大事な発表や試験が迫ってくると、どうしても不安になってしまうもの。今回は、そんな不安から解放されるためにはどうしたらよいか、についてご紹介します。
励ましの言葉は逆効果!?
不安な時、とりあえず誰かに励ましてもらいたい、と思うかもしれませんが......。
「成功」などの達成語をテスト10日前にプライミングさせた場合では自発的学習へ多く取り組み、成績が上がった。一方で、1日前に達成後をプライミングすると成績が下がった。
この実験から、大事な発表や試験を直前に控え、不安に感じている時などは人からの励ましは逆効果になりかねない、ということがわかります。自分自身に対しても直前にはあまりプレッシャーを与えすぎない方が良いでしょう。
※「プライミング効果」
あらかじめある事柄を見聞きしておくことにより、別の事柄が覚えやすくなったり、思い出しやすくなることをいう。ここで先に見聞きする事柄をプライムと呼ぶ(影響を受ける別の事柄はターゲットと呼ぶ)。たとえば、連想ゲームをする前に、あらかじめ果物の話をしておくと、赤という言葉から「りんご」や「いちご」が連想されやすくなる。
では一体どうしたら今抱えている不安を取り除くことができるのでしょうか。
実現しそうなことに人は不安を感じる!
『不安をなくす技術』(嶋津良智著)によると、人はぼんやり見えるものに不安を感じます。ぼんやり見えるものとは、将来実現しそうなこと、実現したいと思う夢のようなものです。
「よい結果を残さなくてはならない」と思ったために不安になっているのですが、そこには「できるかもしれない」という期待が含まれています
試験前に不安になってしまうのは、自分が試験に合格する可能性がある、と自分の心の中で少しでも思っているからではないでしょうか。逆に、もしあなたが試験勉強を全くしておらず、試験に受かる可能性は0%だと思っていれば、不安を感じることはないはずです。
変換装置の設定を緩くしよう
「○○できないと評価が下がる」といったように、出来事と感情の間の変換装置が厳しく設定されていることも、不安に感じる要因の一つです。同書では、この変換装置を緩くすることで、不安を減らすことができる、と紹介されています。
・「~しなきゃだめだ」 → 「そうだったらいいなあ」 ・「絶対に~だ」 → 「それがすべてではない」 ・「~であるべき」 → 「~だったらいいなあ」
この考え方から言うと、試験前日に「絶対○点取らなくちゃダメだ!」などと考えすぎるのは逆効果だということが分かります。 自分の心の中の不安や義務感をこのように変換出来れば、プレッシャーから解放され気持ちもかなり楽になるのではないでしょうか。プレッシャーにさらされすぎるとうまくいくものもいかなくなってしまいます。変換装置を厳しくして自分を追い詰めるのではなく、変換装置は緩め、実現するためにはどうすればいいか、をリラックスしながら真剣に考えていくことが大切であると思います。
*** いかがでしたか?今回は『不安をなくす技術』の中のほんの一部分だけを取り上げてみたのですが、ほかにもたくさんの「技術」が紹介されていました。私もこの本を読んでみて、日頃不安に感じていたことも発想を転換することができました。今、何か不安なことがある方だけでなく、一切不安なんてない!という方にも、これからの社会を前向きに生きていく「技術」が詰まっているのでおススメです。ぜひ一度手に取ってみてください。
『不安をなくす技術』
嶋津良智 著 フォレスト出版 2015年
(参考) ・及川昌典. "テスト状況における達成プライミングの効果." 教育心理学研究 53.3 (2005): 297-306. ・プライミング効果(ぷらいみんぐこうか)とは - コトバンク