「どうしてわたしはダメなんだろう……。」
「じゃあ、もっと頑張れよ!」

「なんで俺はいつもこうなんだ……。」
「よし、気合いを入れ直せ!」

そんな風に自分を責めて自己嫌悪に陥るのは、もうやめにしましょう。問題なのは、あなたの意志の弱さでも、ぐうたらな性格のせいでもありません。ましてや、人格に問題があるなんて、絶対に考えないでください。

あなたが続けられないこと、やめられないこと。すべて原因は「まわりの環境」と「認知のゆがみ」にありました。過度な精神論も、暑苦しい根性論も、どこかへ放ってしまいましょう。何かを続けることは、本当はずっとシンプルで単純なことなのですから。

今日は「自分を変化させるたった一つの方法」に科学的アプローチをする本をご紹介します。

academic-skills02『人生を変える行動科学セルフマネジメント~自分を変化させるたったひとつの方法』
石田 淳著
大和書房 2013年
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意志が弱い人でも習慣はつくれる。

ランニングを続けられないのも、タバコをやめられないのも、つい「意思が弱いから」の一言で片付けてしまいがち。でもこれ、違う視点から見れば単に“習慣になっていないから”とも言えます。でも、誰だって既に習慣になっている歯磨きは毎日続けますし、多分、車に乗ったらシートベルトを締めるはずです。

今は習慣になっている簡単な歯磨きでさえ、最初から続けられたわけではないはずです。筆者は幼い頃、歯磨きが嫌いでした。今でも、歯磨きの度に母から逃げ出したことを思い出します。シートベルトだって、法律が改正されてしばらくは装着しない人がほとんどでしたよね。

それでも、今では習慣になっています。ここに、意志の強弱は関係ありません。どんなに意志の弱い人でも、ひたすら歯磨きをし続けた結果、習慣になったのですから。

ですから、今あなたが抱いている「やめられない/続けられない」という感情は、行動を習慣化すればなくなるはずです。本書ではそのコツがたっぷり紹介されています。

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自己嫌悪は思い込み。「認知のゆがみ」とは

「ああ、禁煙中なのにまたタバコを吸ってしまった。最悪だ、俺なんて……。」

「ランニング、またサボってしまった。私はダメ人間……。」

自分の意志が弱いと思い込んでいるために(それは勘違いに過ぎないと先ほど説明しました)、こんな風に自己嫌悪に陥っている人がたくさんいます。本書は、この考え方そのものが間違っていると説きます。なぜタバコを吸っただけで、最悪な人間になるのか。なぜランニングをしなかっただけで、ダメ人間になるのか。

こんな思いに苛まれたとき、それは自分の意志の弱さや性格のせいではないことを知ってください。多くの人が陥る自己否定は、現実のものではありません。こうした現実とは違う認識が、「認知のゆがみ」です。

禁煙中にタバコを吸ってしまったのは、「タバコの消費本数が、前日まで0本だった。今日は1本だった。」という単純な事実に過ぎません。この事実だけで、あなたがダメ人間であることには繋がらないはずです。
ランニングを1日お休みしたのも「昨日までは走った。今日は走らなかった」だけのこと。それを自分の性質に結びつけ、批判したり後悔したりすることは、合理的・論理的ではありません。

自分の性格ではなく、行動に目を向けましょう。そして、もし失敗したら行動ができるような環境を整え、明日からまたその行動を取ればいいのです。それが行動科学マネジメントの手法です。

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ハードルを下げ、ご褒美を与える

「自分を責めずに、その行動を習慣化する」

そのための方法として著者が紹介するのが「開始のためのハードルを下げること」「行動できたらご褒美をあげること」です。

健康のための運動習慣を身につけたいと考えたときに、「1日30分歩く」というものなら、今すぐにでも抵抗なく始められそうです。でも「5キロ走る」としたらどうでしょう。「今日は寒い」「ちょっと風邪気味だ」などと、スタートを延ばし延ばしにしてしまうかもしれませんね。

もっとも効果的な報酬は何かといったら、「褒めること」です。(中略)「ダイエットが成功したら、憧れのホテルのプールに行こう」「英会話教室に3か月通えたら、新しいスーツを買おう」(中略)何度も述べているように、「意志の力で継続しよう」などと考えるからつまずくのです。

うんとハードルを下げ自分自身に甘くした結果、習慣化がたやすくなるのではないでしょうか。この本で紹介される方法は、いずれも行動を起こしやすく、続けやすくする、というもの。非常にシンプルです。

行動を始められない、もしくは続けられない原因となっているのは、小さな心理的ハードルにすぎません。それを超えさえすれば、行動を習慣化し、自分を変えることができます。今までは、その小さなハードルを気合いや意志の力で越えようとしていたのです。そんな超人的なこと、一部の人にしかできなくて当然。気合いや意志ではなく、行動科学の知見に基づくちょっとした工夫によって越えること。それが本書の紹介する全てです。

意志の弱さも、劣等感も、ぐうたらな性格も、あなたの思い込みに過ぎません。本書がそれに気づくきっかけになるでしょう。

***

本書は「ページを閉じた瞬間からはじめてください」という章で締めくくられます。

そんなあなたに、最後にお願いしておきたいことがあります。「明日から」を禁句にしてください。本書を閉じて、あなたは何をしようと考えていましたか?(中略)「明日からやろうと決心した」なんて言わないでください。(中略)明日から三つのことをやろうとするぐらいなら、ハードルを下げて今すぐ一つのことをやりましょう。そして「できた!」と喜んでください。達成感を感じ、自分自身を認めてあげてください。その瞬間、あなたは変わり出すのです。

さあ、次はあなたの番です。

参考
石田淳「人生を変える行動科学セルフマネジメント~自分を変化させるたったひとつの方法 」大和書房 2013