今度こそ勉強の習慣化に失敗したくない人が「やってはいけない」こと。目標なんか気にするな!?

今度こそ勉強の習慣化に失敗したくない人が、最初の段階で「やってはいけない」こと01

何度も勉強の習慣化にチャレンジしたけど、1回も成功していない。自分にはもうできないんじゃないか……。

そんなあなたは、いままで無理をしていた可能性が。本当は、ほんの少し意識を変えるだけでも、習慣化の成功に近づけるようです。

勉強を習慣化したいなら、“頑張りすぎ” や “こだわりすぎ” はNG。では具体的にはどんなことを「してはいけない」のでしょう? 4つご紹介します。

目標達成にこだわりすぎてはいけない

「絶対に勉強を習慣化する!」という目標への意識が強すぎたあまり、思うように勉強できない日が数日続いたとき、一気にやる気を失った――そんな経験はありませんか?

世界的ベストセラー『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』の著者 ジェームズ・クリアー氏は、目標は一度設定したら忘れてもいいと話します。

なぜなら、目標達成のことばかり考えると、「いま目に見える成果」に気をとられがちになるから。そうすると、成果が見えないとすぐに落胆しかねず、「数か月後、数年後に現れるはずの大きな成果」にたどり着けないのです。

クリアー氏によると、習慣が自動化するまでには必ず停滞期間を通るのだとか。停滞期には成長を感じられないものの、停滞期を越えて初めて感じられる成果があるのだそう。この停滞期に習慣化を諦めてしまわないためには、目に見える変化を求めすぎずに、毎日の行動に集中することが大切です。

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さらにクリアー氏は、「成功への道はたくさんある」とも話します。成功に至るまでのプロセスは1通りではない。改善しながらいろいろな方法で成功を目指せばよいということです。

勉強の習慣化を目指す例で考えてみましょう。

「毎日30分勉強するぞ」という目標を立てた。夜に勉強しようと決め、初めこそうまくいっていたけれど、数日経つと疲れて勉強が続かなくなってきた。30分勉強すると決めたのに……これじゃあ習慣化は失敗だ!

このように諦めてしまうと、結局また勉強習慣はゼロに逆戻り……。そこで、「毎日30分」という目標はいったん忘れ、日々できる勉強行動を考え、実行していきます。

夜30分の勉強は続かなかったから、朝の通勤中にテキストを開いてみることに。通勤は平日なら毎日行なうものなので、テキストを開くのも自然と苦にならなくなってきた。30分という当初目標には届いてないけれど、毎日勉強できるようになってきた!

最初に決めた目標に縛られることはありません。結果はゆっくり出てくること、イメージしていた結果とは違うかもしれないこと。それを忘れずに、日々できる勉強に集中していれば、おのずと勉強の習慣が身につくでしょう。

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難しくしてはいけない

毎朝30分の学習を習慣化しようとした。けれど、「今日は寝坊したから」「ちょっと疲れているから」と言い訳を積み重ね、失敗し続けている――このような場合には、習慣をもっと簡単にしてみましょう

クリアー氏は「2分間ルール」というメソッドをすすめています。これは、新しい習慣を始めるときは、「2分以内にできるもの」にするということ。いったん物事に着手すると続けたくなる心理を利用したものです。

たとえば、「毎朝30分の勉強」を習慣化できなかったのであれば、「毎朝テキストとノートを机に出す」ことを続けてみましょう。語学学習のためにラジオを聴くのであれば、「ラジオのアプリを開いて2分だけ音を流す」などがよいですね。最初は本当に2分以内にストップし、だんだんと「もっと長くやってみよう」と思えるようになるのを待つのです。

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そのうちに勉強できる時間が、2分から5分、10分と長くなってくるかもしれません。そして、最初に2分間ルールで設定した最も小さなタスクが、運動前の準備体操のように、勉強を開始するための儀式になってくれるでしょう。そうなれば、その後の勉強に集中しやすくなり、パフォーマンスも上がるのだそう。

クリアー氏は、「改善は複利的に起きる」と主張しています。自分の行動を毎日1%改善するだけで、複利的にどんどん変化が大きくなるのです。そんな複利的成果を得るためには、小さくてもいいので毎日続けることが大切。

自動的に勉強できるようになるには、簡単なことから始めるほどいいのです。いきなり負荷の大きい勉強に挑もうとしないで、「こんなことでいいの?」と思うくらいの小さな勉強に取り組み続けましょう。

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楽しむことを忘れてはいけない

「早く成果を出そう」と思うと、効率がいいと言われる勉強法ばかりを選んでしまうかもしれません。なかには、やるのがつらかったり、つまらなかったりする方法もあるでしょう。しかし、勉強を継続するために最も大切なのは「楽しむこと」です。

シカゴ大学教授のAyelet Fishbach氏とコーネル大学准教授のKaitlin Woolley氏の調査によって、新たな行動を習慣づけるには、「効率的な方法」よりも「楽しい方法」のほうが長続きすることがわかっています。

たとえば、体を鍛えるには、フィットネス機器を使い黙々とトレーニングをするのが効果的かもしれませんが、トレーニングに興味がない人にとっては退屈で続かないもの。しかし、友人と一緒にダンスのクラスに参加するのであればどうでしょう。体を鍛える効果が下がる可能性はありますが、楽しめるため、習慣化はしやすくなります。

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なぜ「楽しい方法」のほうが長続きするかというと、私たちは「あとから得られる報酬」よりも、「すぐに得られる報酬」を重視する傾向にあるため。「“いま” 楽しくない」行動を継続するのは、非常に困難なのです。

経済学者のKaty Milkman氏は、上記の研究をふまえ、習慣化を楽しむための「テンプテーション・バンドリング」という方法を紹介しています。これは、自分が楽しめる娯楽と、習慣化したい行動を絡めるというもの。たとえば、「笑える番組を見ながら、ハードなトレーニングをする」などです。

おいしいお菓子を食べながら、お気に入りの音楽を流しながら、好きなコーヒーを味わいながら——ちょっとしたご褒美のような行動と勉強をセットで “ひとつの習慣” にしてみてはいかがでしょう。勉強を続けるには、効率のことばかり考えず、「楽しむ」ことも大切ですよ。

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期間にこだわってはいけない

勉強習慣づくりを始めたばかりの時期には、誰もが同じ疑問に直面するのではないでしょうか。その疑問とは、「いつまでやれば習慣が身につくの?」というもの。

習慣化の初期には、身体的にきつかったり先延ばししたくなる気持ちが湧いたりと、心身の抵抗がたくさん起きるもの。「せめて2週間頑張ればなんとかなるだろう」「1か月やれば習慣化できるかも」など、ゴールまでの日数を数えたくなるかもしれません。

ですが、どうせ毎日やるのだから期間は気にしないほうがいいようです。これは、前出のクリアー氏が自身のブログで述べていること。継続することを目的に習慣化するのですから、期間にはこだわらずに目の前のことに取り組むのが大切ということです。

習慣化にかかる日数については、こんな研究結果が出ています。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのPhillippa Lally博士が、96人の被験者を集めて検証したところ、習慣化に必要な期間は「18日〜254日」とばらつきがあったそう。行動の難易度や、個人の性格により、何日で習慣が形成されるかは異なると判明したのです。

「あと何日頑張ればいい?」「もう1か月たつのに、勉強習慣がまだ不安定……」などと不安になったり嘆いたりしていませんか? 日々の勉強を着実にこなしていけば、最終的には勉強が続くようになるはずですよ。

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勉強の習慣化に失敗してしまうのであれば、上記の4つの行動に気をつけてみてください。毎日の成長がほんの少しで、自分で気づけないほどだったけれど、いつのまにか自然と勉強が続いていた——そんなふうに習慣化できたらいいですよね。

(参考)
ジェームズ・クリアー 著, 牛原眞弓 訳(2019), 『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』,パンローリング株式会社.
Fast Company|5 steps to finally making changes in your life
Lally, P., van Jaarsveld, C.H.M., Potts, H.W.W. and Wardle, J.(2010), “How are habits formed: Modelling habit formation in the real world” European Journal of Social Psychology,  Vol.40,  pp. 998-1009.
James Clear|“How Long Does it Actually Take to Form a New Habit? (Backed by Science)”

【ライタープロフィール】
平野ももこ
大学ではフランス文学を専攻し、物語のなかの人の心を中心に研究。出版社を経営していた祖母の影響もあり、純文学、心理学、ビジネス書など幅広く読む大の読書家である。現在は、メンタルケアやカウンセリングを勉強中。バレットジャーナルの実践を通じ、生活改善に成功し続けている。

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