「速読」と「理解」は両立できる! 著名人も実践する『最強の読み方』

本を読むのが遅い。本を読んでも頭に残らない。本はたくさん読んでいるが、人生にあまり生かされていない……。そんな悩みを抱えてはいませんか?

普段の読書から資格試験の勉強まで、できるだけ速く、大事な本はさらに頭に残す読み方を実践したいですよね。今回は、著名人たちが実践する読書の仕方を参考に、最強の読み方をご紹介します。

既有知識が増えると、新しいことを学びやすくなる

作家の佐藤優さんは、月に平均300冊、多い時で500冊もの本を、1冊5分の「超速読」、1冊30分∼2時間の「普通の速読」、ノートに重要な箇所を書きだしたりマーカーを引いたりする「熟読」のどれかで処理するのだそう。そんな佐藤さんと、ジャーナリストの池上彰さんの共著『僕らが毎日やっている最強の読み方』の中で、2人は速読における「既有知識」の大切さを述べます。

佐藤:「速読をしたいけれど、うまくできない」という相談をよく受けますが、「速読」でその本の内容をきちんと理解するためには、その分野についての一定の基礎知識があることが大前提なんですね。 池上:基礎知識のない分野の本は、飛ばし読みでは理解できませんからね。 佐藤:「基礎知識のない知らない分野の本は速読できない」というのが、速読法の大原則です。ロシア語がわからない人が、いくらロシア語の本を一生懸命読んでも、それは目の運動にしかなりませんから。 池上:「速読」したいと思ったら、まずは基本書をしっかり熟読して、基礎知識を身に付ける必要があるということですね。

(引用元:東洋経済ONLINE|佐藤優「月間300冊の読書は、これで可能だ」

『頭が良くなる魔法の速習法』の著者で、速読の専門家である園善博さんも、神社仏閣の入門書を読み始めたはいいものの、神社の歴史的変遷や宗教的意味合いが頭になかったため、はじめはゆっくりとしか読めなかったといいます。しかし2冊目、3冊目と進んでいくうちにそのスピードは速くなっていったんだとか。そんな経験から、「速く読むから多く読めるのではなく、『多く読むから、結果的に早くなる』」という考え方を抱くようになったそうです。

これから読む本の下見をする「プライミング」―パラパラ読みで理解度アップ―

入門書である程度基礎的な知識を身につけたら、次に取り入れるのは「プライミング」という読書効率を高める方法です。

「プライミング効果」とは「先行する刺激の処理が後続する刺激の処理に影響を及ぼすこと」。 わかりやすくいうと 「一度見たものは、二度目は見やすくなる」

(引用元:園善博著(2009),『頭がよくなる魔法の速習法』,中経出版.)

この認知科学の理論を応用し、読書前に次のことを実践します。

  1. 「なぜこの本を読みたいと思ったのか」を考え、目的意識を持つ
  2. 目次を見て、「その本に、どのようなことが書かれているだろうか」と推論する
  3. プライミングをかける。目的に関わりそうな「キーワード」を探す感覚で、本をパラパラめくる。
  4. 1ページ2~3秒を意識し、200ページの本なら5分~10分で読み終える

この方法、実は東京大学首席弁護士でハーバード大学ロースクールにも留学経験のある山口真由さんも「リサーチ読み」と呼び、実践されている方法なのだそう。

きちんと読んでいると時間がかかるので、サラサラと目を通すのがコツ。目次を見てどこに何が書かれているかをチェックし、流し読みしながら関連性の高い部分を探します。このときの読み方のコツは、文章を読むのではなく、文章の中にあるキーワードを見つけることだけを意識して読むこと。関係がありそうな文献はあとから「平読み」するのですから、この「リサーチ読み」は、文章の意味がとれなくても全く気にする必要はありません。

(引用元:山口真由著(2014),『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』,PHP研究所.)

この読書法は、佐藤さんの1冊5分の「超速読」にも当たります。ここで、その本が「熟読に値する」のか、それとも「熟読する必要はない」のかを選別します。既有知識が書籍のほぼ全ての内容をカバーした場合、この読み方で全てを理解できるでしょう。内容をより深く理解したいと感じた場合には、マーカーを引く、重要な箇所に印をつけるなどしながら、じっくりと読み込んでいってください。

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眼筋トレーニング

筆者は現在、SP速読学院という速読教室に通っています。そこではこうした「既有知識の増加」、「プライミング」に加え、「眼筋を鍛えるトレーニング」を毎日課されています。やり方はいたって簡単。

①まず両手を目の高さに挙げて親指を立てる。百八十度を目安に、両手を左右に広げよう。 ②顔を正面に向けたままま、横目で右の親指を見る。少し苦しいが、このまま二十秒間キープする。

(引用元:橘遵著(2010),『ひと晩5冊の速読術 (イラスト図解版)』,河出書房新社.)

これを左右上下、右斜め左斜めと各20秒間ずつ繰り返すだけ。トレーニングの目的は、ひとつは「眼筋痛の予防」、そしてもうひとつは「視野の拡大」です。あまり知られていませんが、こういった眼筋のトレーニングをすることで、しつこい疲れ目もすぐに解消しますし、時には視力が回復することもあります。また、視野が拡大することによって、一度で認識できる文字数が増えるので、その分だけ読む速さも速くなっていきます。

*** 「既有知識」を増やし「眼筋トレーニング」を実践することによって、誰でも佐藤さんの「普通の速読」、つまり1冊30分∼2時間は達成することができます。そこに達したら「プライミング」で本を選別していきましょう。注意してほしいのは、本を読むことが目的ではないということ。皆さんは、本を読むことによって、現実の何かを変えたいという欲求を持っているはずです。本を読んだら、実践する。そして大事な本は、何度も読む。これは佐藤さん、池上さん、山口さん、そしてあらゆる速読本の著者の意見が一致するところ。その姿勢だけは絶対に忘れないでくださいね。

(参考) 園善博著(2009),『頭がよくなる魔法の速習法』,中経出版. 橘遵著(2010),『ひと晩5冊の速読術 (イラスト図解版)』,河出書房新社. 山口真由著(2014),『東大首席弁護士が教える超速「7回読み」勉強法』,PHP研究所. 東洋経済ONLINE|佐藤優「月間300冊の読書は、これで可能だ」

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