“思いやり” が脳を育てる!? 支持されるリーダーになるには「コンパッション」が必要だ。

いつかはリーダーになりたい、なるからには支持される人物になりたいと考えるならば、コンパッション(compassion・他者への思いやり)を持ちましょう。ビジネスに「思いやり」なんて生ぬるいのでは? と感じるかもしれませんが、決してそうではありません。おまけに、「思いやり」は脳に効くんですよ!

compassionはsympathyとは違う?

「思いやり」を英語に言い換えようとすると、コンパッション(compassion)かシンパシィ(sympathy)ですが、ビジネスにおいて大切なのはコンパッションのほう。なぜならば、シンパシィは“他者の苦しみや痛みに同情する”という心情をいいあらわした言葉ですが、コンパッションは“他者の苦しみや痛みの本質を理解し、その改善に向けて行動に移す”ことだから。

そして、従業員支持率ナンバー1となった、世界最大級のビジネス特化型ソーシャル・ネットワーキング・サービスLinkedIn(リンクトイン)のCEOジェフ・ウェイナー氏が主張する経営の秘訣は、コンパッションなのだそう。「コンパッションのリーダーシップは決して容易いものではない」とのこと。

コンパッションの実践者であり、禅僧・医療文化人類学者のジョアン・ハリファクス博士はコンパッションについて、こう語ります。

・見返りを期待するのは、コンパッションではない。 ・過剰な自己犠牲をともなうのは、コンパッションではない(自分を労わることも必要)。 ・「喜んでほしい」など、結果を期待し執着するのは、コンパッションではない。 ・好き嫌い関係なく、分け隔てなく行えないのは、コンパッションではない。

上記のことを踏まえ、思いやりを持とうとするだけでも尊いと同氏は言います。また、どんなに小さいことでも実践していけば、コンパッションを育んでいけるのだそう。

「思いやり」は脳に効く?

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事の、木蔵シャフェ君子氏によれば、「思いやり」を持つことによって免疫力レジリエンス(困難に負けない、立ち直る力)が強化すると、最近の研究で確認されたそうです。なおかつ、脳が異なる機能を統合し、高機能になるのだとか。

その研究とは、メッタメディテーション(慈悲の瞑想)実践との相関関係の研究なのだそう。そして、さらに興味深い話があります。

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「思いやり」のある人は側頭頭頂接合部が大きい

スイス、チューリッヒ大学、エルンスト・フェール教授らの研究で、他人を思いやる気持ちが強い人は、脳の側頭頭頂接合部の灰白質※が大きいとわかったそうです。(※神経細胞の細胞体が密集したところ)

フェール教授らが行った実験は、被験者に100フランを与え、彼らが他者にいくらか分け与えたあと、脳をスキャンするというものでした。その際、受け取る側の「少なすぎる」と感じてしまうような気持ちを読み取り、大きい額を与える人ほど側頭頭頂接合部の灰白質が大きかったそう。

側頭頭頂接合部は、自他との区別や、裏の意味を読み取る、他者の心の状態をなどを推測する「心の理論」に関わると知られています。この部分が損傷すると、それらが困難になり、また道徳的判断に影響が出るのだそう。

つまり、脳の側頭頭頂接合部を鍛えることによって、コンパッションのリーダーシップを実践できる可能性が高まるというわけです。そして、その側頭頭頂接合部を活性化させたり、増加させたりする方法は、「マインドフルネス(瞑想)」と 「健康マージャン」なのだとか。

瞑想と健康的な麻雀でコンパッションを高める

フリーランスライターの二村高史氏によれば、「マインドフルネス(瞑想)」を続けていると、左海馬や側頭頭頂接合部において灰白質の密度が増加するという、MRIを使った研究の報告があるそうです。

また、脳科学者の篠原菊紀教授によれば、「麻雀をしているときには前頭葉や、側頭頭頂接合部の活動が高まる」 とのこと。そして、「健康マージャン」をしている高齢者の脳年齢は、実年齢より3歳若かったそうです。

麻雀というと何やら不健全な印象が強いですが、「健康マージャン」は、それと一線を画すもの。タバコも吸わないお酒も飲まないといった環境の中、なおかつノーレート(お金を賭けない)で楽しむ健康的な麻雀です。「健康マージャン」は脳活性化のためもあり、参加者は高齢者が多いのですが、もちろん若い方も参加しています。また、麻雀を知的ゲーム(競技)として社会的に広める活動を行う、「学生麻雀連盟(学雀連)」という団体もありますよ。将棋が注目されていますが、これを機会に競技麻雀に目を向けてみるのもいいですね。

*** 脳に効き、支持されるリーダーにも必要なコンパッションを高めるために、側頭頭頂接合部を元気にする瞑想と競技麻雀にチャレンジしてみてはいかがでしょう。

(参考) ハフポスト|思いやりが、ビジネスのメインストリームに躍り出る日 ポピー(POPY)|ヒゲおやじ先生の脳コラム|思いやりを育てるには 日経ビジネスオンライン|脳の構造を変える! マインドフルネスって何? NIKKEI STYLE|大人になっても頭は良くなるの? Wikipedia|側頭頭頂接合部 学生麻雀連盟(学雀連)|学生麻雀連盟(学雀連)とは コトバンク|灰白質(かいはくしつ)とは

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