長時間勉強したり残業をしていると、どうしてもある一定時間が経過すると集中力が切れてぼーっとしたくなってきますよね。一見罪悪感を感じるこの「ぼーっとする時間」が、脳にとって重要な役割を果たしていることが近年の研究から分りました。
脳には二つのネットワークがある
スウェーデンのマルメで2014年の夏に開催された「The Conference by Media Evolution」においてマックス・プランク研究所のダニエル・マーグ氏は、「何かに意識を集中させていない、脳がぼーっとしている状態の時、脳の一部が意外にも非常に活発に活動している」と発表しました。
人間の脳活動では、二つのニューラルネットワークがきわめて大切です。ひとつは、私たちが周囲の世界に反応するための「外界に向けられたネットワーク」。もうひとつは、脳がぼーっとしている時に活性化する「デフォルトモード・ネットワーク」(DMN)です。このDMNには、脳内の様々な神経活動を同調させる働きがあります。また様々な脳領域の活動を統括したり、私たちが意識的な行動をする上で大切な役割を果たします。
「ぼーっとすること」も大切
人間の脳はこの二つのネットワークの間で常に振動しており、この「振動状態」こそが周囲との関わりとを認識する重要な要素となっています。二つのネットワークの関係は一定ではなく、時間とともに変化するので単純には言えませんが、「ぼーっとすること=DMNが活発になること」が脳機能を活性化させる上で大切であることは間違いありません。
漫画タイムではなく瞑想タイムを
では集中力が切れて休憩を取る時に、あなたはどうやって過ごしますか?ゴロゴロする?仮眠をとる?漫画やテレビを観る?どうせ休むなら賢い休み方を。次の集中タイムに良い影響を与えるような効率的な過ごし方をお教えします。それは「瞑想」です。
ワシントン大学の最近の研究では、複数のグループに同じ課題を与え、「スピード」、「正確性」、「マルチタスク」のテストをしたところ、作業の合間に数分でも瞑想を行ったチームが最も集中力と記憶力がアップしていたことが分かりました。瞑想といっても難しいものではなく、20秒くらいをかけてゆっくり息を吸ってゆっくり吐けばそれでOK。
また、日本の脳科学者の第一人者である茂木健一郎氏は、「クリエイターが素晴らしいアイデアを生み出す時は、お風呂に入っていたり散歩していたり、脳が休んでいる=リラックスしている時」と話しています。ここからも脳を休ませることの大切さが分かります。
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いかがでしたか? 長時間集中が続いた後は、脳を休ませることも大切だということが分かって頂けたでしょうか。ただし、「それならたくさん休もう!」と考える必要はありません。DMNが活性化する=脳がリラックスするタイミングは突然、何の規則性もなく訪れるそう。その時は自ずと集中力が切れるので、「あ、DMNが動き出した!」と感じるまでは精一杯頑張りましょう。
参考
WIRED -Unravelling the mystery of your wandering mind (http://www.wired.co.uk/news/archive/2014-08/19/brain-neutral) ITメディアビジネス アメーバニュース