脳神経科学者が説く「4つの集中モード」を意識した勉強法。集中状態を “切り替える” だけでいい

4つの集中モードが、うまく絡んでいるイメージ

「集中しなければ、集中しなければ」と自分にプレッシャーをかけすぎて、むしろ勉強がはかどらない状態にしてはいませんか?

必要に応じて集中モードを切り替える、あるいはそのときのモードに適した勉強を行なうようにすれば、自分を追い詰めることなく勉強が促進されるはずです。今回は、脳神経科学者が提唱する「4つの集中モード」を活用した勉強法を紹介しましょう。

4つの集中モードとは

ほとんどの人は “集中” を、「目の前の課題に没頭すること」だと認識しているのではないでしょうか。しかし、脳神経科学者の青砥瑞人氏によれば、集中はもっと柔軟で幅広いものなのだとか。同氏は脳神経科学の研究を通して、以下「4つの集中モード」を見いだしたそうです。

1. 入門集中

意識が外部の、狭い範囲に向けられている状態。一般的にイメージされる「集中」はこれ。新しい情報を取り込もうと注意を向ける、あるいは仕事や勉強に打ち込むモード。

2. 記銘集中

意識が自分の内部の、狭い範囲に向けられている状態。ひとつの課題について思案する、あるいは入力した情報の記憶痕跡化(※学習時に活動した神経細胞集団として痕を残すこと)目を閉じて考える、もしくは(思案するうち)何かを思い出しているモード。

3. 俯瞰集中

意識が外部の、広い範囲に向けられている状態。記憶と経験に基づいて、俯瞰的、大局的に物事をとらえて判断をくだしている、あるいは直感的に意思決定を導くモード。

4. 自在集中

意識が自分の内部の、広い範囲に向けられている状態。ほぼ無意識の状態で、ボーっとしているように見えるが、かなり自由で活発に考えをめぐらせている。想像、妄想、創造のモード。

複雑に絡み合う集中モードのイメージ

集中モードとDMNの関係

さらに、脳の情報処理ネットワークのひとつであるDMN:デフォルトモードネットワーク(default mode network)と、集中モードとの関係について説明します。

DMNとは安静時の脳活動のことで、空想にふけるとき、白昼夢を見るときなどに活動するネットワークのこと。創造力を発揮し、想像を膨らませる際の起点となるそうです。このネットワークの中枢領域のひとつがPCC(後部帯状回)という部位なのだとか。

そのため青砥氏は、新しいアイデア、独創的なアイデアを出すときには、PCCがうまく働くと成果が期待できると述べます。

ちなみにPCCは「記銘集中・俯瞰集中・自在集中」のときは活動するものの、一般的に集中している状態だとされる「入門集中」では不活性化しているそう。なぜならば入門集中のときは、別の重要な情報処理ネットワークが働いているからです。

つまり一番の問題点は、1つの集中モードに偏り「あー集中できない」と勉強を諦めてしまうこと。それぞれの集中モードの有用性を無駄にしてしまうことです。4つの集中モードを意識すれば、難なく、無駄なく、効果的に勉強できるはずなのです。

パズルになった赤い電球。インスピレーション、創造的思考のイメージ。

集中モードを意識した勉強法

青砥氏によれば、4つの集中のモードは「入門集中」を起点に、ほかの3つをうまく絡ませ活用していくのが理想的なのだそう。これらをふまえ、4つの集中モードを意識した勉強法を紹介しましょう。

◎【新たな物事】⇒「入門集中」モード

初めて勉強する箇所は、“従来型の集中” である「入門集中」モードで取り組むのが最適です。対象以外に気を散らすものを極力なくすことがポイント。たとえばスマートフォンを遠ざける、机の上を整理する、必要なものを取り出しやすくしておくなどを心がけましょう。

◎【理解、解決、思い出す】⇒「記銘集中」モード

入門集中でインプットした情報の理解を深めたい、そこから解決策を見いだしたい、あるいは勉強した内容を思い出したいなら「記銘集中」モードです。テキスト等を閉じる、目を閉じるなど、視覚情報を「無」か「シンプル」にすることがポイント。

認知科学者のArt Markman氏によれば、難しい質問に答えたり、過去の視覚的な記憶について考えたりする場合は、目を閉じるか、上を向くなどして視覚情報を遮るといいとのこと。視覚に関与する脳領域が忙しく活動しないようにするためです。

◎【全体の把握、要点を絞る】⇒「俯瞰集中」モード

初めての参考書を使う際は、まず「俯瞰集中」モードで全体像を把握してから、そのあと入門集中モードに切り替えてはいかがでしょう。また、直感的に要点を絞る、直感的に要・不要を分ける際にも適したモードです。

ちなみに世界記憶力グランドマスターの称号をもつ池田義博氏によれば、無駄なエネルギー消費を嫌う脳は、全体像がわかると働き始め、重要なものに意識を向けてくれるとのこと。俯瞰集中モードから、入門集中モードへと自然に移行するわけです。

この「俯瞰集中」モードに切り替えるコツは、視線を一箇所に留めないことと、広範囲で見ること。たとえば文章を読むときは、すばやく滑らせるように読むか、文字をたどるのではなく段落ごとに見て、段落単位で視線を移動させるイメージです。

◎【アイデア創出、問題解決】⇒「自在集中」モード

最もPCC(後部帯状回)が活性化する集中モードなので、アイデアを出したいとき、問題を解決したいときなどに、あえて自分がボーっとできる状況をつくります。それが切り替えスイッチになるはず。たとえば散歩、シャワー、窓の外を眺める、コーヒーを飲む、トイレに行く、ただ部屋を歩き回るなど。
こうして4つの集中モードを意識すると、集中力の幅が広がり、パフォーマンスを高めることが可能になるそうです。ぜひお試しくださいね。

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集中モードを意識した勉強法を紹介しました。もう、「集中しなきゃ」と自身を追い詰める必要はなくなるはずです。

(参考)
OPTRONICS ONLINE|名大ら,安静状態の脳活動パターンが自閉症スペクトラム傾向に関与することを発見
WIRED.jp|「クリエイティヴ」な人々は、脳のネットワークも“独創的”だった:研究結果
PHPオンライン衆知|「読んだ本の内容」を忘れなくなる“記憶のテクニック”
東洋経済オンライン|米名門大飛び級の脳科学者に学ぶ集中の高め方
Psychology Today|Why Do You Close Your Eyes to Remember?
脳科学辞典|記憶痕跡

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