や入浴などのプライベート時間

見方を変えると、耳で聴く読書は目で読むよりも自由度が高いのです。電車の中でも、料理中でも、散歩しながらでも楽しめます。まるでお気に入りの音楽を聴くように、気軽に始められるのがオーディオブックの魅力です。日常のちょっとした時間を活用して、新しい読書習慣を始めてみませんか?

電車でイヤホンを耳につける女性

思い込み2. 読了しないといけない

真面目な読書家ほど「本は最初から最後まで読み切るべき」という固定観念にとらわれがちです。しかし、読書の本質的な目的を考えると、必ずしも最後まで読み切る必要はないのです。

「本を読んだことにするには、最後まで読まなければならない」——こう考える方は少なくないでしょう。しかし、この考え方に異を唱える声もあります。ビジネスパーソンの学習支援を行う「1枚」ワークス株式会社の代表取締役、浅田すぐる氏は、「読破」の概念を新たな視点で捉え直しています。氏は次のように述べています。

読破とは、「読書を通じて、課題を打破すること」。あるいは、「読書を通じて、閉塞した状況を突破すること」。つまり、「最初から最後まで」といった「走破」的な意味ではなく、「打破」や「突破」の「破」として「読破」を捉えてみたいのです。*2

読書の本質は「本を通して課題を解決する」こと。勉強するために本を読むのなら、そこには目的があるはずです。目的に該当する部分さえ読めれば、すべてを読む必要はないわけです。

仮に「成功者のインタビュー集」という本を読むとしましょう。仕事のために「経営者や海外で活躍している研究者の習慣」を探しているのなら、すべてに目を通すのではなく、抜粋して読めばいいわけです。

浅田氏は「読破」の意味をさらに深掘りし、こう述べています。

「本を読むとは、自身の課題を『打破』したり、目標達成への障壁を『突破』したりすること。このように捉えれば、本のすべてを読み通す必要はなくなるのです。」*2

この考えに基づけば、読書を始める前に「この本で何を学び、どんな問題を解決したいか」を明確にすることが重要になってきます。例えば:

  • 「Z世代」に関する本 → 若手社員とのコミュニケーションやフィードバック方法を学びたい
  • 「成功者のメモ術」の本 → 効果的なアイデア創出のためのメモ手法を知りたい

読む目的を事前に整理しておけば、目次を見るだけで自分に必要な情報がどこにあるか、自然とわかるようになります。読書習慣を身につけるコツは、「全ページを読まなければならない」という固定観念から解放されること。必要な部分だけを読むという柔軟な姿勢が、実は効果的な読書につながるのです。

読書している女性

思い込み3. まとまった時間じゃないと集中できない

多くの人は、読書には長いまとまった時間が必要だと考えがちです。しかし、実はその逆かもしれません。意外にも、短い空き時間の方が読書に適している可能性があるのです。

この考えを裏付けるのが、日本が誇る記憶のエキスパート、池田義博氏の見解です。世界記憶力グランドマスターの称号を持ち、記憶力日本選手権で6度の優勝を果たした池田氏は、こう指摘します。

「時間を短く区切ることで、集中力の密度を高められる」*3

なぜでしょうか? その理由は人間の心理にあります。時間が限られているほど、私たちの脳は自然と集中モードに切り替わるのです。締め切りが迫ると急に集中できる、あの感覚に似ています。

池田氏はこの心理を以下のように解説しています。

時間に制限がかかることにより脳の集中力がより高まる効果があるからです。これを心理学では「締め切り効果」などと呼ぶことがあります。*3

試験前夜に驚くほど集中できた経験はありませんか? あの集中力の源は、迫る締め切りでした。

この原理を日常の読書に活かせます。電車での移動や待合室での数分間。これらのスキマ時間こそ、意外な読書のチャンスです。なぜなら、限られた時間が「いいプレッシャー」となり、集中力を高めるからです。

「あと少しで降りる」「もうすぐ呼ばれる」という軽い緊張感。この状態が脳を活性化させ、短時間で効率的に読書できる環境を作り出します。つまり、長時間よりもスキマ時間の方が、集中して読書できる可能性が高いのです。

さらに、池田氏によれば、効果的な読書にはもうひとつのポイントがあるそうです。それは “あえて途中で切り上げる” こと。この方法にも心理学的な根拠があります。

ザイガルニック効果とは未完成の仕事や達成途中の目標があると、そのことがずっと頭から離れず、それが気になり続ける現象のことをいいます。*3

つまり、読書を途中で切り上げれば「結局、あの研究から何がわかったのだろう?」などと、否が応でも気にせずにはいられなくなるのです。このモヤモヤが、「本を読んで続きが知りたい!」というモチベーションにつながるのですね。

上記をまとめると——

  • ✕余裕のとれた長い時間→〇制限のある時間
  • ✕キリのいいところで終える→〇途中で切り上げる

これらの点を考慮すると、読書には意外にも「スキマ時間」の方が適しているかもしれません。

実際に、私自身も試してみました。4冊以上の積読を抱えていた私は、スキマ時間を活用した読書法に挑戦。その結果、1週間の読書量に驚くべき変化が見られました。以下のグラフをご覧ください。

筆者の読書記録

結果は驚くべきものでした。劇的な変化ではありませんが、それまで全く読めていなかった状況から、1週間で2冊を読み終えることができました。

初めは集中力が続かず、目だけが文字を追っている状態でした。しかし、短時間集中を繰り返すうちに、内容が自然と頭に入るようになりました。

さらに興味深いのは、心理的な変化です。わずか1分でも読書時間として活用するうちに、「読書は気楽にできるもの」という認識に変わっていきました。まるで本の表紙や目次を眺めるような気軽さです。

また、読書を途中で切り上げると、次に読み始めた時、前回の内容がよく記憶に残っているのです。これはまさに「ザイガルニック効果」かもしれませんね。

長く集中して読むことが苦手でも、「1分だけ」なら続けられそうだと思いませんか?

***
“本から学ぶ” 目的からズレなければOK。「読書をすることは、意外と簡単!」と思えるようになれば、インプットに抵抗がなくなります。お試しください。

【ライタープロフィール】
青野透子

大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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