現代は様々な本や参考書などで溢れかえっています。速読や多読の方法などの解説本も多数出ており、たくさんの本や情報に触れる機会は確実に増えているでしょう。しかし、ただ読むだけになってはいませんか?または読んだ冊数でなんとなく満足してしまっていませんか?「読むこと」自体が目的になってしまっては本末転倒です。今回は、読んだことを確実に自分の知識にする方法をお送りします。
メモリー・リーディングとは?
メモリー・リーディングという言葉を聞いたことがありますか?これは、少しの訓練で「大量の本を短時間で読んで、その読んだ内容をさっと覚える」ことができるというものです。速読との違いは、速読は「とにかく一冊を早く読み終えること」を目的としていますが、このメモリー・リーディングは、きちんと自分の知識にして、必要な時に必要な情報を取り出すことができるのです。 『読んだら、きちんと自分の知識にする方法』著者の宮口公寿さんによると、メモリー・リーディングの一番の強みは
このメモリー・リーディングのもっとも大事なところは、イメージ化です。それは、思い出すきっかけを作るのに非常に有効な武器だからです。
ということ。憶えることが苦手という人は数多くいますが、それは間違っています。憶えるのではなく、「思い出すのが苦手」というのが正しいのです。思い出すためには、きっかけとなる何かがないと、憶えているものでも引き出せません。メモリー・リーディングでは、この思い出すきっかけを「イメージ化」としています。一度イメージを使って覚え、復習のときにそのイメージを使って復習すると、広範囲の内容=イメージが頭に残っています。
イメージ化の方法
では、イメージ化とは何なのか、「りんご」や「イチゴ」を例にとって考えてみましょう。りんごやイチゴを覚える時に目をつぶって、それを頭の中で写真にする=イメージにするのです。ただそれだけの非常に簡単なことです。今日から1日5分ずつ練習して、この「イメージ化」を習得していきましょう。これの良いところは、どこでも出来ることです。通勤・通学電車の中、お風呂の中などをイメージ化の練習の場所にしてしまいましょう。
イメージ化の練習は、まず具体的なものをイメージするところからはじめ、徐々に抽象的なものに移行していくという手順で行います。ここで大事なことは、「きちんと理解していないものは、憶えることができない」ということです。と言っても100%完璧に理解する必要はありません。70%ほど、つまりその本の内容がざっくりと理解できていれば大丈夫です。その上で、自分が理解したことをビジュアル化して、セット化して記憶することを試みてください。
古典的な記憶法:場所記憶
イメージ化して記憶する際は、7割程度の理解があれば大丈夫、とお伝えしました。その場合、呼び戻される記憶も一字一句正確なものではなく、概要やざっくりとした内容になります。それでは、もう少し正確な記憶が求められる場合はどうしたら良いのでしょうか。
その時におすすめなのは、「場所法」と呼ばれる記憶方法です。
場所法は紀元前から使われてきたとされており、ローマ時代の有名な演説家たちは、演説する場所で前もって場所法を用いて演説する事柄を記憶していたそうです。
場所法とは、その名の通り「場所」と関連付けて、詳細な内容を記憶することです。記憶力を競う世界選手権でも、大半の人が利用しているという「場所法」とはどんなものでしょうか。場所法ではまず、利用する「場所」を複数ピックアップします。外であれば自分が通勤通学で通る道の目印や曲がり角のお店、室内であればベッド、ソファー、台所、など。 この場所と、場所の道順を覚えたら、今度は自分が記憶したい詳細の内容を場所とリンクさせていきます。
このように言葉で説明されると、「??」となるでしょう。しかし、記憶力選手権の世界のトップがこぞって利用している方法となると、試してみる価値はありそうです。例えば江戸時代の将軍の名前や時代の順番など、まずは記憶の中にも流れがあるもので試してみて下さい。最終的には何十、あるいは百以上の場所と記憶がリンクできるようになるそうですよ!
全体的な流れとしては、
・読書フェーズ(憶えたい本を読む) ↓ ・理解フェーズ(70%以上の理解) ↓ ・記憶フェーズ(憶えることをイメージ化して道順に貼り付ける)
という流れになります。
イメージするだけというシンプルな記憶法です。ぜひ実践して、暗記学習に生かしてくださいね。
参考文献 宮口公寿『読んだら、きちんと自分の知識にする方法』 bukupe|読んだら、きちんと自分の知識にする!記憶術を使った読書法「メモリーリーディング」の方法 ペグ法 場所法