インターネットの発達により、私たちは日々多くの情報を与えられています。その結果、「もっともっと」という満たされない欲求が無限に膨張し、かなうことの無い膨大な欲求に私たち自身が押しつぶされかかっているようにも思えます。一方で、私たちの向上心は、この「もっともっと」が原動力になっているのも事実。どんな「もっと」が良くて、どんな「もっと」が悪いのか。 今回はこの「欲求」との付き合い方について考えてみます。
欲求の暴走
摂食障害という精神疾患をご存じでしょうか。これは実際は標準的な体形にもかかわらず、「私は太りすぎている」と思い込んで何も食べられなくなってしまう症状。この病気は「痩せたい」という激しい欲求が引き金となって発症します。その他、アルコール中毒は「お酒を飲みたい」、ゲーム中毒は「ゲームがしたい」という欲求が強すぎて起こってしまった病気です。これは「もっと」の悪い例。
「大丈夫! 私はコントロールできなくなるほどの強い欲求なんてもったことないわ」という人もご用心を。スマホが手放せない、いつも誰かと一緒にいないと寂しくてたまらない、SNSがたえず気になる、という方も欲求が暴走しかけているサインです。身近かなところに潜む欲求の暴走の芽にも気を付けなくてはなりません。
欲求の暴走の止め方
では、欲求の暴走を止めるにはどうすればいいのでしょうか。方法は2つあります。1つ目は時間を味方につけることです。
「ゲームがしたい」という欲求に流されて、つい深夜までプレイしてしまう……。 そんな人もいるでしょう。しかし、ほかに優先すべき事柄があるのに、どうしてもやめられなくなってしまう。ひどい時には寝食を忘れて没頭してしまう。こうなると深刻な問題です。 時間を無駄にしないためには、欲求を解消する時間を未来の予定に組み込むのです。注意したいのは、「してはいけない」というように行為を禁止しないことです。 「してはいけない」と欲求を抑えつけると、その欲求はどこかでまた顔を出します。
出典:アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2 加藤俊徳 著
ダイエットでも無理に食べるのをやめると、その反動であとでドカ食いしてしまいがち。ダイエット中でもどうしてもステーキが食べたい時、これをいつまでも我慢しているといつ爆発するか分かりません。 そんな時には、「数日後にステーキを食べる」と決めてしまえば、脳はその時間までステーキを欲さなくなるのです。これは、無理に我慢するよりよほど効果的。 これは私たちの脳の習性を活かした欲求解消の方法であり、こうすることでも暴走を食い止められるのです。 昔、レコーディングダイエットが流行しました。これは食べたものをメモすることにより、「もうこんなに食べたんだ」と意識することで欲求をコントロールして、ダイエットを成功させるというものだったのです。
2つ目は、欲求を止める環境づくりです。
欲求が止まらないのは、“止める条件”がそろっていないからと考えることもできます。たとえば何かを食べ続けたいという欲求があっても、その食べ物自体がなくなれば、「食べる」という行為は続けられません。ですから、欲求の暴走を止める強制力(柵)をつくるのも有効な方法でしょう。食欲を抑えるなら、食べ物を家に置かない、あるいは、食後にすぐ歯磨きをしてしまう(一度口の中をキレイにすると、再び食べ物で汚すことは避けたくなる)。こうした工夫が、暴走を食い止める「柵」として機能します。
出典:アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2 加藤俊徳 著
このように自分自身に柵を設けることは実際に有効だと思います。私は受験生の時スマホで遊ぶ癖があったので、勉強中はカギのかかる塾のロッカーに入れていました。こうすることで、スマホを触りたいという欲求は暴走することができなくなり、なんとか抑えて勉強に専念することができていました。
欲求は成功への近道!?
一方で、最初に述べたように欲求には、人を良い方向に導く作用もあります。 心理学者マズローの欲求5段階説によると、人間の欲求は5段階になっていて、一つ目の欲求が満足すると次の段階の欲求が出てくるというのは当たり前のこと。 欲求が暴走している状態というのは言い換えればモチベーションが有り余っている状況という状態なのです。だから、うまく欲望をコントロールすることができれば、夢の実現を大きく後押ししてくれる力にもなるのですね。
*** いかがでしたか。良い欲求、悪い欲求の違いが分かりましたか。欲求が様々な成長や好奇心につながることもあるので、一概に悪いものでもありません。自分の欲求が悪い方へ行かないよう、ぜひうまくコントロールして自分の成長につなげてください。
参考:アタマがどんどん元気になる! ! もっと脳の強化書2 加藤俊徳 著 PRESIDENT Online|つい「○○し過ぎる人」は、なぜ○○し過ぎるか? 悪い欲求の正体と完全攻略法3 Wikipedia|自己実現理論

