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さんざん勉強したはずの英単語が、試験中出てこない。そんな経験はありませんか?
でもそんな時って、どんなに頑張っても思い出せないものですよね。それなのに、全く関係のない時にふっと思い出したりするのですから、タチが悪いものです。これって一体どういうことなんでしょうか。

こんな時、あなたは「記憶していなかった」のではありません。記憶していた、頭の中に入っていたのに、それを「うまく取り出せなかった」だけなのです。ちょうど、部屋のどこかにあるとわかっている一冊の本を見つけられないように。

このような経験は、ちょっとした工夫でなくすことができます。本にラベルをつけ仕舞う場所を決めておけば、すぐに見つけられのと同じですね。今日は、人間の記憶の仕組みを紐解きながら、「思い出し方のコツ」をご紹介しましょう。

1.テストの時と同じ環境で勉強しよう

人が記憶を引き出す時の手がかりとして、「文脈」というものがあります。こんな面白い実験をご存知でしょうか。

深海を潜水する人たちの一団が海岸にいるとき、単語表を学習した、これに対して潜水する人たちのほかの群は水面下15フィートの海中でその表を学習した。その後、それぞれの群は半分に分けられ、その表を学習した環境と同じ環境かもしくは違う環境かのいずれかの条件で単語を再生させられた。(中略)しかし、単語を学習した環境とは異なる環境で検査された潜水する人たちは、学習と再生を同じ環境で行った潜水する人たちよりも再製量が40%少なかった。

(引用:内田一成監訳|ヒルガードの心理学 )

潜水した時に単語を暗記した人なら、潜水した方が思い出しやすい。陸上にいた時に暗記した人なら、陸上にいた方が思い出しやすい。ちょっとびっくりですよね。なんだか水中にいたら集中できなそうですが、それは関係ないのですね。
とにかく人は、覚えた時と同じ環境にいる方が思い出せる、思い出しやすい、ということ。

もちろん、テストでも同じですね。テストと同じ環境で記憶すること。これが、テストの時に「あ、あれなんだっけ」状態にならないためのコツといえるでしょう。テストの環境ってなんでしょうか? 椅子に座り、机に向かって、雑音がほとんどない状態です。

ですから、勉強の時もこれと同じ環境を作ることを心がけましょう。リラックスしたいからと寝転がったり、あぐらをかいたりするのは、あまりオススメできません。お風呂で勉強する人もいますが、それも微妙なところですね。もちろん、音楽を聞くのはご法度。試験中はBGMなんてかかっていませんからね。

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2. 「ラベル」をつけて暗記しよう

記憶をスムーズに取り出すためのもう一つのコツが、「体制化」です。

あなたは会議に出席して、さまざまな職種の人にあったとしよう。もし、最初にあなたが名前を職業によって体制化していれば、後で彼らの名前を思い出そうとする時、よりよく再生できるだろう。「私があった医者はだれだったか」、「弁護士はだれだったか」などのように、あなたは自問することができる。名前や単語の一覧表はその情報を分類に符号化し、それから分類ごとに情報を検索すると、再生は一層容易になるのである。

(引用:同上)

ラベルを貼ると、取り出しやすくなる。これは、記憶も物も同じですね。例えば、英単語を覚える時を考えてみましょう。出題される頻度順に単語の並ぶ単語帳はよくありますが、それをそのまま覚えていたのでは、「ラベルを貼った」とはいえません。

例えば、単語をイメージで分類し、ラベルを貼ってまとめてみましょう。
オフィスで使いそうな単語「applicate, correspond, submit, discuss」実験室で使いそうな単語「explode, mixture, barometer, stir」などなど。「あたたかなイメージ」「冷たいイメージ」なんていう風に、自分だけのラベルを貼り付けて勉強してみるのです。自分だけの工夫、ということで熱心になれるはず。

このようにラベルをつけてカテゴライズすることで、今まで雑多に置かれていた単語はきちんと整列して記憶棚に並ばれ、いざというときに取り出しやすくなることでしょう。

***

暗記というと、「気合いで覚えろ!」「50,000回書き取りだ!」なんていう精神論をイメージしがちですが、それではいけません。きちんと科学的に効果がある方法が、確かに存在しているんです。
心理学を応用した暗記術。ぜひお試しあれ。

参考
内田一成監訳|ヒルガードの心理学


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。