「自分の性格を変えたい」 「もっと◯◯みたいになりたい」 「目標を設定しても挫折してしまう」
仕事や学生生活をまっとうするなかで、このような自分に対する課題を持つ人は多いのではないでしょうか?
今回はそのような悩みを解決するために、心理学の分野で用いられる認知行動療法を使って、問題解決のスキルを皆さんに身につけてもらえればと思います。
目標を達成するために……
もっと高みを目指したい、と目標を設定したとき、その目標を達成するために便利な技法があります。それが認知行動療法の一種、問題解決技法です。
まず、認知行動療法とは、下記のことをいいます。
認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)の一種です。
(引用元:認知行動療法センター|認知行動療法とは)
つまり、自分の中での誤った思い込みを、事実に基づいた合理的・客観的な考え方によって正し、心の問題を解消していくというもの。認知行動療法にはいろいろな技法がありますが、問題解決技法は、心の問題に限らずさまざまな場面で応用が可能なのです。
問題解決のために行なう7つのステップ
問題解決技法は、問題の設定するところから始まり、7つのステップによって進んでいきます。これを行なうことで「問題を客観的に見ること」「実行手順を具体化すること」がより行いやすくなるのです。
【ステップ1:問題を絞り込んで、課題を設定する】 あなたにとって問題・課題となっていることは何ですか? これから達成したい課題、問題をひとつに絞ってみましょう。
【ステップ2:今問題に取り組む気持ちを引き出す】 この課題・問題は解決できないのでしょうか? できないと思う場合、その理由を書き出してみましょう。
【ステップ3:思いつく限りの解決策を考え出す】 あなたが思いつく限り、解決策を書き出しましょう。この段階では、どんなに不可能だと思うことでもかまわないので、できるだけ多くアイディアを書き出してみます。
【ステップ4:課題を解決するために最適な解決策を選ぶ 先ほど書き出した解決策のメリットとデメリットを書き出してみましょう。それを書いたうえで、「1. どれだけ役に立つのか」「2. どれだけ簡単にできるのか」をそれぞれ10点満点で吟味して、「3. 合計点を算出し点数の高いものから順位をつけて」いきます。
【ステップ5:解決策を選び出して、実行する準備をする】 ステップ4では、客観的に解決策を吟味しましたが、その中から改めてひとつ選んで実行するために下記の準備をします。 ・具体的な手順を書く。 ・想定される障害を書く。 ・障害の対処方法を書く。
【ステップ6:解決策を実行する】 ステップ5で考えた手順を実行します。
【ステップ7:実行した結果を検証する】 実行してみた成果はどうでしたか? 実行してみてどんな気持ちがしましたか? 問題は解決しましたか?
実際にやってみた
問題解決のために、7つのステップを書き出していきます。
【ステップ1:問題を絞り込んで、課題を設定する】 やるべきことが多すぎて、やりたいことができていない。
【ステップ2:今問題に取り組む気持ちを引き出す】 できない理由は、授業数が多い、授業の課題が多い、帰ってやろうと思っても疲れて寝てしまうなどが挙げられます。
【ステップ3:思いつく限りの解決策を考え出す】 課題に取り組む時間を削減する、電車の中で寝ている時間を課題にあてる、授業を休む、やりたいことをあきらめる、やるべきことをやらない、やりたいことの行動手順をもっと具体的に考える。
【ステップ4:課題を解決するために最適な解決策を選ぶ ・課題に取り組む時間を削減する 合計10点(役に立つか:6点、簡単にできるか:4点) メリット:時間ができるので、その分やりたいことに時間をあてられる デメリット:そんなこと本当にできるのかわからない。集中力が必要になるので疲れる。
・電車の中で寝ている時間を課題にあてる 合計12点(役に立つか:7点、簡単にできるか:5点) メリット:通学時間が長いので、その分やりたいことのための時間ができる デメリット:眠気と闘うのがつらい
・授業を休む 合計7点(役に立つか:3、簡単にできるか:4) メリット:授業分の時間が空くため、やりたいことができる。 デメリット:授業に出られないことで、その分の知識が得られない、出席回数が減る
合計点順に並べます。 1位:「電車の中で寝ている時間を課題にあてる」12点 2位:「課題に取り組む時間を削減する」10点 3位:「授業を休む」7点
【ステップ5:解決策を選び出して、実行する準備をする】 「電車の中で寝ている時間を課題にあてる」 手順:座ると寝てしまうため、電車に乗るときは座らない→すぐに課題のプリントを取り出す→レポートの構成を決める 障害と対処法:もしも満員電車だった場合は、プリントさえ出せない可能性があるため、メールの返信など他にやるべきことを進めておく。どうしても疲れていて座りたい場合は、「座ったら課題をやってはいけいない」というルールを設ける。
【ステップ6:解決策を実行する】
【ステップ7:実行した結果を検証する】 成果:電車の中で寝なくなったため、その分課題に取り組めている。 気持ち:課題に取り組めていることに自信が持てている、モチベーションがあがった。 解決:とりあえず、やりたいことをするための時間を作ることができた。
問題が解決していない場合
成果の妨げとなったことは何でしょうか? 次うまくいくために、取り組んだほうが良い課題は何でしょうか?
うまくいかなかった場合は、この2つの問いの答えを吟味してもう一度ステップ1から見直してみましょう。もし解決できなかったとしても、必ずどこかに解決するための答えがあるはずです。そして、その答えというものは、ひとつに限らずいくつもある可能性があります。
目標に取り組んでいるけれども「なかなかうまくいかない」「できない自分を変えたい」 そう思っている方は、ぜひ試してみてくださいね。
(参考) 大野裕の認知行動療法活用サイト|こころのスキルアップトレーニング 認知行動療法センター|認知行動療法とは