「プレゼン資料の作成に時間がかかりすぎて、ほかの仕事に手が回らない……」「同僚の洗練されたスライドを見ると、自分の資料づくりスキルの低さに落ち込む」
このような悩みを抱えていませんか? プレゼン資料づくりに時間をとられすぎると、ほかの業務に支障をきたしてしまいますよね。この状況を改善するには、プレゼン資料作成の効率を上げる必要があります。
本記事では、AIを活用してプレゼン資料作成の時間を大幅に短縮する方法をご紹介します。作成プロセスを根本から見直し、AIツールを効果的に使うことで、驚くほど効率よく高品質な資料をつくれるようになりますよ。ぜひ参考にしてみてください。
- AIを活用したプレゼン資料作成の全体像
- Step1: アイデア出しとアウトライン作成(ChatGPT活用)
- Step2: 内容の充実とストーリー構築(ChatGPT活用)
- Step3: スライドデザインと視覚資料の作成(Canva活用)
- 従来の方法とAI活用法の比較
- AIを活用すれば、プレゼン資料作成の効率が上がる!
AIを活用したプレゼン資料作成の全体像
プレゼン資料づくりに何時間もかけてしまい、ほかの仕事が進まなかった経験はありませんか? プレゼン資料づくりを筆頭に、会議を開催するまでには、やるべきタスクが膨大にありますよね。
実は、AIツールを効果的に活用することで、プレゼン資料作成の時間を大幅に短縮できるのです。
アクセンチュアビジネスコンサルティング本部AIグループAIセンターアソシエイト・ディレクターの佐々木三泰氏も、「解決する一助になるのが生成AIの多彩な機能群だ。アジェンダの生成や、プレゼン資料をどのように組み立てるのか、といった案を生成してくれる」と、ビジネスの場で生成AIを活用することをすすめています。*1
筆者も実際に試してみたところ、従来は6時間ほどかかっていたプレゼン資料作成を、AIツールを活用することで、なんと4時間で完成させることができました。この驚くべき時間短縮を実現した方法をご紹介します。
今回使用したAIツールは以下のふたつです。
- ChatGPT:文章を生成するAI。アイデア出しやコンテンツ作成に活用します
- Canva:デザインを支援するAIツール。スライドデザインや視覚資料作成に使用します
Canvaは、バナーやチラシをつくるためのデザインツールというイメージがあるのではないでしょうか。
「4割の社員がCanvaを使う」エキサイト株式会社では、エンジニアも「外部で登壇するときのプレゼン資料をつくったり、(Canvaの)ホワイトボード機能を使ってミーティングをしている」のだそうです。*2
このように、デザイナー以外の職種の人が、プレゼン資料づくりなどに活用していることからも、Canvaはビジネスシーンで使えるツールだとわかります。
Step1: アイデア出しとアウトライン作成(ChatGPT活用)
では、ChatGPTとCanvaを使って、実際にプレゼン資料をつくってみましょう。
まず最初に行なうのは、プレゼンのアイデア出しとアウトラインの作成です。ここでChatGPTの力を借りることで、短時間で多様なアイデアを得ることができます。
今回は、「働き方改革:業務効率化のための5つの戦略」というテーマでプレゼンをつくることにしました。以下のようなプロンプトをChatGPTに入力しました。
「業務効率化のための5つの戦略」というテーマでのプレゼンテーションのアウトラインを作成してください。
各戦略に簡単な説明を加えてください。
すると、ChatGPTは以下のようなアウトラインを提案してくれました。(一部抜粋)
プレゼンテーションアウトライン: 「働き方改革:業務効率化のための5つの戦略」
1. はじめに
- 背景と目的: 働き方改革の重要性と目的を説明。生産性向上、労働者の満足度向上、ワークライフバランスの実現などを挙げる。
- プレゼンテーションの概要: 本プレゼンテーションで取り上げる5つの戦略について簡単に紹介。
- 説明: 効率的なタスク管理と優先順位付けの重要性を説明。重要度と緊急度に基づくマトリックス(例: アイゼンハワーマトリックス)の活用を紹介。
- 具体例: タスク管理ツール(例: Trello、Asana)の利用方法や、デジタルカレンダーの活用。
このアウトラインを見て、「なるほど、こんな構成で話を進めていけばいいのか」と、プレゼンの全体像がイメージできました。自分ひとりで考えるよりも、短時間で網羅的なアウトラインが得られたのです。
Step2: 内容の充実とストーリー構築(ChatGPT活用)
アウトラインができたら、次は各ポイントの内容を充実させていきます。ここでもChatGPTを活用します。
たとえば、「タスク管理ツールの導入」について、より詳しい情報が欲しいと思いました。そこで、以下のようなプロンプトをChatGPTに入力しました。
タスク管理ツールの導入について、具体的な利点と導入時の注意点を3つずつ挙げてください。
ChatGPTから返ってきた回答がこちら。(一部抜粋)
タスク管理ツールの導入:具体的な利点と導入時の注意点
利点
1. 効率的なタスク管理と優先順位付け:
- タスク管理ツールは、タスクの一覧を一元管理できるため、重要度や緊急度に基づいて優先順位を付けやすくなります。これにより、業務の効率化と効果的な時間管理が可能になります (Seminars.jp) 。
2. チームの透明性とコミュニケーションの向上:
- タスク管理ツールを使用することで、チーム全体が現在のタスクの進行状況をリアルタイムで把握できます。これにより、誰が何を担当しているかが明確になり、コミュニケーションが円滑になります 。
ChatGPTの回答を参考にしながら、自分の知識や経験を加えて内容を充実させていきました。この過程で、AIの提案をうのみにせず、自分の視点や業界知識を織り交ぜることの重要性を実感しました。
Step3: スライドデザインと視覚資料の作成(Canva活用)
内容が固まったら、いよいよCanvaを使ってスライドのデザインをしていきます。Canvaは直感的に操作できる上に、AIを活用した機能が充実しているので、デザインが苦手な人でも美しいスライドをつくることができます。
特におすすめなのが、「Docs to Decks」という機能。これは、テキストを打ち込むだけで、テイストにあったスライドを生成できる機能です。この機能自体は、Canvaに会員登録するだけで無料で使用できます。しかし、このなかの一部の機能は、Canvaプロ(有料)に登録しないと利用できません。
まず、Canvaのホーム画面で「ドキュメント」を選択後、「Docs to Decks」を選択します。
Microsoft Wordのようなドキュメント画面が表示されます。そこに、ChatGPTの回答を自分なりに咀嚼・肉づけした文章を打ち込みます。「見出し」「小見出し」「本文」に分けて書くようになっていて、見出しひとつにつき、1ページのスライドが生成されます。
書き終わったら、左上の「マジック変換」をクリックすると、スライドが出来上がります。
もちろん、テンプレートはあとから変更可能。レイアウトも、ほかの選択肢が表示されているので、簡単に微調整できますよ。ここまでベースのデザインが仕上がっていれば、あとは調整するだけなので短時間で完成させることができます。
このように、CanvaのAI機能を使えば、視覚的に魅力的なスライドを短時間で作成することが可能です。デザインはAIに任せて、伝えたい内容を深めることに集中できますね。
従来の方法とAI活用法の比較
従来の方法とAI活用法を比較すると、以下のような違いがありました。
1. 所要時間
- 従来の方法:約6時間
- AI活用法:約4時間
2. アイデアの多様性
- 従来の方法:自分の知識の範囲内に限定されがち
- AI活用法:AIの提案により新しい視点を得られた
3. デザインの質
- 従来の方法:基本的なデザインに留まることが多い
- AI活用法:プロフェッショナルなデザインを短時間で作成できた
4. 作業の負荷
- 従来の方法:アイデア出しや情報収集に多くの労力が必要
- AI活用法:AIのサポートにより、作業の負荷が大幅に軽減された
AIを活用すれば、プレゼン資料作成の効率が上がる!
ChatGPTとCanvaのAI機能を効果的に活用することで、プレゼン資料作成の効率を大幅に向上させることができました。
これまでは、プレゼン資料づくりに大幅に時間をとられていましたよね。しかし、生成AIを取り入れることで、プレゼン内容を考えたり、本番でしっかり伝えたりするために時間を使うことができます。
とはいえ、生成AIをうのみにしてしまうのはよくありません。生成AIの回答が妥当かどうかを自分で確認することは必ず行なうようにしましょう。
また、プレゼンの内容によっては、会社の機密情報に触れる場合があります。そのような内容は、AIツールに入力しないことが重要です。
AIツールはあくまでも補助とするのが賢い使い方。うまく活用しながら、自分らしさを失わないプレゼン資料づくりを心がけましょう。
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新しいツールに挑戦するのは少し勇気がいるかもしれません。でも、一歩踏み出してみれば、きっと新しい可能性が広がるはずです。AIという頼もしいパートナーと一緒に、あなたならではの魅力的なプレゼンテーションをつくり上げていってください。
※引用部分の丸カッコは筆者が補った
*1 東洋経済オンライン|ChatGPT「資料作成から転職活動まで」便利技3選
*2 Canva|社員の4割がCanvaを活用!導入で成果を出しやすくなる環境作りに成功
柴田香織
大学では心理学を専攻。常に独学で新しいことの学習にチャレンジしており、現在はIllustratorや中国語を勉強中。効率的な勉強法やノート術を日々実践しており、実際に高校3年分の日本史・世界史・地理の学び直しを1年間で完了した。自分で試して検証する実践報告記事が得意。