FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグ。彼の掲げるミッションは「世界を一つにつなげること」。その一環として2015年にFacebook上でブッククラブを立ち上げ、ユーザーと様々な本について話し合っていたのをご存知でしたか?
新たな文化・思想・歴史やテクノロジーに焦点を当て、おすすめの本を紹介しています。ピックアップされたのは全部で23冊! マーク・ザッカーバーグが選んだ本、気になりますよね。
でも、英語で本を読むのに抵抗がある人もいるでしょう。そこで今回は、日本語に訳された本を厳選して10冊ご紹介します。全て本人のコメント付き。ザッカーバーグと同じ本を読めば、アイディア溢れる彼の思考の一端を覗けるはず!
1. 権力の終焉
ブッククラブ第1回の課題書。マーク・ザッカーバーグだけでなく、ハフィントン・ポスト創設者のアリアナ・ハフィントンも推薦。
経済・政治・社会・ビジネスなど、あらゆる分野における権力衰退の要因と影響について記されています。
今までの伝統として強大な政府・軍隊・組織が持っていた権力が個人に行き渡っていく現在の世界の変化を説明している。個人が権力を得るようになることは私自身が深く信じていることだ
(引用:BOOK 1: THE END OF POWER By Moises Naim-A Year of Books)
2. 世界の技術を支配する ベル研究所の興亡
GoogleやAppleの源となるIT技術や情報理論を生み出し、21世紀で最も重要な発明を主導したベル研究所に焦点を当てた一冊。
インターネットや携帯電話ネットワークから光レーザーに至るまで、私たちの生活で見かけるものはベル研究所で作られたものばかり。技術革新における挑戦と解決策を示してくれます。
どんな人々がどんな問いにより、どんな環境でイノベーションをもたらすのか、とても興味がある。歴史的にみて最も革新的な場所の1つであるベル研究所に注目することで、その答えを教えてくれる一冊。
(引用:BOOK 21: THE IDEA FACTORY-A Year of Books)
3. ピクサー流 創造するちからー小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法
ピクサー創業者でディズニー、ピクサーのアニメーション・スタジオCEOによる一冊。
「アナと雪の女王」をはじめとするヒット作品の成功の裏を垣間見ることができます。
人はもともと創造的だが、様々なプレッシャーにより仕事で最善の結果を出せなくなってしまうというのが著者の考え。どうやってPixarのような素晴らしい会社を築き上げ、イノベーションと創造力を高めてきたかについて本人から直接話を聞くことができるのはありがたいこと。 イノベーションを起こして創造力を高めたいと思っている人なら誰にとっても役立つ一冊
(引用:BOOK 5: CREATIVITY, INC-A Year of Books)
4. 最底辺のポートフォリオ
世界の人口の約40%が、1日約2ドル以下で暮らしているのを知っていましたか? 貧困層が日々の財政問題を解決する方法を体系立てて記した一冊。
バングラデシュやインドのスラム街に暮らす人々への「ファイナンシャル・ダイアリー」という聴き取り調査を元にしてマイクロファイナンスの実態を描き、貧困から抜け出す道を示しています。
世界のほぼ半分-約30億人もの人々が1日2.5ドル以下で暮らしているのはショッキングなことだ。そして10億人以上の人々は1日1ドル以下で暮らしている。 このような貧困層の家族が生きていくためにいかにお金を投資しているかを描いている一冊。本書を読むことで世界の貧困を改善するために一丸となって何ができるか、新たな洞察が得られることを期待する。
(引用:BOOK 17: PORTFOLIOS OF THE POOR-A Year of Books)
5. 国家はなぜ衰退するのか(上)(下):権力・繁栄・貧困の起源
同じ地域にある似たような国家でも、経済・政治の発展が大きく異なるのはなぜでしょうか? Washington PostやFinancial Times、Economistをはじめとするアメリカの各雑誌でも年間ベストブックに選ばれている一冊。
難しそうですが、「読みやすく面白い」「わかりやすい」と絶賛されています。下巻には坂本龍馬や大久保利通も登場するそう。
国家が自国の繁栄・経済成長と貧困の撲滅に活用してきた様々な種類の社会制度と奨励策を解説している。貧困層の生活に焦点を当てた『最底辺のポートフォリオ』への補足として最適な一冊。本書では、なぜ貧困が生まれ、どのように解消すればいいのかがわかる。
(引用:BOOK 18: WHY NATIONS FAIL-A Year of Books)
6. 無限の始まり : ひとはなぜ限りない可能性をもつのか
スティーヴン・ホーキング博士と同じDirac Prizeを受賞したオックスフォード大学の物理学教授による、宇宙における人間の可能性を探った一冊。
量子計算理論のパイオニアでもある著者は、Ted Talkに登壇し「説明を説明するための新しい方法」についてスピーチをして話題に。
物事の説明の仕方がより大きな可能性をもたらしてくれることについて書かれており、一年を締めくくるのに最適な一冊。
(引用:BOOK 23: THE BEGINNING OF INFINITY-A Year of Books)
7. ヤバい社会学
シカゴのギャングと行動を共にした社会学者の冒険の日々を記したノンフィクション。
アメリカで経済学ブームを起こした400万部のベストセラー『ヤバい経済学』が本書を取り上げ、注目を集めました。
秩序だった統治下におかれずに生きる人々にとって人生はどのようなものかを教えてくれる。
(引用:BOOK 3: GANG LEADER FOR A DAY-A Year of Books)
8. ゲノムが語る23の物語
世界的に有名なイギリスの科学ジャーナリストによる、ゲノムの解読結果から浮かび上がる科学・哲学・倫理的な問題に対してまっすぐ向き合い、「人間とは何か」という問いに答える一冊。
人間のDNA情報の全てであるヒトゲノムの解読結果を、23のストーリーとしてまとめた一冊。
人類の歴史を遺伝学の観点から教えてくれる。(中略)ずっとMatt Ridleyの本を読んでみたかった。
(引用:BOOK 15: GENOME-A Year of Books)
9. 儀式は何の役に立つか―ゲーム理論のレッスン
世界最大のSNSであるFacebookの創始者らしい視点で選ばれた一冊。スポーツの試合放映時の広告や人気映画の鑑賞など、公共化に果たすコミュニケーションの役割と集合行動形成のメカニズムを考察。
ゲームにおけるプレーヤーの行動様式を元に、集団の行動の最適戦略を数学的に捉えるのがゲーム理論。経済の分析や国家間・企業間の合理的意思決定などに活用されているそう。
常識とは何かという概念を考察している。そして我々は個人的に知っていることだけではなく、他の人が知っているはずと自分が思っていることや共通の知識にも基づいて意思判断をしているのだと書かれている。 これはソーシャルメディアをデザインする上で非常に重要な考え方。なぜなら、一人一人のための個人的な経験を創造することと、すべての人へ普遍的な経験を作り上げることはトレード・オフの関係にあり、一方を達成するために他方を諦めなければいけないこともよくあるから。
(引用:BOOK 7: RATIONAL RITUAL: CULTURE, COORDINATION, AND COMMON KNOWLEDGE-A Year of Books)
10. 国際秩序
ベトナム戦争の終結に貢献してノーベル平和賞を受賞した、アメリカの元国務長官による一冊。
ニクソン政権・フォード政権で国務長官を務め、今はトランプ大統領の尊敬を得ている現在94歳の政治家が語る、国際秩序のあり方とは?
他国との関係と、どのようにして世界平和を成し遂げることができるかについて書かれている。我々の子供達に残したい世界を創るために重要で、最近よく考えていることだ。
(引用:BOOK 22: WORLD ORDER-A Year of Books)
*** 歴史・政治・科学・社会学・ビジネスなど、多岐にわたった「課題図書」が選ばれている、ザッカーバーグのブッククラブ。興味のある分野の本から手に取ってみてはいかがでしょうか?
(参考) A Year of Books whitehorse.gov|Remarks by President Trump in Meeting with Dr. Henry Kissinger OR辞典 Weblio辞書|ゲーム理論とは コトバンク|ゲーム理論とは