文章を書くのは得意ですか? 論文を書くのは好きですか?
小学校の読書感想文から始まり、入試の小論文、大学の期末レポート、社会人でも資格試験や昇格試験など、論文を書く機会は多いもの。苦手だからと言え「文章を書く」ことからは逃げ出せない、と言っても過言ではありません。
レポートや論文を書くとき、Googleで「レポート 書き方」「論文 コツ」なんて検索していませんか? 出だしは良くても後半がグダグダ………なんてことはありませんか? 残念ながら、それではいつまでたっても上手に書けるようにはなりません。
みなさんの抱える「どうやってレポート・論文を書くのか」という悩みに、分かりやすく答えてくれる本をご紹介しましょう。冒頭の質問に思わず首を横に振ってしまった方、必見ですよ。
『新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)』 戸田山 和久 著 NHK出版 2012年
(以下引用はすべてこの書籍から)
レポート・論文の形式が一発でわかる!
論文やレポートを書く時、「何を書けばよいのかわからない」といった漠然とした疑問や、「どんな構造にすればよいのかわからない」という悩みを持つことがあるかと思います。まず、論文というものについて、著者は次のように言っています。
論文というのは、「なぜ……なのか」、「われわれは……すべきか」、「……と……の違いは何か」、などといった明確な問いを立て、それを解決することを目指す文章だ。
そう、あなたの書くものが「論文・レポート」である以上、そこには問いが必要です。参考資料の要約や、講義の感想を書くだけではダメ。自分で問いを立てて、それに対する自分の主張を述べることが重要なのです。
さらに著者は、論文は「タイトル・アブストラクト・本体・まとめ・参考文献」の五つから構成される、と解説。そのそれぞれを書く時、具体的にどのような点に注意すればいいのか、例を示しながら説明してくれます。
「真似する」だけで論文ができあがる!?
「やり方が分かっても、実際書けるかどうかは話が別でしょう?」と思う方もいるかもしれません。そのような質問に、著者は次のように答えています。
―論文の型を身につけるにはどうしたらいんすか。 ―それは、ずばり真似すりゃいいのさ。 (中略) ―学会誌に載っているまともそうな論文を手元に置いて、その形式を参考にしながら書いていくといいよ。まず、こういうことを書くのか……。で、次にこういうことについて述べるわけか……、そしてこんな風に引用して……、ってやるわけ。
そう、まずは真似してしまえばいいのです。著者は、論文を自分で探して真似てみろ、と言っていますが、そんな必要すらありません。なぜなら、この本には著者の用意してくれた様々な論文の形がすでに載っているから。あなたはそれを真似るだけでよいのです。
実際にどんな手順で書いていくか、その道筋がわかる。
この本では、まず始めに論文とはどんなものなのかを解説したあと、実際にどうやって論文を作っていくか、その手順を一から解説してくれます。
まずは論文に絶対必要な「問い」を立てる、その次は本文の骨組みとなるアウトラインを考える、というように、学者が実際に論文を書く際に使っている方法を、順序を追って教えてくれるのです。だから、最初から最後まで読んでいくだけで、自然と論文が出来上がってしまうというわけ。すごいですよね。
何より面白い! 読みやすい!
これが一番大切なことだと思います。 論文の書き方の本に限らず、「○○の方法」「▲▲のやり方決定版」といった類の本を読んでみても、最後まで読みきらなかったり、難しくて実践できなかったり、という経験をした方もいるかもしれません。ですが、この本は違います。
レポートや論文が致命的に苦手な「作文 ヘタ夫くん」と著者である「先生」が、ボケやツッコミを交えながら、論文の書き方について語っていきます。とにかく、面白い。彼らのやりとりを見ていると、思わずにやけてしまうこと請け合いですよ。
面白いのに、最後まで読めば論文の書き方がばっちり身についてしまう。これほどためになって面白いなら、読まない手はないですよね。私は今でも、論文やレポートを書く時はこの本を横に置いて書くことにしています。ぜひみなさんもご一読あれ。