人に会うのがおっくうで仕方ない……。せっかくの休日なのに外出する気が起こらない……。そんな気持ちを抱えたことのある方は少なくないのではないでしょうか。
そこで今回は、身だしなみを整えることによるポジティブな効果についてご紹介したいと思います。女性だけでなく、男性を対象にした研究結果も出ているので、皆さんぜひチェックしてみてくださいね。
ストレスを緩和し、リラックスできる
お気に入りの服やアクセサリーを身に着けると、気分が晴れやかになりやる気が出たという経験は誰もがあるのではないでしょうか。
化粧品大手の日本メナード化粧品株式会社による研究では、ストレスを受けたときに増加するコルチゾールというホルモンが、メイクアップすることで減少したという結果が出ています。
コルチゾールは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれていて、ストレスを感じると分泌されます。過剰なストレスなどでこのコルチゾールの分泌が慢性的に高くなってしまうと、うつ病や不眠症などの精神疾患や、生活習慣病などのストレス関連疾患の可能性が高くなるそうです。
また女子学生を対象にした研究では、気に入った服とそうでない服を着てもらったときのコルチゾール分泌量を比べました。実験の結果、気に入った服を着ていた場合の方がそうでない場合よりも、コルチゾール分泌量が減少したのです。
さらに、男子学生を対象にした研究でも同様の結果があります。化粧心理学者である平松隆円氏は、「男性による化粧行動としてのマニキュア塗抹がもたらす感情状態の変化に関する研究」として、マニキュア使用経験のない男子学生にマニキュアをすることで、ストレスがどう変化するかを検証しました。その結果、マニキュアを塗抹した男子学生は、緊張や不安、混乱が落ち着いて、ストレスが軽減されたのです。
上記のことから、好みの服を身に着けたりおしゃれをしたりすることはコルチゾールの分泌を減少させ、塞ぎこみがちな気持ちを前向きにしてくれると言えるでしょう。
人と積極的に関われるようになる
身だしなみがきちんと整っている人を見て、自信にあふれた印象を受けたことはありませんか。身だしなみと自信にはどのような関係があるのでしょうか。
青山学院大学で行われた実験では、普段よりも濃い化粧を施された学生のパーソナルスペース(他人に近付かれると不快に感じる空間)が、化粧をされる前に比べて約14㎝も縮まったそうです。逆に、化粧を落とした学生のパーソナルスペースは18㎝も広がりました。
また平松氏によるティッシュ配り実験においても、「マニキュアを塗抹した男性の方が塗抹していない男性よりも早くティッシュ配りを終える」という結果が出ています。これは、マニキュアの塗抹が指先や容姿全体に対する満足度を上昇させ、自身の自信へと結びついたと推測されています。
これらのことから、身だしなみを整えることは無意識のうちに自尊心や自信などを高め、周囲に積極的になれることがわかります。また最近では、美容への関心が高い男性が増えています。営業職に限らず、外見に気をつかうこともビジネススキルのひとつであると考えられるようになったからかもしれません。
ストレスを緩和し、自信アップにつながるのであれば、積極的におしゃれや身だしなみに気をつけていきたいですよね。では、具体的にどのようなことをすればよいのでしょう。いくつかご紹介したいと思います。
身だしなみを整える方法
1. 手先や足先をケアする 顔や髪を整えることももちろん有効ですが、鏡を見なくても直接目に入る、手や足がケアされていると自信に繋がるものです。爪を切る、マニキュアを塗る、爪の甘皮を手入れする、ハンドクリームを塗る、ブレスレットや指輪を身に着けるなどが当てはまります。
2. 部屋着やパジャマから着替える せっかくの休日はリラックスして過ごしたいという方も多いでしょう。しかし、誰にも会わないからという理由をつけて、部屋着やパジャマで日中を過ごしていたら、ダラダラと過ごしてしまいがちです。着替えることで生活にメリハリをつけ、気持ちをONにしてみましょう。
3. 香水などで体臭のケアをする 外見を整えることとは少し離れますが、体臭の対策をすることも身だしなみを整えることと言えるでしょう。ストレスを感じたときは、お気に入りの香水を使ってみたり、デオドラントの香りを変えてみたりすることをおすすめします。最近の柔軟剤は種類が豊富ですので、好みの柔軟剤で洗濯するのもよいですよ。
4. 色のパワーを身に着ける 色とココロのコンシェルジュである佑貴つばさ氏は、人は「少し自分を抑圧している」「人と距離を置きたい」ときに黒を選びがちだと言います。気分を上げたいときは赤やオレンジの暖色系、イライラしたときは青を身に着けるなどして、色のパワーに助けてもらいましょう。
*** 男性、女性関係なく、身だしなみ=外見を整えることでプラスの効果がたくさんあります。何だか気分が乗らないときは、「あえて」おしゃれをして、元気を取り戻しましょう!
(参考) MENARD|メイクアップが及ぼす心理的影響 資生堂ライフクオリティー事業|化粧療法の効果 another life|世界で唯一の「化粧」専門者!常識に囚われない生き方を。 J-STAGE|おしゃれの心理的効果とストレスホルモンへの影響 ヤクルト中央研究所|健康用語の基礎知識:コルチゾール Wikipedia|パーソナルスペース 平松隆円(2011),「男性による化粧行動としてのマニキュア塗抹がもたらす感情状態の変化に関する研究」. All About|ココロは「身なり」にあらわれる!