方法論はどうでもいい。「今やる」「すぐやる」を実現するための科学的アドバイス

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ランニングやトレーニングジム、生涯学習のための通信講座などが流行っています。本業である自分の仕事や勉強とは別に、何かプラスアルファの活動をしたい。そのように意欲的な取り組みは非常に素晴らしいことなのですが、筆者には気になることがひとつありました。それは、多くの人が「方法論」「形」に捉われすぎているということ。

テレビやネットでは「最小限の運動で効果をあげる方法」や、おしゃれなトレーニングシューズ、トレーニングウェアを多く紹介しています。学習法も多くのノウハウがあふれ、「始めるなら、こんな形がいいよ! この方法なら効果的!」といった「方法論」「形」に目を向けたメディアが氾濫しています。

もちろん「最小限の労力で最大の効果」を発揮することができ、その方法がオシャレでスマートならば最高! NIKEのスポーツウェアに身をまとい、Reebokのランニングシューズを履いて、iPodで音楽を聞きながら(スポーツ用のワイヤレスイヤホンを使えば完璧です)皇居ランを楽しみ、終わった後はランニングステーションのシャワーで汗を流す……。これは憧れのランニングスタイルでしょう。

しかし、ランニング初心者にこんなスタイルが継続できないのと同様、勉強や趣味だって「形」や「方法論」にばかりこだわっていてはうまくいきません。今日ご紹介するのは、「形」「方法論」に捉われない方がいい理由と、長続きするためのアドバイスです。

 

なぜ方法論にとらわれてはいけないのか。

 

何かを継続する、実行する時に必要なことは一体なんでしょうか。それを考える時に役立つのが、脳科学の考え方です。なんでも、やる気、モチベーションは脳内の「報酬系」と呼ばれる仕組みによって支配されているんだとか。それを踏まえた上で、多くの脳科学者が語る「続ける」ための方法は、非常にシンプルでした。

それは「何はともあれ、まずやってみること」です。

学生時代のテスト勉強を思い出していください。勉強を始めるまでは、あれこれと理由をつけてやらないようにしていたものです。しかし、テストが迫ってくれば、そういうわけにはいきません。結局数日前になって問題集を開き、解き始めます。すると、意外なことに気づきます。勉強を始めてみれば、結構スイスイ進んでしまうものなんですね。

机に向かうまでは長いけど、始めてみたら結構はかどった! そんな経験を持つ人は多いはずです。これは「作業興奮」と呼ばれる脳の仕組みで、脳科学の分野ではかなり有名な事実なんです。脳内でやる気を生み出しているのは「側坐核」と呼ばれる部分ですが、この「側坐核」、なかなか動き出してくれないそうです。(参考:東進オンライン カガクテキ勉強法 |作業興奮

だから、もし本当に何かを始めたい! 何かを続けたい! と思うなら、方法論に捉われてはいけないんです。始めるまでに時間がかかってしまったら、エンジンがかかる前にやる気を失ってしまうから。方法はともあれ、とりあえず、まずやってみる。それが一番いい方法なのです。

さて、以下では実際にその「すぐやる」「今やる」を実行するために必要なアドバイスをご紹介していきます。

 

実行に移すアドバイスその1「身の回りのものでやってみる」

 

「すぐやる」「今やる」を実行に移すためのアドバイスの一つめは、身の回りのものを引っ張ってくること。

英語学習だったら、大学受験時代の参考書と単語帳を引っ張り出してきましょう。十分使えます。筋トレしたかったら、つべこべ言わずに自宅で腕立てと腹筋から始めましょう。ランニングを始めたかったら、自分の持っているスニーカーとTシャツ短パンを用意してください。フルマラソンを走るわけではないんですから、問題ないでしょう。

脳科学から考えれば、始めるまでのハードルをできる限り下げてやることが最良の方策です。かっこよく始めたい、スマートにやってみたい。その気持ちはよくわかります。しかしそれでは、始めることすらかないません。まずは始める。それから少しずつ設備や環境を整えていく。それでいいではありませんか。

 

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実行に移すアドバイスその2「友達に声をかけてみる」

 

アドバイスの二つ目は、友達に声をかけてみるということです。それも、一緒に新しく始める友人ではありません。すでにそれを習慣としている、技術を身につけている友人に声をかけるのです。テニスを始めたかったら、テニススクールやサークルに参加している友人に声をかけますよね。 それと同じように、ランニングを始めたければランニングを習慣にしている友人に、筋トレを始めたければジム通いをしてる友人に、英語を勉強したければ、TOEICの常連の友人に声をかけてみましょう。

わざわざ買わなくても、道具を貸してもらえるかもしれませんし、一緒に走ったりしてくれるかもしれません。すぐ始める! 実行する! のに、これ以上の方策はありません。また、人は自分に厳しくはできないといいます。「まずやってみる」この第一フェーズがうまくいった時、他人の監視の目があればさらに続けやすくなるかもしれません。

 

実行に移すアドバイスその3「登録しちゃう」

 

ちょっと力技になりますが、何か目標となるテストや大会に登録してしまう、というのも手です。TOEIC、マラソン大会など、お金を払えば設定できる目標は結構あるものです。登録してしまえば、嫌が応でもそのための訓練を続けなければいけませんし、目標が明確になるので、続けやすいというメリットもあります。

もし続けられなくなった場合、お金が無駄になるというデメリットもありますが、だからこそ真剣に向き合うでしょう。もし本当に続けたいなら、こういったプレッシャーをかけるのも一つの手ですね。

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形なんて、後からどうにでもできるものです。まずはやってみること、始めてみること。それを意識すれば、きっと長続きするはずです。

参考 東進オンライン カガクテキ勉強法 |作業興奮


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福岡伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。

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