未着手の勉強の山を “たった7日” で崩せる4つのルール。「とりあえず5分&斜め読み」が効く!

7日間で「未着手の勉強が山ほどある状態」を解消できるルール01

仕事のために身につけなければならない知識がある。だけど、資格試験の準備もしなくてはならないし、ビジネスパーソンとして教養も深めたい……。気がついたら勉強が山積み!

——そんな状況に頭を抱えていませんか? やるべき勉強がたまると、「勉強しなければ」とわかっていても、その量に圧倒されて未着手のままになってしまう。そんな人は少なくないはずです。

では、「未着手の勉強が山ほどある状態」を解消するにはどうしたらいいのでしょう? 今回の記事では、たった7日間でその山を崩し始めるための4個のルールをお伝えします。

ルール1. 集中できる環境づくりをする

山積みの勉強を前にすると、手も足も出ない感じがしてやる気が失せてしまいがち。そこで、まずは 勉強に集中できる環境づくりから始めてみてください。

受験医学研究所所長の吉田たかよし氏は、「勉強場所を最適な状態に整えれば、脳はスムーズに勉強モードに入れる」と述べます。近年の研究で、脳は環境からの影響をよくも悪くも受けることが明らかになったのだそう。

サルフォード大学の研究で、勉強場所の設計条件と学業成績には相関関係があることが示されました。2011~2012年度の1年間に、34の教室で学んだ751名の生徒の学業成績を調べた結果、教室の配色や複雑性、光の差す方向といった環境要因6項目が、成績と関連していたのだとか。つまり、勉強がうまくいかないとき、勉強環境を整備し直すのは、有効な選択肢のひとつだと言えるです。

自宅で勉強する人は、勉強部屋のちょっとした模様替えがいいでしょう。吉田氏は以下のポイントをすすめています。

  • 窓際に机を置く。長時間手元を見ることによるストレスを、遠くを見て解消するため。
  • 机に置くのは「いま勉強している教材」と「筆記用具」のみ。多くの教材が目に入ると、あれもこれもやらなきゃ……と焦る原因になるため。
  • 勉強と無関係な物は片づける。雑多な状態が目に入ると、脳は余計にエネルギーを消費してしまうため。

また、必ずしも自宅だけで勉強する必要はありません。吉田氏によれば、人の目がある環境だと、脳の覚醒度が上がり、勉強がはかどるのだとか。「図書館で勉強したら、いつもより集中できた」という経験がある方も多いはずです。

未着手の勉強の山を崩し始めるために、まずは勉強に集中できる環境を整えて、意欲を高めることから始めましょう。

7日間で「未着手の勉強が山ほどある状態」を解消できるルール02

 

ルール2. 優先順位をつける

勉強すべきことがたくさんあると、当然ながら一度に全部こなすことは不可能。着実に勉強を前に進めるために、優先順位を決めましょう

教育事業を行なう株式会社カルペ・ディエム代表の西岡壱誠氏によると、東大生のなかには「短い時間で結果を出す」ことを重視する人がいて、彼らは本番から逆算して優先順位をつける習慣をもっているのだそう。「試験本番までに確実にやっておかないと、点数がとれない」という項目を、最初に確認するイメージです。

また、優先順位をつけるには、タスクの解像度を高めることが不可欠だとのこと。「とりあえずAの資料に目を通そう、Bの問題集をできるところまでやろう……」と曖昧に考えるだけだと、無駄が多くなるからです。取り組む勉強を具体的に列挙したうえで、優先順位をつけるのですね。

さて、今回私たちが目指すのは、未着手の勉強の山を7日間で確実に崩し始めること。そのために、まずはやるべき勉強を具体的に洗い出します。

  • 明日の仕事の研修会資料を予習する
  • 教養を深めるための本『C』を読む
  • 2か月後の資格試験の問題集を10ページ解く
  • 仕事の生産性を高めるビジネス書『A』『B』を読む
  • 資格試験問題集の第○章を復習する

このうち、最優先すべきなのは「いますぐ必要」な勉強です。上記のケースだと、仕事や資格試験対策関連が該当するでしょう。優先度順に並び替えてみます。

  1. 明日の仕事の研修会資料を予習する
  2. 2か月後の資格試験の問題集を10ページ解く
  3. 資格試験問題集の第○章を復習する
  4. 仕事の生産性を高めるビジネス書『A』『B』を読む
  5. 教養を深めるための本『C』を読む

このように、優先度を見定めれば、どこから着手すればいいのか見通しがつきやすくなります。「このままではマズい!」と焦って勉強し始めるより、ひと手間かけてタスクと優先順位を明確にしてから勉強を始めるほうが、短期間でも確実に勉強を前進させられますよ。

7日間で「未着手の勉強が山ほどある状態」を解消できるルール03

ルール3. 斜め読みをする

未着手の勉強の山のなかには、読むべき資料、読むべき参考書がたくさん含まれていることでしょう。それらを頭から順に精読していては、なかなか前には進めません。

「勉強なのだから全部きっちり読まなくては」という考えはちょっと置いておき、重要ポイントだけ斜め読みしてみましょう。というのも、完璧主義でいては、とても7日間では勉強の山を崩しにかかれないからです。

立命館大学教授の千葉雅也氏は、勉強のための読書では、論理構造を理解しながら読む「精読」が重要だと強調しつつも、「必ずしもすべての本を精読する必要はない」と述べています。いろいろ勉強したいときほど、精読にこだわらなくていいとのこと。少し情報を得たいのなら、気負わず斜め読みをする——このように、読むハードルを下げてみるのです。

また、1日1冊以上本を読む生活を何年も続けているという経営コンサルタントの藤井孝一氏も、斜め読みを推奨しています。「この本を読んで何を知りたいのか」をあらかじめ決め、それに合致するところだけを選んで読むという方法です。この方法なら、訓練が必要なわりに必ずしも内容が身につかない「速読」に比べ、確実に本の内容をインプットできるのだそう。

なお斜め読みの際は、テキストの「目次」「見出し」「太字」をチェックしましょう。京都大学に首席合格した経験をもつ実業家の粂原圭太郎氏によると、これらの箇所に重要事項が集約されているそうです。

以上をふまえて、たとえば以下の手順で読んでみてはいかがでしょうか。

  1. パラパラと全体を見ながら、「目次」「見出し」をチェックする
  2. 知りたい情報とそうでないものを選ぶ
  3. 知りたい情報のページを開き、「太字」に着目しながら読む

未着手の勉強の山を、短期間で少しでも小さくするためには、あえていま必要としていない情報を捨てる勇気をもつことも大切なのです。

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ルール4. 5分だけやる

勉強環境を整え、優先順位を決めて、斜め読みをしてみよう……ということはわかっても、やはり勉強量の多さに圧倒されてやる気が起きないこともあるでしょう。つい先延ばしにしてしまいそうなら、“とりあえず5分だけやる” というルールを設けてみてください。

ジョージタウン大学の臨床心理士アンドレア・ボニオール博士によると、この「5分間ルール」は、認知行動療法で用いられる先延ばし回避テクニックのひとつ。最も困難な「物事に取り組む最初のステップ」のコストを下げるのに有効なのだそう。

そもそも、やる気は待っていても自然と湧いてくるものではありません。メンタルコーチの大平信孝氏は、行動に着手して初めてやる気が出てくると言います。

その仕組みの鍵を握るのが、脳の側坐核という部位。側坐核が刺激されると、意欲を高めてくれるドーパミンが分泌されます。しかし、「いまからこの勉強を片づける!」と気合いを入れるだけでは、側坐核は刺激されないのだとか。側坐核を刺激できるのは、気合いではなく「行動」なのです。

積まれた勉強本の山に気が重くなった場合、「ひとまず、5分だけやろう」と決め、軽い気持ちで本を開いてみてください。たった5分であれば、1時間やひと晩中取り組むよりも心理的な負担が軽いはず。5分が経過したとき、「もう少し進めたい」と意欲も変わってきますよ。

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勉強の山を7日間で解消するテクニックまとめ

以上、4つのテクニックをご紹介しました。とはいえ、7日間ですべての勉強を解消するのは物理的に不可能です。このテクニックを使う重要な意味は、“確実に勉強の山を崩していく”という意識をもつこと。7日間の過ごし方の一例は、次のようになります。

  • 【1日め】集中できる勉強場所の確保。すべき勉強の優先順位づけ
  • 【2日め】:最優先の勉強から「5分ルール」×「斜め読み」で実践
  • 【3日め】「ひとまず5分だけ」外出先でも実施する
  • 【4日め】:しだいに斜め読みに慣れてくる。勉強が着実に進んでいると実感
  • 【5日め】:勉強に対する抵抗感が薄れ始める
  • 【6日め】:5分ルールを設けなくとも、勉強場所に行けば勉強するようになる
  • 【7日め】最優先の勉強が終わる

注目すべきは5日め。「5分ルール」と「斜め読み」に慣れ始め、“勉強をする”ことへの抵抗感が薄れていく時期です。ここまでうまくいけば、勉強場所に行くだけで勉強モードに切り替わる「すぐできる」マインドに変わっているはず。

7日間で勉強の山を解消できるルールとは、目の前の勉強に対する心理的なハードルを下げ、勉強を確実にこなすサイクルをつくることなのです。

***
まだ勉強の山に着手していないという人は、今回紹介したコツを参考に7日間実践してみてください。「すぐ行動できる」意識に変わってくるはずですよ。

(参考)
大学受験パスナビ|意欲・集中力&能率が大幅アップ! 受験に成功する“環境”のつくり方
WIRED|「教室の設計が成績に影響」を実証
東洋経済オンライン|「勉強めんどくさい」でも東大合格する人の思考
PHPオンライン衆知|千葉雅也 著者に聞く『勉強の哲学』
ダイヤモンド・オンライン|「1日1冊」ビジネス書を読んでインプットを確実に増やす方法
ダイヤモンド・オンライン|5分で簡単に記憶が定着する「イマナニ法」
Psychology Today|The Surefire First Step to Stop Procrastinating
東洋経済オンライン|意志の力は不要!「すぐやる人」になるコツ2つ

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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