【日経編集委員が語る】英語で情報収集できると圧倒的に有利! 英語メディアを効率よく読む4つのコツ

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ01

「英語はある程度読めるけれど、話せない。だから、英語を仕事に活かすのなんて無理だ」
「ペラペラにならない限り、仕事に使える英語力をもっているとは言えないのではないか」

そう思って、英語学習に挫折している方はいませんか。じつは、英語を流暢に話したり書いたりできなくても、ある程度英語が読めて聞けるスキルがあるなら、英語での仕事に十分活かすことが可能。たとえば、あなたの英語力を英語での情報収集に役立ててみてはいかがでしょう。英語で情報収集できることには、さまざまな仕事上のメリットがありますよ。

  • 英語で情報収集できることの圧倒的優位性
  • 英語で情報収集するスキルの身につけ方

について、元・日本経済新聞社英文編集部次長で、現在は日本経済新聞社編集委員の木村恭子さんと、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」の兼清達史トレーナーが登壇したウェビナー『仕事が速くなる! アイデアがわく! 日経編集委員と学ぶ「英語での情報収集スキル」の高め方』(2021年7月28日開催)の様子をレポートしながら、詳しくご紹介しましょう。

【登壇者プロフィール】

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ02

木村恭子(きむらきょうこ)
福島県出身。津田塾大学学芸学部英文学科卒。筑波大学大学院カウンセリング修士号取得。読売新聞社政治部記者、米ブルームバーグ通信東京支局記者、日本経済新聞社英文編集部次長などを経て、現在は日本経済新聞社編集委員。毎週水曜夕刊「Step Up English」面やBSテレ東「日経ニュースプラス9」の月曜コーナー「FTで知る世界の核心」など英語ニュース解説も担当。2021年4月から早稲田大学大学院および同志社大学の非常勤講師を兼務。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ03

兼清達史(かねきよたつし)
英語パーソナルジム「ENGLISH COMPANY」トレーナー。大学卒業後、商社勤務。海外営業や事業企画等に携わる。米国顧客を担当した。その後、教育分野に転身、英語講師としてのキャリアを積んだ。

英語で情報収集できると得することとは?

木村さんによると、英語で情報収集できることには以下のメリットがあるそう。

【メリット1】情報量が多い

日本語と英語両方で情報にアクセスできることで、日本語では発信されない情報にも触れられるため、日本語だけで情報を集めるのに比べて得られる情報量が圧倒的に多くなるそうです。

【メリット2】多角的な視点がもてる

日本語のみならず英語で情報収集ができると、日本以外の国や地域に見られる別の観点が得られやすい、と木村さんは述べています。

たとえば、2020年にアメリカで白人警察官が黒人に暴行した事件に関するニュースは、日本ではあまり詳細に取り上げられなかった一方、アメリカのメディアでは暴行の背景や、暴行に対する警察へのデモを含め、連日詳細に報道されたとのこと。英語の情報収集ができれば、こうした日本語の報道だけではキャッチできない出来事の詳細を知ることができます。

また、英語のメディアを読むことで、海外メディアが日本の政策をどのように評価しているかという第3者の視点にも気づけるようになるそうです。

【メリット3】新しい重要な情報をすばやくキャッチできる

翻訳版を待つのに比べて、世界を動かすようなニュースをすばやく把握できるというメリットもあります。木村さんによると、日経でも日本語より先に英語で報じられる重要なニュースも多いそう。

その一例として木村さんが紹介したのが、日本経済新聞社発行の英字媒体「Nikkei Asia」の2021年7月の報道。Apple社が2022年に販売するすべてのiPhoneを5G対応にするという内容の記事です。この事実は、台湾の「Nikkei Asia」記者が、台北にある関連工場に対して取材を行なって初めて明らかになったものだそう。英語でニュースになったのち、翌日になってようやく日本語で報じられたとのことです。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ04

英語メディアを使った情報収集のコツ

英語で情報収集できることには、大きなメリットがあることがわかりました。では、具体的にどのようにすれば英語メディアで効率よく情報収集できるのでしょうか。木村さんは、次の4点をすすめます。

1.「見出し」のルールに注目する

「見出し」は記事の要点を端的に示しています。出来事をコンパクトに躍動感をもって伝える役割を担うため、いつ起きた出来事かを問わず、現在形で示すのがルールだそう。また、代名詞、冠詞、be動詞は原則省略されるとのこと。このルールを頭に入れておけば、どんなニュースを伝えているかをある程度推測することが可能です。

2. 日本語で全体像をつかんでから、関連記事を英語で読む

英語の記事を読む前に、同じテーマの記事を先に日本語で読んでおくのも有効だとのこと。日本語で全体像をつかんでおくことで、関連した英文記事の内容をすぐ把握できるというメリットがあるそう。日本語の記事は、英語記事を逐語訳したものでなくてもよいとのことです。日本語と英語の表現の違いに気づきを得たり、日本人と外国人の両方の視点から情報収集したりすることもできると木村さんは述べています。

3. 読む記事をあらかじめ決めておく

「必ず読むメディアを決めておく」のもポイントだそう。「忙しくても、このメディアだけは読む」という習慣をつけることで、新しい情報を常にアップデートできると言います。そのうえで、関連記事を別の英語メディアで読んでみるのもおすすめだとのこと。

4. 辞書は引かない

辞書を引かずにある程度意味を推測しながら読むほうが、辞書をそのつど引くよりも読み通すまでの時間が少なくなり、結果的に速読の訓練にもなるそうです。辞書を引くなら、その言葉を知らないと全体像がつかめない場合や、その言葉を会話やメールで使う必要がある際に、使い方を確認する場合に限ると、木村さんは述べています。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ05

ビジネスパーソン必読の英語メディア

英語メディアは非常に多種多様なため、どのメディアを読めばよいか迷ってしまいますよね。そんなビジネスパーソンの方のために、英語でサッと情報収集するのに最低限読むべきメディアを木村さんに紹介していただきました。

金融や投資、経済に関わるビジネスをしている方が読むべき主なメディアは、Financial Timesや、The Wall Street JournalBloomberg。特に「Financial Times」は、イギリスをはじめとするヨーロッパの金融状況を知るのに役立つのだそう。

アジア諸国とビジネス上の関わりが強い方は、アジアの市場動向や経済のニュースを詳しくチェックできる「Nikkei Asiaは必読です。特に、情報規制が進む中国と深く関わるビジネスは、中国政府の意向を知らないとうまく進まないとのこと。政府の意向を詳細に描写している新華社通信(Xinhua Net)や、環球時報(Global Times)といったメディアに目を通してみるとよいそうです。

もし諸外国とビジネス上の関わりがなく、ジャンルを問わない場合には、ReutersAP通信(Associated Press)といったニュース記事を読むのが、短くて読みやすい点でもおすすめ。先ほど紹介した「Financial Times」も、経済に限らず世界各国の多彩なニュースを扱っているため、幅広いニュースを追う際にも有効なメディアであると、木村さんは語ります。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ06

英語で情報収集するスキルの効率的な身につけ方

ここまで、英語で情報収集するメリットや有効なメディアを見ていきました。ここからは、ENGLISH COMPANYの兼清トレーナーが伝授する、英語での情報収集スキルを効率よく習得する方法を見ていきましょう。

英語での情報収集に必要なリーディングスキルの身につけ方

英語で情報収集するのに前提となるのは、英語をすばやく理解できるスキル。英語についての知識だけでなく、大量の英文を読んだり、聞いたりして瞬時に要点を把握できる力が求められます。

兼清トレーナーは、瞬時に要点を把握するためには、リーディングにおいて少なくとも約150wpm(wpm=words per minute、1分あたりに処理する単語数)の文の処理スピードが必要だと語ります。150wpmは、TOEICのリーディングテストでおおよそ全問解き切れるスピードの目安だそう。

英文を読むのがどうしても遅くなる方にまず見られるのは、語彙力が不足している課題。まずは英語で情報収集するために必要な語彙力の強化を優先しましょう。兼清トレーナーによると、日常の会話や、映画、新聞を理解するのに必要な英語は約6,000〜9,000語だそう。TOEICテスト900点だと、およそ10,000語必要だと言われていますが、じつは、約9,000語であらゆる英文の約98%をカバーできるとのことです。よって、約6,000〜10,000語程度の語彙力習得が最優先だと、兼清トレーナーは述べます。

では、語彙はわかっていても英文を読むのが遅い課題をもっている方は、主に何を解決すべきでしょうか。それは「返り読み」。英文を一度読んでから、日本語に訳すためにいったん返って読んでしまい、読むスピードが遅くなる現象です。

「返り読み」を解決するためには、英文を先頭から読んで理解できるようにしなければなりません。そこで有効なのが「チャンクリーディング」。意味のかたまりであるチャンクごとに、先頭から内容を理解していく読み方です。

以下の英文は、2020年12月11日の記事 “Japan Aims to Bring Total Lifetime Auto Emissions Down to Zero” の抜粋です。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ07

これをチャンクで区切ると、こうなります。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ08

チャンクのない最初の文に比べると、読みやすくなったと感じませんか。チャンクリーディングに繰り返し取り組むことで、文構造が複雑でも、返り読みせず先頭からスムーズに理解できるようになっていきますよ。

チャンクごとに内容を把握できたら、次は「サイトトランスレーション」。チャンクごとに瞬時に意味を思い浮かべられるかチェックする、プロの通訳も実践しているトレーニングです。

英文をきれいに訳そうとするよりも、チャンクの内容を瞬時に思い浮かべられるかを意識しましょう。次の画像の日本語部分を手などで隠してトライしてみてください。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ09

英語での情報収集に必要なリスニングスキルの身につけ方

英語での情報収集で動画を活用する方もいるでしょう。仕事上においてもウェブ会議やプレゼンなど、相手の英語をしっかり聞き取れなければならない機会がある方もいるはず。そんなとき、簡単な文章のはずなのに、なぜか相手の英語が聞き取れないと悩んでいる方はいませんか。

英語が聞き取れない主な原因は、英語の音声変化。ネイティブは、自然に話すときに音をつなげたり省エネで発音したりして、言いやすいよう発音を変化させているのです。兼清トレーナーによると、自身の想定している音と、ネイティブの実際の発音にギャップがあることで聞き取りづらくなるのだそう。

兼清トレーナーは、音声変化にはルールがあり、ルールに則って自分でも発音できるようになれば、音声変化を含めてしっかり聞き取れるようになると言います。音声変化のルールは以下の5つ。

  • 連結:単語どうしがつながって発音される
  • 脱落:あるべき音が発音されない/聞こえにくくなる
  • 同化:隣り合う音に影響を受けて、違う音に変化する
  • ら行化:/t/や/d/が日本語の「ら行」のような音になる
  • 弱形:文中では弱く短く発音される単語がある

聞き取れる音を増やすためには、まずどこが聞き取れないかを明らかにしなければなりません。リスニングの課題がピンポイントに見つかるトレーニングが「ディクテーション」。流れてくる英語の音声を紙に書き取って、聞き取れなかった音を特定しましょう。

次に、聞き取れなかった音にどのような音声変化が起きているかを分析し、音声に続いて発音練習をします。そして、流れてくる音声に最初から最後までぴったり重ねて発音する「オーバーラッピング」、流れてきた音声に続いて、1、2語遅れで発音する「シャドーイング」をこなすことで、英語のリズムや音の変化に対応することが可能です。

日経編集委員と英語学習のプロトレーナーが伝授する英語の情報収集のコツ10

英語での情報収集スキルを気軽に伸ばせるウェブサービス

今回ご紹介した「チャンクリーディング」や「シャドーイング」をはじめとする、英語での情報収集スキルアップにつながる高密度トレーニングをご自身のスマートフォンでできるWebサービスがあります。その名はENGLISH COMPANY MOBILE

木村さんも紹介していた「Nikkei Asia」の記事が平日に毎日1本配信され、それを使って、英語での情報収集スキルを伸ばすための効果的なトレーニングが行なえます。さらに、「Nikkei Asia」の購読権もついており、トレーニングだけでなく実際に英語での情報収集もできますよ。

詳細は以下のリンクをチェックしてみてくださいね。

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英語で情報収集することで、多角的な視点が身につき、かつ重要な情報にいちはやくアクセスできますよ。アジア諸国を中心とした最新の世界情勢をチェックできる「Nikkei Asia」とスキマ時間に英語の情報収集スキルを強化できる「ENGLISH COMPANY MOBILE」をともに活用して、ライバルに情報量の差を見せつけませんか。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部
「STUDY HACKER」は、これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディアです。「STUDY SMART」をコンセプトに、2014年のサイトオープン以後、効率的な勉強法 / 記憶に残るノート術 / 脳科学に基づく学習テクニック / 身になる読書術 / 文章術 / 思考法など、勉強・仕事に必要な知識やスキルをより合理的に身につけるためのヒントを、多数紹介しています。運営は、英語パーソナルジム「StudyHacker ENGLISH COMPANY」を手がける株式会社スタディーハッカー。

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    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
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