キャリアの8割は "偶然" がきっかけ! 計画的に "偶然" を導く5つのポイント。

読者のみなさんは小さいころ、将来何になろうとしていましたか。サッカー選手や宇宙飛行士、中には、ウルトラマンにあこがれていた、なんて人もいるかもしれません。しかし、多くの人はその夢や計画を人生のあるタイミングで変えて、まったく別のことをやっているのではないでしょうか。

成功している多くの経営者やビジネスマン、学者たちの中にも、インタビューなどで過去の経歴について語るとき「最初自分は○○になろうとしていた」と言い、子どもの頃なろうとしていたものとは別の職業に就いているケースがしばしば見られます。ある調査によると、18歳の時になろうと考えていた職業に実際就いている人は、8%ほどしかいないのだそうです。

このように、人生とは、多くの場合、様々な出会いから進路を変え、当初は予想もしていなかったような道を歩むことになるものなのです。

そんな、つかみどころのないキャリアの流れ。いくら人生設計を考えても結局その通りにはいかないのだと、諦めてはいませんか? 実は、そのようなキャリア形成について説明した理論が存在します。その名も「計画的偶発性理論」。文字通り、偶発的な出来事を計画に組み込んでいくことによってキャリアを組み立てていくという理論です。今回の記事では、この計画的偶発性理論に基づいて、心躍るようなキャリアを組み立てる方法について紹介していきます。

いままでのキャリア設計は無意味!?

計画的偶発性理論とは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ博士が1999年に提唱したもので、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」という論理に基づき、その偶然を計画的に設計して、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方です。

多くの人は、将来何をするかということを考える際、自分の長所や短所、興味分野などの自己分析を行い、ゴールを定めてそこに向かってステップアップしていくというやり方をとります。しかし、計画的偶発性理論においては、そのようなキャリア設計は机上の空論にすぎません。クランボルツ博士は、「変化が激しいこの時代においては、キャリア設計はむしろするべきではない」とまで言っているのです。

「運命の出会い」の作り方

では、計画的偶発性を生かし、より充実した人生を歩んでいくにはどうすればいいのでしょうか。

偶発的な出来事を計画に組み込んでいく、というのは一見矛盾した考えであるように聞こえます。しかしそれは、今までの価値観を変えるような偶然の出会いを人生に意図的に組み込んで、予想もつかなかったほうにキャリアを展開していくということなのです。

言い換えると、価値観を変えてしまうような「運命の出会い」を自分で作っていくということ。クランボルツ博士は、そのような出会いが生み出される条件を見出しています。それは下の5つ。

(1)「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること (2)「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること (3)「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること (4)「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること (5)「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

(引用元:ジョン・D・クランボルツ, A.S.レヴィン著,花田光世訳, 大木紀子訳, 宮地夕紀子訳(2005),『その幸運は偶然ではないんです!』,ダイヤモンド社. )

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計画的偶発性を生かすには

上の5つの条件からわかることは、いわゆる「運命の出会い」は運のよい人の上に突然落っこちてくるものではなく、前向きな考えを持ち、努力を怠らないことで手繰り寄せるものなのだということでしょう。

近年ブームになっているアドラー心理学における大切な考え方の中に、「今、ここを生きる」というものがあります。これは、不確かな未来について考えることは無意味で、ただ今この瞬間を全力で生きることによってのみ、未来を創ることができるのだ、という考え方。アドラー博士の言うように、未来についての展望を持たずに日々を全力で生きようとすると、モチベーションの維持などは難しくなるでしょう。

一方、クランボルツ博士が計画的偶発性理論で説くのは、未来について決めつけず、その時々の出会いによって選択肢を常に作り出していきましょう、ということ。何かと不確実なこの時代では、こちらのほうがより現実的なのかもしれません。

*** 筆者を含めた、将来何をやりたいのかわからないという人が、この理論によって自由な気持ちでキャリアを形成していけるようになったら幸いです。

(参考) ジョン・D・クランボルツ, A.S.レヴィン著,花田光世訳, 大木紀子訳, 宮地夕紀子訳(2005),『その幸運は偶然ではないんです!』,ダイヤモンド社. 岸見一郎著,古賀史健著(2013),『嫌われる勇気』,ダイヤモンド社. All About|計画的偶発性(プランドハップンスタンス)理論とは? “未来を変える”プロジェクト|古森剛 イノベーションに欠かせない「好奇心ドリブン」の学習法

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