AIとの論破バトルで鍛える! 最強ロジカルシンキング術

意見を言う女性

「会議で論理的に反論することが苦手だな……」
「説得力のある話し方ができるようになりたい……」

このように、論理的に話すのが苦手だとお悩みの方は多いのではないでしょうか。

克服するためには、実践を通して慣れるのが一番。とはいえ、日常生活でディベートを練習できる場はあまり多くありませんよね。もし手軽に論理的思考力を鍛える方法があるなら、そういったお悩みを解決でき、プレゼンや企画書作成にも活かせるはずです。

そこで今回は、AI技術を活用した新しい学習法「AIディベート」について紹介します。

AIと議論!? 「AIディベート」とは

ディベートというと、相手を言い負かすための攻撃的な議論というイメージがあるかもしれません。しかし、実際のディベートでは、相手の意見を尊重しながら、建設的に議論を進める能力が鍛えられるのです。

コミュニケーション教育学を専門とする、東京国際大学教授・立教大学名誉教授の松本茂氏は、ディベートの効果について以下のように述べています、

自ら議論を立てたり、相手の発言の論理を追ったりすることで、論理的な思考力も伸ばすことができます。また、限られた時間の中で素早く考え、発言する力も身についていきます。

さらに、肯定・否定両方の立場から一つの論題について検討することで、一方の考え方を鵜呑みにしない批判的思考力(クリティカル・シンキング)がついていきます。

(引用元:ベネッセ教育情報|大学教授に聞く「ディベート」をする意義とは?

論理的思考力はもちろん、限られた時間内での情報整理能力、自分の意見を的確に伝えるコミュニケーション能力、多角的に問題を分析する批判的思考力。ディベートをするだけで、これだけの力を養うことができるのです。

これらの能力は、学業はもちろん、ビジネスの場においても非常に重要ですよね。AIとのディベートは、これらの能力を効率的に磨く新しい方法なのです。

AIは、単なる情報検索ツールだと思っていませんか? じつは、AIとディベートすることで、論理的・具体的に話す力を効率的に鍛えられるのです。

文章や話し方の専門家で、作家の山口拓朗氏は「言語化には語彙力、具体力、伝達力が必要」であると語り、「具体的な指示を出さなければ、思った通りに動いてくれないChatGPTは、具体化の訓練にはうってつけ」であると述べています。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンドオンライン|ChatGPTを使いこなせない人は「言語化スキル」が低い可能性があるワケ

ChatGPTを含む生成AIは、徹底的に具体化して話さなければ、求めている返答をしてくれません。そのため、「どうすればもっと具体化できるか?」をおのずと考えるようになり、論理的に話す力を鍛えることができるのです。

では、AIとのディベートのやり方について見ていきましょう。

  1. ChatGPTなどの生成AIにアクセスする
  2. 議論したいテーマを設定し、自分の主張を入力する
  3. AIの反論に対して、さらに反論を展開する

これだけです。とても簡単ですね。生成AIの利用は無料のものも多く、すぐに始められます。

パソコンで作業する女性

おすすめのAIディベートテーマ5選

さて、実際にAIディベートをするなら、テーマが必要ですよね。そこで、以下の5つのテーマをおすすめします。

身近な話題から社会問題まで、さまざまな角度から論理的思考力を鍛えることができますよ。

  • SNSは若者のメンタルヘルスにプラスかマイナスか:現代社会に密接に関わる話題で、多角的な視点が求められます
  • 義務教育でプログラミング教育は必要か:技術と教育の観点から、将来を見据えた議論ができます
  • ベーシックインカム制度は導入すべきか:経済と社会保障の側面から、複雑な問題に取り組めます
  • 人工肉は環境問題の解決策となりうるか:環境、健康、倫理など、多様な観点からの考察が可能です
  • 顔認識技術の一般利用は推進すべきか規制すべきか:技術の進歩と個人のプライバシーのバランスについて議論できます

これらのテーマは、現代社会の重要な問題に触れており、AIとの深い議論を通じて、多角的な思考力を養うことができますよ。

AIディベートを成功させる3つのポイント

AIディベートを実践する際に、次の3つのポイントを知っておくと、効果的に論理的思考力を鍛えられます。

1. 具体的なテーマを選ぶ

「教育について」のような漠然としたテーマではなく、「大学の授業をすべてオンライン化すべきか」のような具体的なテーマを選びましょう

2. 自分の主張に理由をつける

「〜すべきだ」と主張するだけでなく、必ず「なぜなら〜だから」と理由を添えましょう

3. AIの反論を真剣に検討する

AIの反論を読み飛ばさず、じっくり考えてから反論しましょう。ここが論理的思考力を鍛える重要なポイントです。

考える女性

論理的思考力を鍛える5つのコツ

AIディベートを通じて論理的思考力を効果的に鍛えるために、以下の5つのコツを意識しましょう。

1. MECE(ミーシー)の原則を使う

「MECEは、『Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive』の頭文字を取った造語」です。「『漏れなく、ダブりなく』という意味合いで使用されています。」(カギカッコ内引用元:HR大学|MECE(ミーシー)は論理的思考法の基本!フレームワークを徹底解説!

議論の論点は、漏れなく、重複なく整理しておくことで、効率的でスムーズな議論ができます。

2. 具体例を効果的に使う

抽象的な主張は具体例で補強しましょう。よりわかりやすく主張を伝えることができます。

3. 数字やデータを活用する

客観的な数字やデータで主張を裏づけると、説得力が増します。

4. 相手の立場に立って考える

反対意見の視点から、自分の主張を見直してみましょう。

5. 論理の飛躍を避ける

各主張のあいだに論理的なつながりがあるか確認しましょう。

これらのコツを意識しながらAIディベートを行なうことで、より効果的に論理的思考力を鍛えることができます。

AIディベートをやってみた

筆者も、ご紹介した方法を実践して、以下の画像のようにAIディベートをしてみました。

AIディベートの様子

テーマは「大学の授業をすべてオンライン化すべきか」で、AIと20分ほど議論を交わしました。

結果は、予想以上に刺激的で、自分の思考の癖や論理の飛躍に気づくことができました。特に、データや具体例の不足を指摘されることが多く、主張の裏付けの重要性を実感しました。

今回はChatGPTを利用しましたが、AIが多様な視点から反論してくれるので、人間と議論するのと同じくらい幅広い観点から考えることができたと感じました。「論理的な文章が書けない」「プレゼンに説得力がない」という方には、とても有効な練習法だと思います。

また、やってみて気づいたのは、特に難しいテーマについて考える際に便利だということ。AIがさまざまな視点を提示してくれるので、自分ひとりでは思いつかなかったアイデアや論点に気づくことができました。

一方で、AIの反応を待つ時間があるため、リアルタイムのディベートの練習としては物足りない面もありました。目的に応じてAIディベートと人間同士のディベートを使い分けると、より効果的に論理的思考力を鍛えられそうですね。

***
AIは情報を与えてくれるだけだと思っていたので、AIとの議論で論理的思考力が鍛えられたのはとても意外でした。みなさんも身近なテーマで、AIディベートを始めてみてくださいね。

【ライタープロフィール】
柴田香織

大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。

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