「一度にまとめて」よりも効果大! 記憶に有利な『細切れ学習』毎日続ける3つのコツ

“毎日”勉強したいけれど時間がとれず、週末にまとめて行っているという方はいらっしゃいますか? それだと、前回学習した内容を忘れてしまうこともあるのではないでしょうか。そうはいっても時間がない! という方に、勉強を“毎日”続けるワザをご紹介します。

勉強は“毎日”することに意味がある

私たちの記憶には一時的に情報を保管する「短期記憶」と、長期的に保管する「長期記憶」があります。どの情報を長期記憶の場所(大脳皮質)に保管するか選別しているのは脳の「海馬」。判断基準は“生命維持に役立つ情報かどうか”です。つまり、生命にかかわる情報でない限り、なかなか覚えられないのは自然なこと。

しかし、薬学博士の池谷裕二氏は、学習を繰り返すことで無意識の記憶が暗記を助け、しっかりと覚えられるようになるといいます。それが、いわゆる復習の効果です。同氏が提唱する脳科学的に効率的な復習スケジュールは、無意識の記憶が保存されている1ヵ月以内に4回復習することですが、その際、学習した翌日に1回目の復習をするようすすめています。

この効果を得るためにも、週に1回まとまった時間を設けて勉強するのではなく、毎日短い時間でもコツコツと勉強を続けたほうが良いのです。

“毎日”の勉強で「間隔型学習」効果

“毎日”違う種類の勉強を行うサイクルを繰り返すと、「間隔型学習」効果も得ることができます。

ノンフィクション作家・小説家のピーター・ブラウン氏らの研究によれば、素早く効果的に知識を獲得するには「集中型学習」よりも、異なる種類の学習を一定間隔で行う「間隔型学習」が効果的なのだとか。

同氏らは、38人の外科研修医の協力を得て実験を実施。その際、半分のメンバーは1日で4つのレッスン(集中型学習)、残り半分は間隔を空け1週間で4つのレッスン(間隔型学習)を受けました。そして、1か月後に全員が実技セッションを実施したところ、前者のグループは全ての手順において低い成績でしたが、後者のグループはどれをとっても優れていたそうです。

「間隔型学習」が効果的な理由は、学習してから間隔を置いて予備知識に接続するというプロセスで記憶痕跡が強化されるから。また、脳内で知識を検索しなおすことで、記憶が強化されるためだそうです。逆に「集中型学習」は学習内容を忘れるスピードも速いとのこと。つまり、

効率が悪い「集中型学習」=1日まとめて勉強 効率的な「間隔型学習」=“毎日”勉強

ということです。

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忙しくても細切れ時間で「毎日勉強」

勉強は「毎日」することに意味があると分かりましたが、時間のない人はどうしたらいいでしょう?

それならば、細切れ時間、いわゆるスキマ時間の活用です。

世界最大の政府系ファンド、アラブ首長国連合アブダビ投資庁の元・日本株式運用部長、林則行氏はファンドマネージャとしての仕事を抱えながら、2冊の本を翻訳し半年後には出版にこぎつけたそうです。その際、1冊は完全に細切れの時間を使って翻訳したのだとか。地下鉄での往復時間10分、アポイント前の時間10分、歯医者の待ち時間10分などです。同氏は、細切れ時間もまとまればかなりの量になること、短い時間のほうが集中力を高められることを実感したそうです。そもそも細切れ時間の勉強は、以下のメリットがあるのだとか。

初頭効果と親近効果

何かを記憶する際、脳には最初と最後のものが頭に残りやすいというメカニズムがあります。10分しか勉強時間が取れない場合でも、学習効果は十分ですね。

締め切り効果

短い時間しか勉強できないという切迫した状況は、記憶固定の調節にかかわる脳の扁桃体を活性化してくれます。適度な緊張感は、記憶の定着に有効なのです。

ツァイガルニック効果

ツァイガルニック効果とは、達成できなかった、あるいは中断した物事などに対して、より強い記憶や印象を残す心理学的な現象です。細切れ時間を活用して勉強すると「ああ、あともう少しだったのに!」ということが、しばしば起こるはず。

では次項で、細切れ時間を活用し、毎日勉強を続けていくためのコツをお伝えします。

1.勉強を毎日続けるワザ 【しないことリスト】

勉強にあてられる空き時間が訪れたとき、ほんの短い時間でも誘惑はたくさんあります。SNSのチェックやら、ネットニュースにテレビに雑誌などなど。だからこそ、必要なのが「しないことリスト」です。時間活用に関する多くの著書がある経営コンサルタントの中島孝志氏は、「何をすべきか」ではなく「してはならないこと」を考えるのが大切だといいます。

実はこの方法、筆者も実践しています。スキマ時間ができても携帯をのぞかないようにしたところ、本を読む時間が増えました。

2.勉強を毎日続けるワザ 【ピタゴラスイッチ化】

資格スクエア代表で弁護士の鬼頭政人氏が提唱するのは、「ピタゴラスイッチ化」によるモチベーション維持。自動的に「危機感」が高まる仕組みを自らつくっておくのです。内容は以下の3つ。

・足切り ――例えば「来年までに受からなければやめる」「資格を取れなければ計画していた旅行をやめる」と決め込みます。決めたことを覆すのは簡単ですが、「しないことリスト」同様に罪悪感が残るので効果ありです。

・競争 ――同じことを目指す人と競争してライバル心を燃やしましょう。例えばTOEICの点数を争ったり、資格取得を争ったり。同氏いわく原始的ながらこの方法は効果的とのこと。

・監視 ――周囲に、例えば「この資格をとるために勉強しているんだ」などと公言してしまいましょう。公言から結果が出るまで、「勉強捗ってる?」「試験はいつ?」「どうだった?」と周囲が勝手に監視してくれるので、勉強せざるを得なくなります。

3.勉強を毎日続けるワザ 【5時間ルール】

Microsoftのビル・ゲイツ氏、SpaceXのイーロン・マスク氏、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏、BRK-Bのウォーレン・バフェット氏など、名だたる著名人らは非常に多忙な毎日にもかかわらず、学習のための時間を週に5時間とっているそうです。

著名人らはおのずと出た結果ですが、私たちも逆からこの「5時間ルール」と呼ばれる方法を活用し、自分が週に勉強するトータル時間を決め込んでしまうのです。もちろん何時間でも構いません。それにより、そのシンプルなノルマを達成しようと細切れ時間に勉強するモチベーションが高まるはずです。

*** 勉強を“毎日”続けるワザをご紹介しました。いろいろ試して自分に合うものを見つけてくださいね。

(参考) PRESIDENT Online|「復習4回」で脳をダマすことができる 東洋経済オンライン |勉強が進まない理由を「忙しい」で片付けるな Study Hacker|細切れ時間を制する者は学びを制す? 細切れ学習が効果を上げる科学的な理由 NHK|テストの花道 |「部活も勉強も! 時間活用の達人」

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