みなさんは勉強を、いったいどこでしていますか? 図書館・自室・会社・学校・カフェ……さまざまな場所があると思いますが、場所によって勉強の効率が変わってくるのも事実。「なんとなくいつも図書館へ行く」ではなく、勉強がはかどる科学的根拠に照らし合わせ、あらためて勉強スペースを見直してみませんか。
マズローの実験
「自分がいる部屋によって、同じ写真を見せられても印象が異なる」という実験を知ってますか?
実験では、美しい部屋・平均的な部屋・醜い部屋の三部屋を作り、被験者には人物が写っている写真を手渡し、その印象を尋ねます。結果は、人々の印象はどの部屋でその写真を見たかによって左右されました。 美しい部屋では、見せられた人々の顔を美しくエネルギッシュだと思い、醜い部屋では写真の顔は疲れていて病気のように見えると回答したのです。
また面白いことに、それぞれの部屋で実験を監督した人々の態度も部屋によって反応が違ったそうです。醜い部屋で監督するときは他の二部屋に比べて不機嫌に実験を急ぎ、粗野な行動変化をみせたとのデータが出ています。 このように普段あまり意識はしていませんが、オフィスや勉強場所の環境は、仕事や勉強のプロセス・結果に大きな影響を与えるのです。
休憩で仕事場所を選ぶ
さらに勉強/仕事場選びの際に、視点を変えてみましょう。「勉強/仕事がはかどりそうな場所」という視点ではなく、「近くに美味しいレストランがある」「のぞいてみたい雑貨屋さんがある」など、休憩をいかに効率よく取れるかで選ぶのです。 例えば、FreakOutという企業のオフィスにはバスケットコートがあります。仕事の合間に気分転換したり、社内で3on3のトーナメントを組んで交流を深めたり、時には取引相手とミーティング後に1ゲームしたりと、様々な目的で使われています。
・休憩中にバスケがしたい⇒学校で勉強する ・休憩中に本・雑誌が読みたい⇒図書館で勉強する ・休憩の誘惑が多い場所では自分には危険⇒ショッピングモール内のカフェで勉強するのは避ける
などが考えられます。 このように主たる目的である勉強や仕事ではなく、休憩に焦点を当てて場所を選ぶと、「早く休憩したいから、ここまで急いで終わらせよう」といつもより集中力が高まりそうな気がしませんか? 効率の良い休憩は間接的に仕事や勉強の質を上げてくれますよ。
勉強/仕事を持ち歩く
そして外で勉強/仕事をする際のポイントは、「必要なツールを持ち歩き、どこでも自分の空間にしてしまう」ということ。一人でする勉強や仕事というのは学校やオフィスにいなければできないものではなく、どこにいてもできるものです。 だからこそ気をつけたいのは、「どの内容の勉強の時にはどこへ行くか」をその都度きちんと考えることなのですね。つまり、どの作業はどんな環境がはかどるか、を知らなければなりません。
例えば私は暗記が苦手なので、暗記物は駅の大階段や電車の待合所など、長時間いることが不適切なような場所で切羽詰まった時が一番力を発揮できました。また数学や大学の専門である法律科目の論述など、緻密かつ論理的な発想が求められるような場面では、突然他人から介入される恐れのあるまちなかのカフェなどは不向きでした。
このように自分が勉強していることがいったいどんなことで、それはどのような環境において一番やりやすいのか、ということをしっかり知ってこそ、外での勉強も効率が上がってきます。会社や学校の環境は変えられなくても、自分一人が仕事や勉強をする環境ならいくらでも変えられます。ぜひ考えてみてくださいね。
(参考) 『POST‐OFFICE ワークスペース改造計画』 岸本章弘・仲隆介・中西泰人・馬場正尊・みかんぐみ著 TOTO出版 HRナビ|バスケットコートにプール?自由すぎるフリークアウトの新オフィスの狙いとは