誰でもできることにもかかわらず、なかなか習慣化しづらい「メモを取る」という作業。みなさんは普段からできていますか?

成功者にはメモ魔が多いということも知られているとおり、メモの習慣が、一流へと近づく第一歩だと言えるでしょう。逆に、「メモを取る」といったほんの少しの手間を惜しんだばかりに、また優れたメモを取るテクニックを習得することができずに、二流のまま終わってしまう人はたくさんいます

メモを取らないことのデメリットを知れば、絶対にメモを取るべき理由に納得が行くはずです。

デメリット1:記憶に残らない

仕事ができる人ほど複数の案件を同時進行で動かしています。すべてをミスなく進めていくには、小さなことでもメモを取り、記録しておく必要があるでしょう。メモを取らないことで、複数のクライアントに関する記憶が混線状態になってしまい、結果的に先方に迷惑をかけたり、仕事仲間に毎回フォローしてもらったりするようでは、誰からの信頼も得られません。つまり、いつまでたっても二流のままというわけです。

伝える力【話す・書く】研究所所長の山口拓朗氏は、メモが持つ「備忘・記憶効果」がいかにビジネスにプラスに働くかを説いています。山口氏によると、「脳はすべての出来事を記憶できるわけではなく、当然ほとんどのことを忘れるようにできている」とのこと。しかし、メモをすれば無理をして覚えておく必要はありません。しかも、文字を書くことで記憶にも残りやすくなり、結果的に仕事の効率と精度が高まります。

メモを取るという作業は、決して難しいことではないはずです。にもかかわらず、それをやらないというのは結局「面倒くさい」からなのでしょう。つまり、面倒くさいという思考そのものが、成功を遠ざけているのです。

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デメリット2:考えをうまくまとめられない

ビジネスシーンにおいて、「簡潔に」「要点だけを」まとめる能力を必要とされる場面は多いはずです。たとえば作業の進捗状況を上司に報告するとき、長々と不要な部分まで入れて話してしまい、「で、結局何が言いたいの?」と全く伝わっていなかった経験はありませんか?

メモの達人として知られるビジネスプランナーの坂戸健司氏は、「メモとは相手の話のポイントを要約してつかむ作業である」と述べます。さらに、キーワードを書き出すという作業を繰り返すことで、相手の言いたことや思っていることを見抜く「察知力」が手に入るといいます。つまり、メモとは「話の要点をまとめる訓練」に適しているというわけです。

一方で、メモを取る習慣がない人は、情報の取捨選択が苦手です。話の流れ通りにしか物事を考えられず、何が必要で何が不要かを判断せずに全てを残しておこうとするのが特徴的であり、それにより作業スピードが遅く、無駄が多い印象を与えています

仕事を効率的にこなし、無駄なくスムーズに進めることは一流の人には必須の条件です。一方で、メモを取らない二流の人は、「自分は丁寧に仕事をしている」と思い込んでいます。しかし実際は、要点をまとめられずに余計なものを背負い込んで非効率的な仕事をしているだけなのです。

デメリット3:アイデアが浮かばない

前出の山口拓朗氏によると、「メモは、ときにアイデアを生み出す “着火剤” の役割も果たす」とのこと。

たとえば新しい企画を立ち上げるとき、アイデアをひとり10個ずつ出し合うことになったとします。普段からどんな些細なことでも気づいたことをメモしている人には、いわゆる「ネタのストック」がたくさんあります。一見、企画には関係なさそうなキーワードがメモに記されていたとしても、そこから連想して新しいアイデアを生み出すことも可能でしょう。

NHK Eテレ『2355/0655』のID映像に携わる映像作家の菅俊一氏は、毎日最低1つは “観察メモ” を残しているそう。写真やメモで「おもしろい」と思った瞬間を逃さずにストックしておくことで、ユニークなアイデアを次々と世に送り出しています。

アイデアは天から降ってくることなんてないと思っています。だからこそ、重視しているのは、徹底して数を出すこと。100個の中から1個のアイデアを選ぶより、1万個の中から1個の方がおのずと洗練されていく気がする。(中略)普段見落としていたものに気づくということは、最初はなかなかできないもの。けれど、何に着目するのかを意識しながら何度も何度も観察の練習を重ねていけば、必ず誰でもできるようになります。

(引用元:CAREER HACK|どっちがアイデアを出しやすい?「制約」を味方にする発想法

アイデアを出すためには、普段から「気づき」をメモすることが大切です。何気ないメモの言葉が、いずれ優れたアイデアに形を変えて、陽の目をみる可能性もあります。

もし、普段から一切メモを取っていなかったとしたらどうでしょう。天からアイデアが降ってくるのをひたすら待ちますか? 一から時間をかけて調べますか? 誰かが過去に発表したアイデアを自分のもののようにアレンジしますか? これらを疑いもなくやってしまうのは、明らかに二流であることの証でしょう。

一流になるためのメモ術

最後に、一流になるための優れたメモ術をご紹介します。

■あと回しにせず、すぐにメモ!

基本的なことですが、「あとでメモしよう」と自分の記憶力を過信するのはNGです

「脳は記憶装置ではなく想起装置です」と述べるのは経済評論家・経営コンサルタントの中島孝志氏。上司の印象的な発言や、同僚のインパクトがあるアイデアを聞いたとき、「こんなに重要なことはメモしなくても覚えていられるだろう」と考えてしまいがちですよね。しかし、その後の仕事やプライベートの忙しさに紛れて、きれいさっぱり忘れてしまったという経験はありませんか?

紙とペンがなくても、スマートフォンなら肌身離さず持ち歩いているはずです。メモ機能やアプリを活用して、相手に失礼にならないタイミングで、もしくは相手に一言断ってからメモを取るようにしましょう

■「○」や「→」など、記号を多用する

サントリー「伊右衛門」や「プレミアムモルツ」など、数々のヒット作を生み出し続けているコピーライターの小西利行氏。メモの重要性を説いた著書『すごいメモ』(かんき出版)の中で、「メモとは未来の自分へ向けたメッセージを残すこと」と述べています。

そこで重要なのが「後から読んでもわかるようにする」ということ。たとえば、最優先事項やあとで調べる必要のあることに「○」をつけます。そのとき、あれもこれもとたくさんつけては逆効果なので、3つくらいに絞るとポイントが明確になります。

そして「」(矢印)は、混沌とした情報たちに秩序を与えてくれるとのこと。ランダムにメモした情報の数々を「→」でつなぐだけで、情報の関係性が一目瞭然になります。ほかにも「VS」(対立概念や競合情報)、「」(「○」よりさらに重要)、「」(対比)なども効果的に使っていきましょう。

■自分の見解もプラスする

教育学者の齋藤孝氏は、著書『思考を鍛えるメモ力』(ちくま新書)の中で、独自の方法論を用いて優れたメモを取るコツを紹介しています。それによると、メモは3段階に分けられるそう。

・初級「守りのメモ」——相手の言葉を書き留めることが中心
・中級「攻めのメモ」——相手の言葉とともに自分の意見や感想、さらに疑問点も書き留める
・上級「鬼のメモ」——人の話を聞きかながら、同時に自分のアイデアやオリジナリティあふれる発見につなげることができる

たとえば、上司から「今度の新製品は既存製品に比べてこのような変更点があるから、営業の際に強調して伝えること」という指示を出されたとします。この言葉をそのままメモするのは「守りのメモ」です

そこで同時に「あのクライアントにはすぐに伝えるべきだ」「このような話の流れで進めたらスムーズに伝わるだろう」というところにまで考えが及び、メモとして残すことができれば、それは「攻めのメモ」になるのです。相手の話を聞きながら、気づいたことややるべきことを後回しにせずにすぐメモするように心がけることが、攻めのメモを取るコツです。

さらに進むと、今度は「鬼のメモ」です。この本では、数々の著名人のメモ力を例に挙げて、鬼のメモを取るポイントを紹介しています。

・思いついたことやひらめいたことは、イラストでもいいので書き留める
・自分の考えを箇条書きにする癖をつける
・読書をしたら必ずメモを取る。気になるところは書き写す
・ひと言で言い切る癖をつけて、本質を見抜く力を養う

その方法や手段は千差万別ですが、自分に合う「鬼のメモ」の取り方は必ず見つかるはずです。メモ帳やボールペンなどの道具を使いやすいものに変えるのもいいでしょう。つまり、「いつでもすぐメモを取れる状態にすること」「継続できること」が重要なのです。

慣れないうちは「守りのメモ」でもいいかもしれません。しかし、一流のビジネスパーソンを目指すのであれば、やはり「鬼のメモ」を取れるようになりたいですね。

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メモとは「ただ取ればいい」というものではありません。そこからどう活かすか、が重要なのです。自分にとってやりやすく、続けやすい方法やアイテムを見つけ出し、メモを取ることが習慣になるように工夫してみましょう。

(参考)
リクナビNEXTジャーナル|デキる人は、やっぱり「メモ魔」だったーーメモのもたらす5つの効果
THE 21online|「メモ」の達人が教える12のテクニック
CAREER HACK|どっちがアイデアを出しやすい?「制約」を味方にする発想法
東洋経済ONLINE|頭が片づく!人気コピーライターの「メモ術」
ダ・ヴィンチニュース|あなたはできてる? 頭がよくなる「メモ」のとり方って?
斎藤孝著,『思考を鍛えるメモ力』,ちくま新書.