東大生が教える「暗記のためのノート術」 インプットとアウトプットの "タイミング" を意識すべし!

英単語や歴史用語、化学、生物の基礎知識など、学生はもちろん、スキルアップのために勉強をする社会人まで、勉強の際には「暗記」がついて回ります。

教科書の読みこみや問題演習が好きという方はいても、「暗記」が好きという方は少ないのではないでしょうか? まとめノートを作ってみたり、ひたすら書き取りをしてみたり、試行錯誤を繰り返すけれど、なかなか記憶力が上がらないと悩んでいる人も多いでしょう。

今回はそんな方に向けて、なぜ暗記ができないのかを徹底的に分析したいと思います。原因がわかれば、暗記力アップに繋がるでしょう。

あなたの記憶は「インプット」に問題があった。

人間の記憶には、3つの段階があります。

1.符号化=短期記憶する 2.統合=それを長期記憶の倉庫にしまう 3.想起=記憶したことを思い出す

それぞれの段階に不備があると、「記憶できなかった」という状態になるのです。私たちが苦手な暗記もこの3つのどこかに原因がありそうですね。

脳科学者の池谷祐二氏によれば、多くの人は「統合」に失敗しているのだとか。 池谷氏は、「符号化」から「統合」に移る際、情報の審査が行われている、と言います。脳の進化から考えれば、どの植物に毒があるか、どの動物が危険かなどの生存に必要な情報が優先的に審査に合格し、長期記憶に残るのです。

こう考えると、生存に必要のない歴史の年号や英単語を記憶できないのは当たり前ですよね。私たちは勉強した知識を短期記憶から長期記憶へと変換するのに失敗しているのです。

重要なのはインプットの質。

短期記憶を長期記憶に変換するには、インプットに気を使う必要がありそうです。

問題は、短期的に記憶することでなんとなく覚えた気になり、長期記憶にならないこと。メモをとったり、教科書を読んだりするインプットの段階でいかに記憶を印象づけるかが重要になります。

インプットの段階で丁寧にノートをとったり、メモしたりするし、問題はないと思っている人もいるでしょう。しかし、そのせいでうまくインプットできていないのかもしれません。

これで良いだろうと思っていた私たちのインプットはまだまだ甘いのです。それを示す面白い研究結果があります。

カナダのマウント・セント・ヴィンセント大学では、学生に神経衰弱の実験を行わせました。メモを取りながら神経衰弱を行わせた学生と、メモなしで記憶させた学生では、メモを取らなかった学生の方が成績が良かったというのです。人間はメモを取るとそれで安心してしまい、全く記憶しなくなるといいます。

人から聞いた話や本で読んだ知識をメモしたことでインプットしたつもりになっていませんか? あなたの勉強もそんな風になっているかもしれませんよ。

そんな勉強法では、その場の短期記憶はなんとなく形成されても、長期記憶に定着させることはできません。

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話を聞きながらノートを取らないようにしよう

では一体、どのようにして学習を定着させれば良いのでしょうか?

筆者が提案したいのは「まずメモを取らず、情報の取り入れに集中すること」です。 本を読んだり、人の話を聞いたりするとき、重要な情報が現れるとすぐにメモをしたくなるはず。しかし、そこはぐっと堪えましょう。そのままメモしてしまっては、脳が安心してしまい、神経衰弱実験と同じことが起きてしまいます。

一度その知識を脳内で反芻し、自分なりに言葉にしてまとめましょう。その後、教科書を閉じたり、セミナーの休憩時間を利用し、その知識に関する情報が何もない中で、脳内で言葉にした知識を書き出してみてください。

これまでの「インプットしながらアウトプットする」を「インプットをしたあとにアウトプットする」という状態にすることで、知識の定着率が上がるだけでなく、時間の節約にもつながります。

授業中や教科書を読んでいるとき、思わずメモを取りそうになったら、ちょっと待ってください。少し我慢するだけで、グッと学習効率が上がるかもしれませんよ。

なお、「勉強ノート術7選! 東大生・京大生おすすめ」では、ほかのノート術も紹介しています。ぜひご参照ください。

(参考) WIRED.jp|メモを取っても記憶は定着しない:研究結果 池谷裕二著(2011),『受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法』,新潮社. Study Hacker|「暗記が苦手」はもう終わり! 東大生が実践する『その場で覚える』テクニック

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