暗記がなかなか得意になれない。そんな人は多いのではないでしょうか。部分的には暗記してちゃんと理解できたつもりでいても、実は全体像がつかめていなかったというやりきれなさを感じたことはありませんか? それに、ひたすら暗記をし続けるのって、なんだかつまらない……そう感じている方もいるはずです。
今回は、そんな悩みを解消してくれる、楽しみながら記憶を整理できる方法をご紹介します。
記憶を整理するには、関連付けが有効
断片的な記憶の数々を整理し、全体的な記憶へと導くためには、「記憶の関連付け」が必要です。
脳は、一つの情報をそれ単独ではなく、無数にあるその他の情報に関連付けて記憶します。そのため、何かしらの用語を覚える際には、より大きなコンセプトの中でその用語がどの位置づけにあるのかを意識することが重要なのです。
そして、この情報の関連付けを用いて記憶力を向上させるのに有効なのが「マインドマップを作成する」という方法です。
マインドマップとは
マインドマップとは、人間の創造性や記憶力などに関する著述活動を行っているイギリスのトニー・ブザン氏によって、1970年代に科学的根拠に基づき提唱されたもの。脳にとって魅力的で処理しやすい形で情報を記憶し整理するための図のことを言います。
マインドマップを描いたことのない方でも、マインドマップ自体は見たことがあるという人もいるかもしれません。真ん中に大きくテーマが書かれていて、そこからにょろにょろと枝分かれするように関連事項が記載されている図です。そのようなマインドマップのデザインは、脳が新たな情報を記憶する際に各脳細胞が繋がれる構造に似ているため、より早く、より簡単に新たな情報を記憶することができます。この方法では、新たに覚えた情報は既存の記憶に関連付けられるため、後から呼び起こしやすくなるとされているのです。
また、マインドマップを描くと、論理や数字などを司る左脳と、色彩やクリエイティビティなどを司る右脳を同時に働かせることになるため思考力を高めることができ、効果的に情報の関連付けができるようになります。実際に、マインドマップを描くことで単語を覚える際の記憶力が32%も向上したという実験結果が出ています。
マインドマップの描き方
マインドマップを作成する際には、まず紙の中央に最も重要な主題やそれに関連した絵を記します。そして、その周辺に下位のキーワードを放射状に描いていきます。このとき、主題とキーワードを線で結ぶことで、異なる階層にある情報同士のつながりが見えるようにしていきます。さらにこれら全てを色彩、画像、線やシンボルなどを用いて強調していきましょう。
マインドマップは紙とペンがあれば描くことができますが、無料のソフトウェアも開発されています。iMindMapは、ブザン氏が提唱したルールに基づきマインドマップを作製できる唯一の公認ソフトウェアで、ディズニー、BBC、オックスフォード大学、NASA、マイクロソフト、インテルでも使用されているのだそう。
ブザン氏が提唱するルールとは、次の12個のポイントから構成されています。
・無地の紙を使う ・用紙は横長で使う ・用紙の中心から描く ・テーマはイメージで描く ・1つのブランチには1ワードだけ ・ワードは単語で書く ・ブランチは曲線で ・強調する ・関連づける ・独自のスタイルで ・創造的に ・楽しむ!
(引用元:Wikipedia|マインドマップ)
iMindMapを使って描かれたマインドマップは、こちら「iMindMapギャラリー」から見てみてください。どうでしょう、描いてみたくなりましたか?
*** マインドマップは、ただ頑張って記憶の効率を上げようとするためのツールではなく、ルールの最後にある通り「楽しく」記憶するためのツールでもあります。楽しく絵を描くようなつもりで、マインドマップを描いてみてはいかがでしょうか。ポイントを意識し、楽しみながらクリエイティブなマップを描くことで記憶力を高めていきましょう!
(参考) Anokhin P.K. (1973). “The forming of natural and artificial intelligence”. Impact of Science in Society, Vol. XXIII 3. iMindMap ThinkBuzan.com|Mind Mapping: Scientific Research and Studies Wikipedia|マインドマップ Wikipedia|トニー・ブザン