リーダーシップは "指示・管理" のことじゃない。渋沢栄一に学ぶ『上役の王道』

皆の前で堂々と意見を述べ、組織をまとめる。 圧倒的なカリスマ性を発揮して、皆から絶大な信頼を勝ち取る。

「リーダーシップ」を存分に発揮する上司や先輩の姿に憧れを抱く人は多いはずです。でも同時に、「私にカリスマ性はあるのだろうか」、「人前で喋るのが苦手だ……」などと考えて、リーダーに向いていないと諦めていませんか?

しかし、集団の先頭に立たなくてもリーダーとして活躍できるのです。リーダーに対する憧れの気持ちがあるのに、初めから諦めてしまうのはもったいないことですよ。

今回は、縁の下の力持ち的サーバントリーダーについてご紹介しましょう。

「引っ張る」のではなく「尽くす」リーダー

そもそも「サーバントリーダー」とは一体何でしょうか?

コーチングや組織コンサルティング業を行う、株式会社レアリゼの社長である真田茂人氏は、「サーバントリーダー」を次のように定義します。

サーバント・リーダーシップは、ロバート・グリーンリーフ (1904~1990)が提唱した「リーダーである人は、まず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という実践哲学です。グリーンリーフは言いま す。「サーバントリーダーはまず初めに奉仕したいという自然な感情があり、奉仕することが第一なのである。」

(引用元:人を活かすサーバント・リーダーシップの力 ~ vol.1 人の本質に根差したリーダーシップ

また、IT企業をメインにマネジメント研修等を行う株式会社アイネット代表の竹腰氏は、このように述べています。

サーバント・リーダーシップは,リーダーとしての高い志、ミッションやビジョンを持ち、フォロワーに尽くそうとする思いやりの気持ち「利他」が最初にきて、常にフォロワーがいちばん必要としているものを提供しようと努め、フォロワーと一緒にビジョン実現していこうとするリーダーシップ論で、指示管理型リーダーシップの対極のものです。

(引用元:PMプロの知識コーナー|サーバント・リーダーシップと渋沢栄一

我々がイメージするリーダーは、やはり織田信長やナポレオンにイメージされるような先頭に立つ豪快な人物でしょう。これは竹腰氏の言葉に出てきた「指示管理型リーダーシップ」に通じるのかもしれませんね。

しかし、サーバントリーダーに「支配・指示・管理」という言葉はそぐいません。まず、メンバーに寄り添い、奉仕する。視点が“組織の中”に向いているのです。

みなさんの周囲にいる人を思い浮かべてみてください。 積極的に前に出るわけではないけれど、一目置かれている、尊敬されている、後輩からよく相談を受けている、そんな人が1人はいるはずです。

そんな人こそが、サーバントリーダーなのです。

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日本にもいる「サーバント・リーダー」

歴史上にもサーバント・リーダーは登場します。有名なのが、ガンジーやシュヴァイツァーなどの平和活動家や宗教家。人に尽くすのがサーバント・リーダーの条件である以上、こうした属性の人物が多くなるのも頷けます。

日本には、歴史上サーバント・リーダーが登場したことはあったのでしょうか?

サーバント・リーダーの生みの親であるロバート・グリーンリーフの考えを広める活動を行う「グリーンリーフ・センター」の前所長ケント・ケイスは、サーバント・リーダーの1人として、渋沢栄一を挙げています。

渋沢栄一といえば、「日本資本主義の父」と呼ばれ、日本で最も有名な起業家・経営者の1人。 第一国立銀行(現:みずほ銀行)、東京海上火災保険、王子製紙(現:王子製紙・日本製紙)、田園都市(現:東京急行電鉄)、帝国ホテル、東京証券取引所、キリンビール、サッポロビールなど、多種多様の企業の設立に関わったといわれ、その業績は今なお語り継がれています。

先ほど例に挙げた、ガンジーやシュヴァイツァーとは少し異なる雰囲気の渋沢栄一ですが、彼はどうして「サーバント・リーダー」と言えるのでしょうか?

竹腰氏はこのように語っています。

渋沢栄一の著書「成功する『心の習慣』」の中で、「なぜ人は『この人のために』懸命に働くのか」の問いに対して、渋沢栄一は「『人に自分のベストを尽くさせる』ための王道がある。王道とは、賢明な上役がただちに実行すべき道である。たとえば、自分の部下に愛情を抱き,まごころと思いやり持って事に処するのが,すなわち王道の実践である。」と答えています。

(引用元:PMプロの知識コーナー|サーバント・リーダーシップと渋沢栄一

「自分の部下に愛情をいだき、まごころと思いやりもって事に処する」とは、まさにサーバント・リーダーの考え方そのものですね。

日本では古来から「世間」、「五人組」といった言葉・制度に代表されるように、身近に暮らす人々との繋がりを大切にする文化が醸成されてきました。

最近では「古臭い」、「面倒くさい」と煙たがられる傾向にあるこうした考え方ですが、海外では「サーバント・リーダー」としてむしろ肯定的に捉えられているのです。

*** これまでご紹介してきた、サーバント・リーダーの考え方には、特別なことはひとつもありません。

一緒に働く仲間や部下を大切にし、彼らの視点に立ってものを考えること。それを地道に実践することが、サーバント・リーダーになる最短の道なのです。

(参考) 人を活かすサーバント・リーダーシップの力 ~ vol.1 人の本質に根差したリーダーシップ PMプロの知識コーナー|サーバント・リーダーシップと渋沢栄一 NPO法人 日本サーバント・リーダーシップ協会|サーバント・リーダーとは? Wikipedia|渋沢栄一

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