日本において美徳とされている「努力」ですが、これを周囲に見せるべきか見せないべきかは悩みどころですよね。
「努力を見せる」というのは、いわば「頑張る自分の気持ちや行動を見せる」こと。しかし、努力を見せなければ職場の上司から評価してもらえないのではないかと思う反面、努力を見せすぎてもわざとらしく感じられてしまうのではないかなど、その扱いについては多くの方が葛藤を抱えているのではないでしょうか。
そこで今回は、努力を見せる場合と見せない場合のメリット・デメリットを説明したうえで、「見せるべき努力」「見せるべきではない努力」について探ります。
努力を見せることのメリット・デメリット
まずは努力を見せる場合について説明していきましょう。
・メリット
ずばり “周囲に評価してもらえる機会が増える” ことが挙げられます。多少失敗することがあったとしても、「よくやっているね」などと励ましてもらえることが多くなるでしょう。
また普段から努力している姿を見せていると、自分の意志で続けることがつらくなった場合でも周囲から応援をもらうことができるため、やる気が生まれて再び努力し続けることが可能になるという側面もあります。
・デメリット
一方で周囲に対して努力を見せていると、「自分の努力に対する見返りを求めてしまう可能性がある」というデメリットもあります。たしかに過度に努力を主張していると、「自分はこんなに頑張っているのに」などと相手にも頑張ることを強要しかねませんよね。
テレビやラジオでおなじみの明石家さんま氏も、努力を認めてほしいと思っている人は失敗しやすいと伝えています。努力すること自体はとてもよいことですが、見せる程度が過ぎると問題が生じてしまうようです。
努力を見せないことのメリット・デメリット
次に、努力を見せない場合について説明していきます。
・メリット
努力を見せないメリットは、ずばり “結果を出したときに周囲から不必要な反感を買わずに済む” ということです。
ビジネスの世界では、“どれだけ努力したか” よりも “どれだけ結果を出したか” が重視されます。 常に「頑張っている感」を漂わせていると、たとえ成果を出したとしても「いつもアピールばかりしている」など批判される材料を与えてしまうおそれがあります。しかし努力している姿を見せなければ、「あいつはやり手だ」と正当な評価を得ることができるでしょう。
・デメリット
努力を見せないデメリットは、自分の許容量以上の仕事や作業を任されてしまう可能性があるという点です。
努力している姿を見せないまま結果を出していれば「これぐらいのことなら簡単にできるね」と、自分に対する周囲の期待はどんどん上がっていってしまいます。評価されているという点では決して悪いことではないのかもしれませんが、度を超えてしまうと、いつかキャパオーバーになってしまう危険性があります。
また単純に「あの人は頑張っていない」「いつもサボっている」など、いらぬ誤解を相手に与えてしまうというデメリットもあります。
見せるべき努力、見せるべきでない努力
以上、努力を見せる場合と見せない場合のメリット・デメリットを踏まえて、見せるべき努力と見せるべきでない努力について、シチュエーション別に詳しくお伝えしましょう。
1. 勉強をしているとき
東京大学を首席で卒業し、弁護士・タレントとして活動している山口真由氏は、「努力は周囲に見せるほうがいい」と伝えています。
試験などにおいては、目標が大きければ大きいほど多くの努力を必要としますが、そのぶん強い意志を持っていなければ自らにストレスをかけてしまうことにもなります。大きな目標を自分の力だけで達成できるほど意志の強い人はそうそういるものではありません。努力を見せずにひとりで格闘し、結局続けられなくなって途中であきらめてしまうのも非常にもったいないことです。
したがって、問題集をどれくらい進められたか友人と競い合う、先生や両親に「今日は○○ができるようになった」と報告するなど、自分の頑張りを周囲に伝えるようにしてみてください。そうすれば、身近な人と切磋琢磨し合ったり周囲に励ましてもらったりしながら努力を継続し、目標を達成することが可能となるでしょう。
2. ひとりで仕事をしているとき
ひとりで仕事をしているときは、努力は周囲に見せないほうがよいでしょう。
先ほどもお伝えした通り、ビジネスでは努力云々よりも結果が重要視される傾向にあります。もちろん、営業訪問先の件数を増やしたり、よりわかりやすい資料を作成したりといった努力をすること自体は大切ですが、それをおおっぴらに吹聴していては、仮に結果を残せなかったときに「努力しているにもかかわらず結果が出ない」と、能力がないビジネスパーソンの烙印を押されてしまうかもしれません。いったん悪い評価を受けてしまうと、それを覆すのはなかなか難しくなります。
また結果を出せたときにも、努力をそれほど見せずにいたほうが「○○さんに助けていただいたおかげです」と先輩や上司を立てることができます。謙遜な人だと評価してもらえるでしょうから、周囲から嫉妬されることなく円滑な職場関係を築くことができるようになりますよ。
3. チームで仕事をしているとき
この場合は「個人の努力はそれほど見せず、チーム全体の努力を見せる」ことが大切だといえるでしょう。
自分の努力ばかりを主張していては、チーム内のほかのメンバーは、あなただけがよい評価を得るために取引先や上司にアピールしているのではないかと疑ってしまいかねません。チームに不協和音が生じてしまっては、うまくいきそうな仕事であっても失敗してしまいますよね。
そこで、ひとつのプロジェクトをやり遂げるためにチーム全員が努力している姿を見せるようにしましょう。お互いがお互いを助け合い、チームとしてゴールに向かっていることを意識すれば、チーム内の雰囲気も良好になり、成功へと走っていけるのではないでしょうか。
*** 以上、努力の見せ方についてお伝えしました。ぜひ参考にしてみてくださいね。
(参考) nikkei BPnet|第20回 評価が低くなってしまうのはどういう部下なのか? ダ・ヴィンチニュース|「意識高い系=アピールしないと褒められない人たち」ドランクドラゴン・鈴木拓インタビュー前編 ITmedia eBook USER|1日19時間勉強した人の「努力の結果」 マイナビ 学生の窓口 フレッシャーズ|意外と寛容? ビジネス社会、出る杭は打たれ……「ない」が7割! ただ残りの3割は…… 世界は数字でできている|明石家さんま、「努力は必ず報われる」と思う人に「見返りを求めるとロクなことがない」