最近、本を読んでますか? 返答に詰まってしまった人、多いかもしれません。 「時間がなくて」「いい本に出会えなくて」なんていう言い訳で活字から遠ざかっている人も、本を読むことが大事、というのはわかっているはず。 今回は、脳科学者の茂木健一郎先生の本を紹介しながら、「どうやって本を読んでいくのか」という問いに迫っていきたいと思います。
頭は「本の読み方」で磨かれる
三笠書房 (2015/6/24)
ネットとは違う。本を読んで頭に入れることの大切さ
筆者がまず思ったのは、ネットでの情報収集が高度に発達した現在、わざわざ紙媒体の本なんて読む必要があるのか、ということでした。確かに古典文学のように、本でしか読めないものもありますが、それはごく一部。ビジネス書や学術的な本はネットの文献でも良いのでは? なんて思ってしまったのです。そんな筆者の斜に構えた考え方に、茂木先生は喝を入れます。
確かにアクセス可能で便利ではあるけれど、インターネットのような自分の外にある「外部の知識」と、自分の中に実際に蓄えられた「内部の知識」は違います。本を読むことは、(中略)自分の感情を動かすことですし、体験することです。そして、自分以外の誰かの気持ちを獲得することでもある。
インターネットの情報は、ただそこに置いてあるに過ぎない。本として読むことで初めて自分のものになる、ということでした。とは言え、現代人にとって、インターネットは欠かせない便利ツールであることも事実。インターネット閲覧と本を読むという行為を別物と考え、バランス良く行っていくのがベストなのでしょう。
積ん読でもOK? わからなくてもOK?
「本を買ったのに(借りたのに)結局読まなかった」「見栄を張って手に取ったものの、全然わからなかった」という苦い経験したことありますよね。こういう経験も本を敬遠してしまう原因の一つかもしれません。 しかし茂木先生は、それでも構わない、と語ります。
でも、買ったことで、すでに一歩前進です。(中略)当然、本は読むことで脳に情報が入ってきて脳に変化を及ぼしますが、興味を持った時点で脳は少し変わっているのです。
本というのは自分の意識を高め、視野を広げる。そして教養を身につけるものだとこの本では語っています。「ちょっと難しめの本を読んでみよう」とか「知らない分野にも手を出してみよう」と考えた時点で、以前よりも成長していることになるんだそう。
読めなくても、わからなくてもいいんです。とにかく興味を持った本はどんどん手を出していくことが大事なのです。
読書を習慣にする!
「休日にまとめて一気に読破するぞ」と意気込むことはありますが、実現はなかなか難しい。やっぱり本を読むときは、毎日少しずつ、継続して読んでいくのがベストです。そんなことができたら苦労しない、と言う声が聞こえてきそうですが、習慣化のポイントは「心理的なハードルを下げる」ことなんだとか。
「1日10ページ」から始めてみてください。(中略)「読書を習慣にするコツ」は、タスクを細切れに分け、心理的なハードルを下げること。(中略)「飽き性」を自覚している人は、複数の本を同時並行で読んでみてはいかがでしょうか。あんまり気が乗らないな、という本を、何日もかけて最後まで読み通さなくてもいい。そんなときは、さっさと別の本に移ってまた10ページ読む。
特に「同時並行で読む」というのは新しい発見です。読書を習慣にするには、とにかく読み続けること、それが重要なんですね。
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今回紹介したのは、ほんの一部です。茂木先生が考える「本を読むことで身につく本物の教養」が一体どんなものか、ぜひ読んでみてください。