『ドラゴン桜』と現役東大生500人に学ぶ。勉強成果を出すには「〇〇感」が最も重要だ

東京大学本郷地区キャンパスにある安田講堂。東京大学大講堂。

人気漫画『ドラゴン桜2』の編集担当で、ドラマ版の脚本も監修している現役東大生の西岡壱誠氏は、東大に合格するために最も重要なのは「責任感」だと述べます。今回は、『ドラゴン桜』と現役東大生、そして仕事のプロフェッショナルたちにも学ぶ、「責任感の強さが勉強の成果につながる理由」を紹介します。

東大生は人のせいにしない

西岡氏は500人以上もの東大生を取材し、彼らの責任感の強さを肌で感じたそうです。これは、同氏が東大に合格した際にも感じたことなのだとか。西岡氏が出会った東大生らは、失敗や不達成をこう考える傾向にあるのだそう。

  • 「なぜ自分は〇〇ができなかったのか」
  • 「もっと自分はこうするべきであったのではないか」

つまり、物事を「自分の責任」としてとらえて原因を探り、次に役立てようとするわけです。

楽しそうに学びを進める、責任感が強い東大生たちのイメージ

なぜ勉強には「責任感」が必要なのか?

しかし、傾向だけでは「東大に合格するために最も重要なのは責任感」と考える根拠にはなりません。なぜ西岡氏は、責任感の強さが勉強の成果を生むと説くのでしょう?

――その根拠は、責任感の強さが「必死さ」につながることにありました。

〇〇を行なえば誰かの頭がよくなる、健康になる、スリムになると言われても他人事ですが、「あなた自身がそうなる」と言われたら自分事になり、必死な行動に直結するはず。つまり、責任感の強さ=自分事にする力の強さなのです。

責任感がない場合と、責任感が強い場合、それぞれ「成績が悪かったこと」をどう解釈するのか例を見てみましょう。

<責任感がない⇒他人事になる>

成績が悪かった――「時間がなかったせいだ」「授業がわかりにくかったせいだ」「参考書がダメだったせいだ」「〇〇が遊びに来たせいだ」「部活が(仕事が)忙しかったせいだ」

この場合、仕方がなかった、自分ではどうにもできなかったと、結果をそのまま放置してしまいがちです。一方のこちらでは――

<責任感が強い⇒自分事になる>

成績が悪かった――「自分の責任だ、どうにかしたい」「自分の何がいけなかったのだろう?」「勉強のやり方が間違っているのだろうか?」「何をするべきだろう?」「どの部分ができていて、どこができていないのかハッキリさせたらいいかもしれない」 「やってみよう!」

――と、たとえばこのように、責任感が強いと自分事になって問題を解決しよう、改善しようと必死になるので、考え方が建設的になるのです。自分ではコントロールできない状況をつくる他責思考ではなく、コントロール可能にする自責思考は勉強行動につながりやすいということ。

(※他責思考:他人に責任があると考える/自責思考:自分に責任があると考える)

自責思考で勉強に励む、デニムのブルゾンを着た東大生のイメージ

「責任感」には勇気が必要

そんな西岡氏も以前は、成績の悪さを「自分の責任」にする勇気はなかったそうです。責任をもつと誰のせいにもできず、努力や実力が足りないなど自分の弱点と向き合う必要があるからです。

しかし、のちにそれを克服し、現在に至る西岡氏は、“弱点” こそが自分を成長させる最強ツールだと述べます。『ドラゴン桜』で龍山高校を見事に再建したキャラクター、桜木建二先生のセリフにも、こんな言葉があります。

「弱さを知り、強さに変える」

(引用元:東洋経済オンライン|東大生も納得「ドラゴン桜」本質すぎる受験心得

さらにこんなセリフも。

「人生を変えられるのは自分しかいない」

(引用元:同上)

時として、人生の「舵」はとても重いかもしれません。それでもその「舵」を握って操縦できるのは自分だけなのです。他人や環境のせいにしていたら、自分の人生が “波” 任せになってしまいます。

ほんの少し勇気を出して、「自分の何がいけなかったのか?」「ではどうしたらいいか?」と自問すれば望む方向に舵を切ることができ、未来という景色が少しずつ変化していくはずです。

「A sense of responsibility」の文字と学校に向かう大学生

「責任感」が成功も引き寄せる?

それに、自責思考は社会に出てからの成功にも不可欠なのだとか。

ブレグマン・パートナーズCEOのピーター・ブレグマン氏は、悪いこと(たとえば業績悪化など)を誰かのせいにすれば気が楽になるが、それはあくまでも一時的なもので、自ら責めを負ったほうが結果的にはさまざまなメリットがあると述べます。「誰かのせい」は愚かな戦略なのだとか。

その理由は、誰かを責めると人は「自分は悪くない」「関係ない」と学びを止めて、同じ失敗を繰り返してしまうからです。

逆に自ら責任を負えばこうした悪循環が生まれることなく、学びが進むということ。これは西岡氏が「責任感の強さが、必死さにつながる」「弱点と向き合えば成長する」と説いたことにも通じるのではないでしょうか。

ブレグマン氏は、責めを負えば学びが深まり、信用されて、問題も解決に向かい、自尊心も高まるとし、もはや限りなく万能薬に近いと説明しています。

ボーダーシャツを着た責任感の強い学生あるいは社会人。勉強に没頭している

自責思考になるコツ

では、どうしたら自責思考になれるのでしょう?

コーチングのプロフェッショナルである石川尚子氏は、人や環境のせいにしてばかりの中高生の子どもたちの思考を、「誰かが〇〇をしてくれない」から⇒「自分はどうするか」へとシフトさせるべく、彼らに対し

  • 「あなたは、どうならいいの?」
  • 「あなたは、どうしたいの?」
  • 「あなたが、今できることは?」

と、主語を「あなた=子ども本人」にして質問を投げかけるそう。彼らの意識を “外側=誰か” ではなく “内側=自分自身” に向けるためです。自分が主語になると、物事を制御できる感覚が得られ、いわゆる自分事になります。先述の内容とも共通していますね。

この取り組みは、勉強する大人にも有効なはずです。ぜひ「いまひとつ成績が上がらない」「テストの出来が悪かった」といったときは、「私の勉強には何が足りなかったのか?」「いま私に必要な勉強は何か?」と、自分を主語にして問いかけてみてください。

***
『ドラゴン桜』と現役東大生、そして仕事のプロフェッショナルたちにも学ぶ、責任感の強さが勉強の成果につながる理由を紹介しました。わずかな意識変化でも、未来は大きく書き換えられるはずです。

(参考)
東洋経済オンライン|東大生も納得「ドラゴン桜」本質すぎる受験心得
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|自らの非を認めなければ信頼も成長機会も失う
ベネッセ教育情報サイト|「人のせい」にして不満ばかり言う子どもへの関わり方[やる気を引き出すコーチング]

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