「えーと…」が口癖の人でも商談がうまくいく! 今日から使える会話学入門

会話の合間に、「えーと」「あのう……」「まあ……」「で……」「うーん」と言葉を挟むことがありますよね。これはフィラーと呼ばれる“つなぎ表現”です。いかにもオマケのような存在ですが、実は心理言語学ほか、さまざまな方面から研究が行われているとのこと。

ビジネスパーソンには必須といわれるプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を向上できるよう、フィラーとの上手な付き合い方をご紹介します。

フィラーの役割と働き

心理カウンセラーの小松原幸恵さんによると、フィラー(つなぎ表現)は「今考えている最中」だと相手に知らせる働きがあるそう。また、沈黙を埋めながら会話の流れを止めないようにする役割や、頭の中で情報処理するための時間を稼ぐ役割もあると考えられます。

言語学者のMark Liberman氏が大規模なデータベースを分析したところ、60の単語を発するごとに、「うーん」「ええと」などのフィラーをひとつ発していたそうです。つまり、速く話せば1分に2~3個はフィラーがつくられるということ。

フィラーを発する人・しない人の違い

小松原さんによると、フィラーをほとんど発しない人は、「迷いなく自分の考えを言語化できる人」だといいます。一方「あまり深く考えず思ったまま発言してしまう人」という見方もあるそう。

そして、フィラーを発しやすい人は、「慎重に言葉を選ぶ」あるいは「気づかいのある人」なのだとか。しかし、一方では「自分の考えを表現する言葉が分からない人」という見方もあるそうです。

したがって、フィラーを多く発する・発しないは、いい・悪いで分けられないということです。しかし、ビジネスでは、確実にフィラーが歓迎されない場面があります。

人前で話すときのフィラーはNG

クオンティファイド・コミュニケーションのCEO、Noah Zandan氏は、人前で話しているビジネスパーソンが「うーん」「えーと」などと連発していると、聞き手の集中力を奪ってしまうといいます。その結果、どんなに素晴らしい話でも、聴衆の心を動かすことができなくなってしまうのだとか。

もちろん、フィラーを発しているあいだに、うまく考えをまとめられる場合もありますが、あまり乱用すると耳障りになるため、聞き手の信頼を損ねてしまうそうです。

同氏の会社のデータベースに収録した4000を超える口頭コミュニケーション・サンプルを分析したところ、プレゼンテーションなど人前で話す場合のフィラー連発は、次のようにネガティブな影響を及ぼし得ると判明したそうです。

  1. フィラーが邪魔となり、聴衆が一言一句に耳を傾ける可能性を低下させる 2.「緊張している」あるいは「集中していない」といった印象を与える
  2. 聴衆は、耳障りなフィラーをかき分けて要点をキャッチするといった面倒な認識努力をせず、より容易な認知作業(たとえば自分のToDoリストなど)を始めるので、上の空になってしまう

人前で話すときは沈黙を活用しよう

そうしたことからNoah Zandan氏は、フィラーの代わりに「沈黙」の活用をすすめています。講演の達人ほど頻繁に沈黙を取り入れているため、平均的なプロの講演者が毎分150語であるのに対し、一般的な人は毎分400語か、それ以上のペースで話をしているのだとか。沈黙をうまく利用すると、フィラーを封じ込められるだけではなく、次のようなメリットがあるとのこと。

  1. 冷静で落ち着いているように見える
  2. 考えをまとめられる
  3. 神経を鎮めることができる
  4. 沈黙を利用して要点を強調したり、注意を引きつけたりできる
  5. 自信に満ちて、状況をよく把握しているように見える

つい「あのう」「えーと」といいそうになるのを抑えて、2~3秒ほど沈黙を守るだけで、こんなにメリットがあるのです。これはぜひとも取り入れたいですね。

ただし、カジュアルな雰囲気の中での会話、1対1の対話などでは、フィラーが必要になる場合があります。

会話の際にはうまくフィラーを活用しよう

プレゼンテーションなど人前で話すときには沈黙が有効ですが、会話のキャッチボールをしている際の沈黙は、自分の話を継続できない状況に陥らせてしまうそう。

会話の途中で沈黙すると、相手はその会話がいったん終了したものと思い、「もう新たな方向の話を始めてもいい」と判断して別の話を始めてしまうからです。もしも、まだ自分の話が終わっていないのであれば、うまくフィラーを挟んで話を継続するようシドニー大学言語学教授のNick Enfield氏はすすめています。

また、心理カウンセラーの小松原さんは、「うーん」「えーと」などフィラーを発して言いよどむことは、「丁寧さを醸し出す」機能になると説明しています。何かの依頼を断る際などにも、即座に返答するより、「うーん、まあ……、そうですね」などといったフィラーを挟んで断ったほうが、和らいだ表現になるとのこと。

したがって、フィラーを活用するタイミング、引っ込めるタイミングをうまくつかめば、知性も、自信も、説得力も、丁寧さも、柔らかさも手に入るということです。

フィラーとの上手な付き合い方

これまでのことをまとめると、「フィラーとの上手な付き合い方」は次のとおりです。

1. プレゼンテーションなど人前で話す際は「フィラー」を「沈黙」に変える 2. プレゼンテーションなど人前で話す際は「フィラー」を連発しないよう「減速」して話す 3. 対話型の商談やミーティング、一般的な会話の際、以下のような場合は「フィラー」を取り入れる ・少し間をおいて会話を継続したいとき ・会話の途中で考えをまとめたいとき ・丁寧に伝えたいとき ・やわらかく断りたいとき

*** とても身近な「つなぎ表現=フィラー」を掘り下げました。ぜひうまく付き合い、プレゼンテーションやコミュニケーションのスキルを向上させてくださいね!

(参考) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|「うーん」「えー」「ほら」……耳障りな口癖を封じる3つのステップ オトナンサー|「あのー」「えっと」は使うべきでない? コミュニケーションにおける「フィラー」の役割とは Quartz at Work|A linguist explains why it's okay to say "um" and "uh"

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