勉強で “覚えられない” 壁にぶつかる4つの理由。脳神経外科医らは「正しい覚え方」をこう説く

勉強で「覚えられない」壁にぶつかる人の残念な4つの特徴01

「完璧に暗記したはずなのに、テストになると単語が出てこない」
「毎日頑張ってテキストを読んでいるが、要点をなかなか覚えられず先に進まない」

勉強でこうした「覚えられない」壁にぶつかると、努力が報われなくてつらいものですし、モチベーションが下がりますよね。

一生懸命テキストを読んでノートをとり、問題集も解いているのに、なぜ覚えたい知識や情報が記憶に残らないのか? それは勉強のやり方にちょっとした残念な特徴があるからだと、勉強のスペシャリストや脳科学者らは指摘します。ではさっそく、その特徴を4つご説明しましょう。

【1】単語の暗記にとらわれすぎている

「単語さえ覚えていれば問題は解けるはず」
「単語の名前を答えるだけだから、丸暗記で大丈夫だろう」

こうした勉強のやり方で、苦い結果となった経験がある人は多いことでしょう。

『30代サラリーマンが1日1時間で東大に合格した 「超」効率勉強法』著者である松下佳樹氏によると、覚えたはずの知識を試験で使えない人には「単語を暗記していても、中身を理解していない」という特徴があるのだそうです。

たとえば、マーケティングの勉強をしていて「3C分析」という用語を学んだとしましょう。しかしその名前だけを覚えても、具体的に何を意味するのかまで理解していなければ、テストでうまく回答できませんよね。

脳神経外科医の林成之氏は、「そもそも脳は名前だけで覚えることができず、情報を追加して記憶を強化する必要がある」と指摘します。単語の名前だけではなく、意義も含めて覚えるようにすれば、点数アップにつながるとのこと。

先ほどの例で言えば、「3C分析、3C分析、3C分析……」とだけ繰り返し暗記しても、覚えられないのは当然。「3C分析は、マーケティングにおける概念のひとつ。3つのCはCustomer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)を指す。環境分析を行なう際に欠かせない視点である」という意義まで一緒に覚えるのです。

それでも覚えられない場合、意義に含まれる「マーケティング」「環境分析」といった単語を、名前を知っているだけでわかったつもりになっていないか、また確認していくとよいでしょう。

加えて、東京疲労・睡眠クリニック院長で医学博士の梶本修身氏によれば、感情をともなって覚えると「エピソード記憶」としてより長期的に内容を記憶できるそう。たとえば3C分析について学んでいる最中に、「顧客の顧客まで分析する6C分析もあるのか!」と驚くことがあったとします。すると「驚き」という感情によるタグづけが行なわれ、SNSのタグ検索のように、脳内から情報を掘り出しやすくなるとのこと。試験中、思い出せないと感じる機会を減らすことができますよ。

勉強で「覚えられない」壁にぶつかる人の残念な4つの特徴02

【2】ノートに丸写しして覚えようとしている

前出の松下氏いわく、覚えられない人は、内容を理解しないまま「ノートへ丸写し」しているのだとか。ただ丸写ししただけで知識を頭に入れたつもりになっていると、結局「テキストの要点をノートにまとめたけど、覚えていない」「セミナーの内容をひとつも漏らさないようメモをとったのに、頭に残っていない」という状況に陥りやすくなります。

一方で、覚えられる人は「内容を理解してから、自分の言葉でノートにまとめている」そう。まずは、理解できていないところを調べたり、講師に疑問点を尋ねたりするのだと松下氏は言います。そうして内容を解釈したあと、自分の言葉でノートにまとめるのです。

これは脳科学的に見ても有効だと、脳神経外科医の築山節氏は伝えています。というのも、自分の言葉でノートにまとめようとすると、すでに覚えている知識と新たな知識とが脳内で結びつき、記憶が強化されるから。

たとえば「3C分析」について、すでに「マーケティングの手法である」と知っていたとします。この場合、先述のような3C分析の意義を具体的に学んだうえで、「なるほど、3C分析は3つの観点から事業の成功要因を分析するマーケティングの手法なのだな」というように解釈をして、自分の言葉でまとめるのです。そうすれば、前から知っていた情報と新しく学んだ情報が結びついて、より強く記憶に残るはずです。

加えて、自分なりに解釈をして納得感を得ることは脳にとってごほうびであり、勉強を続けたくなる動機にもなるそうですよ。

勉強で「覚えられない」壁にぶつかる人の残念な4つの特徴03

【3】細かい知識は必要なとき調べればいいと考えている

「この内容は細かすぎるから、試験後に忘れたところで問題なさそうだ」
「こんな知識が役に立つのか。実践でほとんど使わないだろう」

このように、心の底から覚えるべきだと思っていない情報は、覚えられなくて当然だと前出の林氏は言います。なぜなら、脳は重要な情報だと認識したものしか記憶を残さない性質をもっているからです。

林氏は、脳が重要な情報を記憶する仕組みについて次のように説明しています。

A10神経群が、情報に対して「重要」「おもしろい」「大変」「つまらない」などポジティブ・ネガティブな感情のレッテルを貼る
→次に、前頭前野が、「重要」「おもしろい」などのポジティブなレッテルを貼られた情報を理解する
→さらに、自己報酬神経群が、情報を記憶に残す

つまり、勉強をする際も「試験に出るから面倒だけど覚えるか」というネガティブな感情をもったままでは覚えられません。心の底から覚えなければいけないと思っていないことが脳に伝わってしまうからです。

林氏いわく、本心から「覚えよう!」と思うためには、勉強のゴールを、試験合格よりも実践的なところまで掘り下げるとよいとのこと。たとえば、2級FP技能検定の勉強をする場合。

×「勉強内容そのものに興味はないけど、社会人に人気の資格らしいから取得しよう」

「ファイナンシャルプランナーとして独立して、保険加入を検討している人の相談役になりたい」

◎の例のように、「仕事でどのように役立てたいか」まで具体的にイメージしましょう。そうすれば、自己報酬神経群が強く働き、自主的に学ぶようになって記憶もしやすいと林氏は伝えています。

一時的に暗記しておけばいい、いざとなればテキストを読み返せばいいと心のどこかで思っていると、なかなか覚えられず勉強がはかどらなくなるので要注意です。

勉強で「覚えられない」壁にぶつかる人の残念な4つの特徴04

【4】同じところばかり繰り返し暗記している

もう飽きているのに、確実に覚えなければと同じところばかり勉強していると、集中力が落ちてむしろ覚えられなくなってしまいます。前出の梶本氏によると、飽きは、脳からの「同じところばかり使っていると疲れる、別のことをしなさい」という警告なのだそう。

また『30代で人生を逆転させる1日30分勉強法』著者である石川和男氏も、「同じところばかり勉強していると飽きが来るので、効率的には覚えられない」と述べています。

石川氏によれば、ひとつのことだけに集中しすぎず、勉強内容を定期的に変えるとよいそう。たとえば、宅地建物取引士資格試験を受験する場合なら、1日中「宅建業法」について勉強し続けるのではなく、飽きが来る前に「法令上の制限」の勉強へ切り替えるのです。

勉強内容を変えるタイミングとしては、精神科医の樺沢紫苑氏が提唱する「15・45・90分の法則」が目安になるでしょう。15分は深い集中を持続させられる時間であり、45分は子どもでも集中力を保てる時間、そして90分は大人が集中していられる時間の限界を意味します。なかでも注目すべきは、「深い集中を持続させられる15分間」です。

東京大学大学院教授の池谷裕二氏と株式会社ベネッセコーポレーションが実施した「勉強時間による学習の定着・集中力に関する実証実験」では、「連続して60分勉強したグループ」よりも「休憩を挟みながら15分の勉強を3回したグループ」のほうが、テストの点数が高いという結果が出たと報告されています。

つまり、先ほど挙げた宅地建物取引士資格試験の例なら、「宅建業法」の勉強を15分、「法令上の制限」の勉強を15分などと切り替えながら学習時間を積み上げていくほうが、まとめて勉強するよりも集中できて、効率的に覚えられるということです。

調子がよいときにはもう少し時間を延ばしてもかまいませんが、同じ科目ばかり勉強し続けていると脳を疲れさせて記憶力や集中力を落とし、うまく暗記できなくなる原因になるのでやめましょう。

***
一生懸命勉強しているのに覚えられない人は、ノートのとり方やスケジュール管理を工夫するとスムーズに記憶できるようになるかもしれませんよ。さっそく、できることから始めてみましょう。

(参考)
林成之 (2015), 『図解 脳に悪い7つの習慣』, 幻冬舎.
松下佳樹 (2021), 『30代サラリーマンが1日1時間で東大に合格した 「超」効率勉強法』, 彩図社.
梶本修身 (2017), 『すべての疲労は脳が原因 3 仕事編』, 集英社.
株式会社シナプス|6C分析とは:BtoBの環境分析
築山節 (2012),『脳が冴える勉強法 覚醒を高め、思考を整える』, NHK出版.
リクナビNEXTジャーナル|この「勉強法」は、やってはいけない~暗記編~
精神科医・樺沢紫苑の樺チャンネル|15-45-90の法則 集中力持続時間の秘密 【精神科医・樺沢紫苑】
PR TIMES|学習時間を細かく分けた「45分」で「60分」と同等以上の学習効果を発揮 “長時間学習”よりも短時間集中の“積み上げ型学習”が有効であった

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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