「音楽」「ガム」「一緒に勉強」は勉強効率をあげるか? 三大迷信徹底検証

Young woman listening music in headphones in the city

どういう環境で勉強すればいいのか。多くの人が悩んできた問題だろう。 そんな中でも、賛否両論分かれるのがこの三つではないだろうか。

「勉強中は音楽を聞くとよい」 「ガムを噛むと勉強に集中できる」 「友達と一緒に勉強するとはかどる」

筆者自身、受験時代に友人と意見が別れたことがある。学生だけでなく、社会人もスキルアップのための勉強が求められる今日。

いわば「勉強の三大迷信」ともいえるこれらを、今回は科学的に徹底検証してみたいと思う。

badge_columns_1001711勉強中に、好きな音楽を聞くべからず!?

あなたの身の回りにもいないだろうか、音楽を聞きながら作業する人。周りの雑音が入ってこなくて集中できる…という人もいれば、音楽の方に気をとられてしまう…という人もいるはずだ。

群馬県立県民健康科学大学大学院の新井氏らは、大学生を被験者として次のような実験を行った。ポップスとクラシックの両方を聞きながら「クレペリン検査」を行い、脳のどの部分が活性化しているかを検証する、というもの。

「クレペリン検査」とは一桁の数字の足し算を行いながら脳の働きをみる、というもので、今回は単純作業のモデルとして用いられている。

その結果、クラシック音楽を聞いた場合には、脳の「眼窩前頭皮質」という部分が活性化したんだとか。これは、意思決定など行動計画を司る部分。

結果的に、クラシックを聞きながらだと、こなせる単純作業量が増加したとのこと。 短時間で多くのタスクを処理したい時には、クラシック音楽を聞くのがよさそうだ。

クラシック音楽以外ではどうだろうか。台湾の心理学者であるHuang氏らは、「自分の好きな音楽を聞くと、集中力が低下する」ということを示している。ノリノリで勉強しているつもりでも、それは音楽にノっているだけなのだ。

◯結論【勉強中に好きな音楽は聞くべからず。短時間で多くのタスクを処理したいなら、クラシックを聞くべし。】

badge_columns_1001711ガムを噛むと、勉強の疲労が軽減される!?

しっかりよく噛んで食べると、頭がよくなる。小さい頃母親に言われなかっただろうか。また、メジャーリーグの選手はガムを噛みながら打席に立ったりするし、集中力もあがるのでは?なんて思う人も多いはず。科学的にはどうなのだろう。

東京医科歯科大学大学院の佐々木助教をはじめとする研究グループは、作業中のガム咀嚼が与える影響を調べた。先ほどと同じように、大学生の被験者にガムを噛みながらクレペリンテストを含む四種類のテストを行ってもらったのだ。

その結果、全体としては「ガムを噛みながら」の方が点数が高かったものの、計算テストに限っていえば、「ガムを噛まない」条件の方が成績がよかったんだとか。

確かに、素早く計算などをする時にガムをくちゃくちゃ噛んでいては邪魔になりそうだ。実際に被験者にインタビューしてみたところ、計算の時には噛んでいることを意識してしまって集中が削がれてしまった、と回答している。

また、ガムが作業後の疲労にどう影響してくるかも実験で検討された。驚くべきことに、全てのテストにおいて、身体的・精神的疲労が軽減されたのだという。ただし、これは「噛むこと」というよりもガムの「レモンやミントの香り」に影響された可能性も高いのだとか。

どちらにせよ、疲れにくくなるのは事実。ぜひ実践してみたいところだ。

◯結論【あまりスピードを必要としない、じっくりゆっくりできる勉強の時にはガムを噛むべし。また、ガムを噛むと疲れにくくなる。】

Three Girls Studying the Bible Together

badge_columns_1001711人の音声は、想像以上に集中力を削っている!?

学生時代。テスト勉強みんなでやろうぜ、と言い出すやつ、いなかっただろうか。みんなでやれば相談できる反面、無駄話に花が咲くこともあるだろう。集中しようとしても、友人の声が気になってしまう、なんて人もいるのかも。

東京電機大学の辻村氏らは、学習の際の環境音がどのように効率に影響するのかを調査した。

被験者には、①ニュースを聞いてその内容確認テストを受ける、②ニュースを文字で読んでその内容確認テストを受ける、③ニュースを聞き、その原稿の校正を行う、の三種類の課題を実施。それぞれについて「騒音なし」「空調音あり」「会話音あり」の条件のもと、点数を比較した。

結果、音声を聞き取る必要のある課題①と③では点数が低下。また、どの課題についても、「会話音あり」の条件でもっとも成績が悪かったんだとか。これは、騒音のなかに言語情報があることによって、妨害感が強まるからなんだとか。

つまり、語学のリスニングなど音を使って勉強する時は、人と一緒に勉強しないほうがいい、ということ。また、どんな勉強であろうと、人の声は相当妨害感が強い、ということをお忘れなく。

◯結論【リスニングはひとりでやるべし。一緒に勉強する時は、あまりおしゃべりではない人と一緒にやるとよい。】

***

いかがだろうか。

もう一度まとめてみると、

その一【勉強中に好きな音楽は聞くべからず。短時間で多くのタスクを処理したいなら、クラシックを聞くべし。】

その二【あまりスピードを必要としない、じっくりゆっくりできる勉強の時にはガムを噛むべし。また、ガムを噛むと疲れにくくなる。】

その三【リスニングはひとりでやるべし。一緒に勉強する時は、あまりおしゃべりではない人と一緒にやるとよい。】

今度からぜひ自分の勉強に取り入れてみてほしい。

なお、集中力を保つ方法については、「勉強に集中する方法まとめ。音楽・場所・食べ物を利用しよう」でも詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。

参考

新井良彦, and 柏倉健一. "BGM 聴取時の作業効率に関する脳部位の検討." (2012). 佐々木晶世, et al. "ガム咀嚼が作業効率と疲労に与える影響に関する研究." 日本健康医学会雑誌 18.1 (2009): 24-30. 辻村壮平, and 上野佳奈子. "教室内音環境が学習効率に及ぼす影響." 日本建築学会環境系論文集 75.653 (2010): 561-568. IOS press|Effects of background music on concentration of workers

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