東大生が教える「国語力」と「暗記力」で数学を克服した方法

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算数が壊滅的、ということで指導を始めた小学6年生の教え子(女の子)が居ます。 彼女を指導する中で見えてきたのは、「国語力」と「暗記」で問題を解けるようになるということ。 この2点を意識して教えることで、わずか2週間で算数のテストで2割も解けなかった彼女が5割近くの点数を取ってきました。 今回は、そのメソッドをSPI非言語問題を例にした解説を交えてご紹介します。

※「算数と数学は名称は異なるものの、本質的な違いはない」(引用:wikipedia | 算数)ということなので、以下、「数学」と表現。

badge_columns_1001711数学の問題を解くプロセス

数学の問題を解くプロセスは、以下の3つに分類されると考察します。

①問題の意味を理解する ②ロジックを組み立てる ③計算をする

それぞれの工程について、どのように考えればよいのか検討していきましょう。

badge_columns_1001711①問題の意味を理解する~試験問題は出題者との対話

数学に限ったことではありませんが、試験問題は人が作ったもので、そこに作成者の意図が入っています。ここを読み違えると、頓珍漢な答えを出してしまうことになります。 相手の聞きたいことを把握しないうちに思い込みで話しても、コミュニケーションは成立しませんよね。 ここで必要なのが「国語力」ですが、本家・国語の問題を解くよりも簡単です。 ポイントは「語彙力」「ヒントを拾う」「何を答えれば良いのか把握する」の3つです。

・語彙力 例えば、「嵩(かさ)」という言葉の意味がわからないとしたら、考えようがないですよね。 また、「立方体」が合同な正方形でできている立体だと知っているからこそ、一辺3cmと言われるだけで面積も体積も求めることができます。

・ヒントを拾う よく、問題文が長文だとそれだけで難しそうだからと解くことを放棄する人がいますが、これは勿体ないことです。問題文が多い分だけ、文中にヒントが多くあるということなのです。

逆に、問題文が少なければ、それがヒントです。すなわち、敢えてヒントを言及しなくても、知識で解決できるということを示してくれています。「一辺3cmの立方体の体積を求めよ」と一行書いてあるだけでも、問題を解けてしまいますよね。

・何を答えれば良いか把握する 「何を答えれば良いかを把握するなんて、当たり前じゃないか!」と怒られてしまいそうですが、普段の勉強で集中できていなかったり、また試験で緊張していたりすると、結構この部分で間違えます。体積を出すべきところ面積を答えたり、単位を間違えたりしたとき、「うっかりミス」と言う人が居ますが、これはうっかりなんかではなく、問題の読解力が無いということなので、また同じ過ちを繰り返す可能性があります。 試験は出題者との対話。これをいつも念頭に置いておきましょう。

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badge_columns_1001711②ロジックを組み立てる

先に述べた通り、出題者には意図があります。多くの場合、「こういうロジックを使って、こう解いて欲しい」と思って、問題を作成しているはずなのです。そこで想定されるロジックとは、解答者がどこかでアクセスできるものであるはずです。貴方が先生だとして、小学生に大学入試と同じ問題なんて普通は出さないですよね。学校教育にしても、資格試験にしても、想定される範囲さえ抑えてしまえば、考え方のパターンの「暗記」でカバーできてしまうのです。

badge_columns_1001711③計算をする~暗記が計算力を高める

突然ですが、2×2=?

答えは4ですよね。2が2つあるから4と考えるのではなく、小学生の頃に覚えた九九「ににんがし!」で瞬間的に答えた方がほとんどだと思います。 このように、計算を暗記してしまいます。 例えば、45分=3/4時間であることは、1時間=60分だから45分=45/60時間=3/4時間というロジックから導き出されますが、計算すると5秒くらいはかかります。覚えてしまえば1秒もかからず求められますよね。 たった4秒ですが、塵も積もれば山となる。同様の計算を100パターン暗記すれば6分40秒の差が出ます。1000パターンならなんと1時間もの処理速度の差が生まれるのです。

badge_columns_1001711SPI非言語問題で考察

最後に、実際の問題で①~③を実践してみましょう。

ある品物の原価は1200円である。この品物に原価の3割の利益を得られるように定価をつけたが、売れないので定価の1割引で売ることにした。売価はいくらか。

(引用:SPI試験問題集~SPI2・SPI3対応~ | 問題集-Part1(損益算)

①について まず語彙力について、 原価:利益を含めていない仕入れ値段 利益:事業などをして得るもうけ 定価:ある品物について前もって決めてある売り値 売価:物を売るときの値段 (goo辞書 | 国語辞書 - 大辞泉 )

一語一句辞書通りに覚えている必要はありませんが、イメージができないとロジックを組むとき大変です。

次に、ヒントについてですが、この問題だと文章の順番に操作をしていけば答えが導き出されます。そういった意味で、どのような操作をしているのか正しく読み取る力が必要です。

そして、忘れてはいけない大前提として、答えるべきは「売価」ですね。

②について ここで使うロジックは、それぞれの言葉の意味がわかった上で「原価+利益=定価」であるということと、n割増またはn割引することについてです。

③について この問題で暗記の活用をすると3割=0.3/1=3/10が使えます。 3割増だと1+0.3=1.3=13/10と扱えば良いことを覚えていれば便利ですね。 同様に1割=0.1/1=1/10で、1割引の金額は1-0.1=0.9=9/10を原価にかければ求めることができます。

以上より、 売価=定価×13/10×9/10=1200×13/10×9/10=1404(円) と求められます。 (制限時間1分のところ、20秒で解けました。)

いかがでしたか。 私自身、小学生の頃から算数が苦手、高校時代は校内で平均以下という筋金入りの数学嫌いでしたが、 訓練の結果、SPIでは非言語の点数が言語を上回るという結果になりました。 数学のテストはなくなっても、数学的思考を必要とする場面は社会には多々あります。 皆さんも「国語力」と「暗記」を意識してトレーニングしてみてくださいね。

参考 高濱 正伸「女の子の算数力の伸ばし方」東洋経済新報社

東京大学法学部第2類(公法コース)所属。ノートルダム清心高校出身。面白いもの楽しいことは何でも好き。中高6年間軟式テニス部、6大学大会にも出場。元バンドマン。調理師免許保有。世界を飛び回りながら言葉を紡いで生きていきたい。

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