難関資格や東大受験に “働きながら合格した” 勉強猛者は、過去問・参考書をこう使っていた!

過去問・参考書の使い方01

「キャリアアップのために資格をとりたいけど、時間がない」
「働きながら資格勉強も効率的にやるなんて、本当にできるの?」

そんな悩みや疑問がある人は、過去問題集や参考書の使い方を工夫してみませんか? じつは、限られた時間のなかでも、教材の使い方次第で学習を飛躍的に進ませることができるのです。難関資格や東大受験に働きながら合格した “勉強のプロ” とも呼べる人たちが、どのように過去問題集や参考書を活用していたかご紹介しましょう。

【1】最初に過去問を読んで勉強範囲を絞り込む

資格をとると決めて、いざ勉強を開始しようというときには、参考書を1ページめから読むのがきっと一般的でしょう。しかし忙しい社会人の場合、この読み方だと「時間がないから丁寧に読んでいられない」「ページ数が多すぎて間に合いそうもない」といった理由でモチベーションが低下し、勉強に挫折してしまうかもしれません。実際に勉強時間が足りなくなるおそれも。

資格試験の勉強を効率よく進めるカギは、自分に足りていない知識だけに的を絞ることだ――。そう述べるのは、『捨てる勉強法』の著者で司法書士、社会保険労務士など複数の国家資格を保有する並木秀陸氏です。

並木氏は、資格勉強の効率を高めるため、最初に過去問題集を読んで勉強範囲を絞り込むことをすすめています。具体的には問題文を読んだあと、すぐにその問いに対する答えや解説を読むのだそう。そのうえで、

  • 解説の内容を知っていた場合 →「すでにある知識」
  • 逆にまだ知らない場合 →「いまの自分に足りていない知識」

と判断するのです。そうすれば、試験合格のために必要な知識を確実に補えるうえ、もう知っていることを二重に勉強せずにすみますよね。

この勉強法は、普段の業務と資格試験の内容に共通点がある社会人の場合、特に有効だと言えます。なぜなら、業務を通じてすでに得ており、あらためて勉強する必要のない知識を選別するのに役立つからです。たとえば、不動産関係の仕事に就いている人が宅地建物取引士資格試験の勉強をするといったケースなどが当てはまります。

並木氏が紹介している具体例を参考にしながら説明しましょう。「不動産の売買契約に関する民法の規定」を問う問題の解答や解説に、「民法96条により、詐欺または脅迫によって契約を結んだ場合は取り消すことができる」旨が書かれている場合……

  • 民法96条を暗唱できるレベルで知っている。同様のケースを実務で経験している →「すでにある知識」
  • 民法96条と言われても内容を思い出せない。同様のケースを実務で経験していない →「いまの自分に足りない知識」

となり、後者に当てはまるような場合にのみ、その知識の勉強に時間を割けばよいことがわかります。

このように、まずは過去問題集を読みつつ勉強範囲を絞り込んで、合格に足りない知識を把握しましょう

過去問・参考書の使い方02

【2】寝る前の1分間で要点を拾い読みする

仕事終わりは疲れていて、過去問を解いたり、参考書を何ページも一生懸命読んだりするのは難しい……という人も実践しやすいのが寝る前1分記憶術です。

記憶をつかさどる脳の海馬は夜ほど活発に働く傾向にあり、また睡眠中の脳は記憶の定着に専念することから、寝る前の記憶は残りやすい――『寝る前1分記憶術』著者であり、行政書士や社会保険労務士をはじめ90個超の資格をもつ高島徹治氏はそう述べます。

やり方は簡単です。参考書や過去問題集に付箋などでマーキングをした箇所を拾い読みして、内容を覚えているかどうか1分間チェックするだけ。内容が多すぎると、記憶に残りにくく時間もかかってしまうので、拾い読みする箇所は5項目、1分間で収まるくらいに留めるのが理想的だそう。あらかじめ教材を読み、マーキングしておく作業は必要ですが、その程度なら元気なときにスキマ時間でできますよね。

また、参考書をパラパラめくって本文全体を眺めながら読むだけでもよいとのこと。参考書には重要箇所が太字や赤字で記されていることが多く、目にとまりやすいので、短時間の勉強でも記憶できると高島氏は言います。

寝る前のたった1分間なら、忙しくて疲れている社会人でも、勉強に取り組みやすいでしょう。

過去問・参考書の使い方03

【3】過去問題集に書き込んでオリジナルの参考書にする

働きながら資格試験に合格するコツは、過去問題集に重要語句や苦手なことを書き込んで「オリジナルの参考書」をつくること――そう述べるのは、『資格試験に超速で合格る勉強法』著者の尾本一明氏。働きながら行政書士や社会保険労務士などの難関資格を15種類も取得した経験の持ち主です。

わざわざ過去問題集に書き込むのは、復習をする段階でわからないところがあるたびに参考書を読み返すという無駄な時間をなくして、勉強効率を上げるため。理想は、参考書が必要なく過去問題集だけで勉強を完結できる状態だそうです。解答そのものを書く必要はありません。尾本氏自身は、理解できていない箇所のメモ書きを青色、重要語句は赤色と色を使い分けて書き込んだと言います。

重要語句などを書き込んだ過去問題集は、ある意味ヒントが見られる、問題が解きやすい状態。もちろんその過去問題集を使用して再度問題演習をしてもかまいませんが、尾本氏は過去問題集をもう1冊用意して、試験前に総復習のつもりでまっさらな過去問題集のほうを最初から解いたのだそう。ここまでできれば試験対策は万全と言えるでしょう。

過去問・参考書の使い方04

【4】スキマ時間に記述式問題の解答をイメージする

問題集とノートを用意して記述式問題に取り組むのは、難易度が高いうえに解答を書くのに時間がかかるため、資格勉強の大きな障壁です。とはいえ、まとまった時間がつくれるまで先送りしていたら勉強する機会が減ってしまうもの。

そこで役立つのが、サラリーマン時代に1日1時間の勉強で東大に合格した経験をもつ松下佳樹氏の勉強法。記述問題は、スキマ時間を使って勉強するという方法です。

松下氏は通勤時、バスを待っているあいだに過去問題集の問題文を読んで、バスのなかで解答を考え、降車したタイミングで答え合わせをするというやり方で勉強していたのだそう。ここでの解答はあくまで頭のなかでのイメージなので、必要なキーワードが盛り込まれているなど、解答の方向性が大筋合っていれば問題ないそうです。

松下氏の考え方を、行政書士試験の勉強に当てはめてみましょう。たとえば、記述式問題で「法律による行政の原理」を問われた場合。「3つの原則から成り立っている」という解答の方向性を理解し、「3つの原則のキーワードは優位・留保・法規創造力」と頭のなかでイメージします。もし時間が余ったら、文字数制限を意識して「40字以内でまとめるとどうなるだろう」と考えてみたり、逆に優位・留保・法規創造力それぞれがどんな原則なのか、説明をより詳しく組み立てたりしてみましょう。

時間に余裕があるときに実際に記述するのが理想的ですが、普段からスキマ時間を利用して解答の大筋をイメージする練習を繰り返しておけば、よりスムーズに答えられるはずですよ。

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働きながら資格試験に挑む場合は、いかに無駄をなくして勉強するかがカギ。そのためには、過去問題集や参考書の使い方を工夫するのが効果的です。ぜひ、4つの方法を試してみてくださいね。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|資格試験を最速で合格するための「捨てる勉強法」とは
高島徹治 (2012),『寝る前1分記憶術』, ダイヤモンド社.
尾本一明 (2017),『資格試験に超速で合格る勉強法』, すばる舎.
松下佳樹 (2021),『30代サラリーマンが1日1時間で東大に合格した 「超」効率勉強法』, 彩図社.
三井住友信託銀行グループ|強迫による意思表示とは|不動産用語集|三井住友トラスト不動産
フォーサイト|行政法の基本用語!法律による行政の原理とは?
コトバンク|法律の優位
コトバンク|法律の留保

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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