あなたの周りに、いつもはさぼっているのに試験前になってから猛烈に詰め込んで、結局いい点を取ってしまうという人が何人かいませんか? それなのに、自分は普段からコツコツと勉強をしているというのに期待したほど点数がとれない。そんなもどかしい経験をされた方も多いと思います。いわゆる「要領よく」できる人と、コツコツやっても成果が出ない人の違いとは、いったい何なのでしょうか。

集中力や、短期的な記憶力の個人差による影響ももちろんあるでしょう。しかし、それ以上に注目したいのが、勉強時間を何に費やしたかの違いです。今回の記事では、短期間の勉強でも成果をあげられる人とそうでない人とでは何が違うのか、そして、短期間でも成果をあげられるようになるために何が必要なのかを、お伝えしていきたいと思います。

キーワードは「2:8の法則」

「2:8の法則」をご存知でしょうか。これはイタリアの経済学者のパレートによって発見されたもので、別名パレートの法則とも呼ばれます。この法則は、物事を構成する要素のうち、本当に重要といえる部分は全体のうち2割程度であり、その他の約8割はあまり重要でない、ということを説明したものです。

もともとは、「社会全体の富のうち8割は約2割の富裕層によって所有されている」ということを示していました。しかし現在では、「売り上げの8割は2割の商品によってもたらされる」であったり、「働きアリのうちきちんと働いているのは2割で、8割のアリは怠けている」といった、さまざまな現象に適用できるということが分かっています。実際には、ぴったり2:8に分かれるとは限りません。1:9のこともあれば、3:7のこともあるそうです。

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勉強や仕事の成果が4倍に!?

ここで最初の例として挙げた「直前に詰め込んで何とかなってしまう人」がどうして成果をあげるのかを、2:8の法則に基づいて解説したいと思います。

試験の範囲が10項目にわかれている科目を想定します。各項目に10時間ずつかけて勉強すれば、確実に満点が取れると仮定しましょう。そして、その科目にかけられる勉強時間は20時間しかないとします。

2:8の法則を用いて考えるならば、実際に出題される項目の8割は2つの項目でカバーできることになります。ここでヤマをはって、2つの項目に絞り、それぞれ10時間ずつ勉強したとします。すると、それらの項目については満点が取れることになりますから、範囲が当たって試験で正答できれば得点は80点。合格点を取ることができます。

それに対して、20時間を、全項目を2時間ずつ勉強するのに使ったとしましょう。各項目とも2割ずつしか勉強できないという想定です。すると、どの項目が出題されたとしても、2割しか勉強できていないのですから得点20点。範囲を絞って勉強した場合と比べ、4倍もの差が生まれてしまいます。

試験直前に詰め込んで本番で成果をあげるタイプの人は、この選択と集中が上手くいっているということなのです。そしてこのことは、仕事など2:8の法則が適用されるすべてのことにも当てはまります。例えば、10ページから成る資料を作成しなければならないとき。10ページのうち特に重要な2ページに時間を割き、その他のページにかける時間を少なくすることで資料の完成度を高める、といったようなシチュエーションが考えられます。

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大事な2割を見抜け!

では、その大切な2割とは、どのようにして見抜けばよいのでしょうか。

まずは、取り掛かる作業の全体像を把握しましょう。試験であれば、試験範囲となる分野の教科書や参考書の目次をみましょう。そしてどのような項目があるかを確認したら、指定された範囲を一通りざっとおさらいします。この際に注意したいことは、わからないことがあっても立ち止まらずに、最後までまずやり切ることです。

最後までやってみて、範囲の全体像が俯瞰的に見えるようになると、どのポイントを押さえればより理解が深まるかというような、コアとなる「2割」が見えてきるはずです。そうすることで、最初はよくわからなかった部分も次第に理解できるようになり、効率的に知識を身に着けることができるのです。

2:8の法則について明らかになっていることは、それがフラクタルの構造(どこか一部分を切り取ったとき、それは全体と同じ構造をしているという意味)を取るということです。つまり、大切な2割の中にも、さらにコアとなる大切な2割と、あくまで補助的な8割が存在するということ。常に俯瞰的な視点を持ちつつ、本当に大事なポイントは何なのか、それが全体でどのような位置づけにあるのかを把握していれば、勉強も仕事も、効率よく成果をあげられるようになると思います。

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今回は、特に勉強と仕事にフォーカスを当てて2:8の法則について考えてみましたが、その他の物事においてもかなり多くの場面に2:8の法則が当てはまるように感じませんか。この法則を意識して、人生においても大切な2割に力を注ぎたいものですね。

(参考)
野口悠紀雄(2015),『「超」集中法 成功するのは2割を制する人』,講談社.
入札ナビ|2割の仕事で8割の成果を出すマル秘テク!~パレートの法則で業務効率化~
Wikipedia|パレートの法則